なぜ飲食店経営に原価率計算が必要なのか?成功事例からみた原価管理の重要性

2019/08/09
フードコストのコントロールは、飲食店の経営に欠かせません。中でも「棚卸し」は、食材の在庫状況を管理し、店舗の利益を把握する重要な業務ですが、忙しさや手間を理由につい適当になりがちです。利益を上げるために原価率について正しく理解し、人件費と合わせて管理していくことが重要です。適正な原価率を把握し、業態や経営戦略に沿ってメニューの価格設定をすることがポイントです。今回は食材の原価や原価率について解説していきます。

原価率の出し方

まず、原価率の計算方法について説明します。飲食店でいうと、食材などの仕入れ額が「原価」に当たります。「原価率」とは、売上高に対する売上原価の割合を示します。 ◇原価率
原価率(%)= 売上原価 ÷ 売上高 × 100
販売された商品に対する材料費などのコストの割合を「原価率」と言います。
例)200円で仕入れた食材を1,000円で販売すると、原価率は20%。
◇実際原価
実際原価(売上原価)= 理論論原価 + ロスの金額
単純に食材の単価×使用量で求められる原価が「理論原価」です。この理論原価にロス、つまり仕入れた食材を調理する際に発生した歩留まりや廃棄を加えて算出するのが「実際原価」となります。 ◇繰越商品(期末棚卸)
売上原価 = 前月繰越 + 総仕入 - 翌月繰越
「食材の棚卸」は、複数のメニューを提供している店において、全体の原価率を計算する場合に重要です。在庫量に着目して計算してみましょう。
例)繰り越す前月の在庫が50万円、当月の仕入れが80万円、翌月へ持ち越す在庫が30万円の場合、売上原価は100万円。

原価率改善で成功した事例

飲食店経営の原価管理の成功事例をご紹介します。 焼き鳥 角ハイボール50円?常識の逆をいく原価戦略【居酒屋それゆけ鶏ヤロー】

一般的に飲食店の売上構成率は、フード7割(原価率50%):ドリンク3割(原価率30%)とフードの原価率の方が高くなっています。鶏ヤローではフード3割(原価率20%):ドリンク7割(原価率50%)とこの比率を逆転し、またトータルの原価率を30%に抑えています。「原価戦略」が、激安価格にも関わらず高収益の戦略です。
どんぶり勘定を見直し、らーめん業界に一石を投じた価格改定【AFURI】

ラーメン業態は、滞在時間が十数分と高回転な業態です。そのため少しの原価の計算のズレが大きな利益率の差を生むため、より原価管理が重要です。AFURIでは「理論原価」と「実原価」の両方を算出し、仕入れ価格の限界の見極めを行っています。
正確な原価管理で原価率の常識を覆す【将泰庵】

飲食店の食材原価率は30%が目安だと一般的には言われていますが、将泰庵の材原価率は40%を保つようにしています。お客様のニーズに応え、あえて原価率の高いメニューを作り、その結果、客単価は当初の想定より20%も上がりました。日々の原価やFLなどの数字管理と、従業員満足度を高める取り組みが戦略です。
メニューの出数ではなく、仕入れ額から原価率を改善【Globridge】

『原価率を下げるには原価の高いメニューの出数を減らし、原価の低い出数を増す』という事を耳にしたことがあるかもしれません。これは厳密な原価管理がされていることが前提です。Globridgeはメニューの販売数ではなく、仕入れ全体から原価率と食材ロスを見直す方法で、原価管理を実践し、利益率を押し上げました。
いかがでしたか?
原価率を下げるためには、まず、現状の数字の把握をしっかりしましょう。また経営の改善には、原価率だけでなく、客数、客単価、メニュー別の売上点数など、総合的な数字の把握も大切です。
次回は「F/Lコストの改善」について解説します。人件費の算出・管理についても触れていきますので、こちらも飲食店を経営されている方必見です。

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