株式会社スマイルリンクル取材日 2018年10月16日

システムが、繁盛店の食材調達を下支え。
従業員の発注の効率化にもつながっています。

利用サービス 商談受発注(発注) | エリア 関東 | 
事業内容 飲食店の経営
株式会社スマイルリンクル

東京・神田のお好み焼き店「Big-Pig」や、しゃぶしゃぶ鍋の「春夏秋豚」など、9業態10店舗(2018年10月末現在)を手がける株式会社スマイルリンクル様。拡大路線を見据えて、3店舗目から食材の調達や発注業務をシステム化しました。ITは、人材の育成にも役立っているそうです。代表取締役の森口康志様と取締役営業管理部部長に、次世代の店舗展開へつなげるIT活用を伺いました。

ココがPOINT!

四半世紀近い歴史には紆余曲折あり。挫折から生まれた新業態

― 2018年は自然災害が多く、中でも西日本豪雨では、ご出身地の広島にも大きな被害がありましたね。

代表取締役 森口 康志様(以下、森口社長):広島から上京し、東京・神田に広島お好み焼き店「Big-Pig」をオープンさせてまもなく25年になります。今回、実家のある町に被害があったわけではなかったのですが、ふるさとへの強い思いはずっと持ち続けていますので、何か力になりたいと思い、被災した東広島市に出向いて家屋の土砂をかき出すボランティアに参加しました。

すると、それを知った外食企業の友人たちが『Big-Pig神田カープ本店』を貸切にして、復興支援の募金飲み会を企画してくれたんです。その売上などを寄付金にしたのですが、広島県知事に直接手渡すことができたのは、知名度のあるスポーツ選手や芸能人以外では異例のことと聞いて、東京の飲食店の熱い「広島愛」が伝わったのかなと大変嬉しかったです。

― 『Big-Pig神田カープ本店』は、「広島とカープ」一色のお店ですね。

森口社長:「Big-Pig」は、かつて5店舗ありましたが、10年ほど前から店舗数を本店1店に絞り、より広島に特化させた、「カープ酒場」をコンセプトとしています。店内にスコアボードや、みんなで試合観戦できるモニターを10台設置してカープ戦を全試合放送し、試合がある時はユニホームを着たファンでいっぱいになります。その様子から「カープファンの聖地」と呼ばれることもあります。

取締役営業管理部 部長(以下、管理部長):お好み焼きに欠かせないソースはもちろん、鮮度を保てる食材はすべて広島からの直送です。広島の郷土料理も豊富にご用意しています。社長や私をはじめ、スタッフに広島出身者が多いのも特徴です。

― 創業時は、どんなお店だったのですか?

森口社長:創業店は、普通の広島お好み焼き屋でした。私はもともと飲食とは無関係のサラリーマンで、転勤先の東京に美味しいお好み焼きがなかったのを機に、自分でやってしまおうと脱サラして始めたのです。

― ほぼ未経験からはじめて、順調に売上を伸ばしていかれたのですね。

森口社長:とはいえ、悩みもありました。大阪などの関西風お好み焼きは、一般的に店側が用意した具材を、お客様が自ら鉄板で焼いて仕上げます。しかし、広島のお好み焼きは、生地に具材を層にして盛り、ひっくり返した横でソバを炒めてと、技術が必要で作業も多く、店側が焼かなければなりません。

すると、お客様から「遅い」とお声をいただくこともあります。極端な言い方ですが、関西風は具材を出すだけだし、セルフスタイルはいいなあとずっと思っていました(笑)。

セルフの良さにある意味とりつかれ、今で言うインターネットカフェのような漫画喫茶も経営しました。お客様自身が読みたい本や飲み物を好きなように選び、読み終えたら元の場所に戻してくれるなんて、素晴らしいと思って。

漫画喫茶のオープンから2年後には、赤坂にセルフ鉄板焼きの店も出しましたが、これは大失敗でした。鉄板焼きのセルフ業態という、当時の世になかったものを広めるパワーが私にはなく、数年で業態を変えることにしました。

でも、この失敗が、「美肌コラーゲン鍋豚しゃぶしゃぶ春夏秋豚」のオープンにつながったのです。

代表取締役 森口 康志様代表取締役 森口 康志様

インターネットの海に漕ぎ出し、新たな食材と出会う

― 失敗から、どのような経緯で繁盛店が生まれたのでしょうか?

森口社長:業態開発のため、新たな食材探しをしていた2006年に、日本全国の取引先や食材をWeb上で検索できるシステム『BtoBプラットフォーム 商談』を導入しました。その頃は漫画喫茶もネットカフェの要素が強まるなど、これからはネットの時代だといわれていて、弊社もネット活用の可能性を模索していたのです。

それまでの食材探しは、肉なら知り合いの肉屋さんに「こんな肉ないですか」と聞いたり、経営者仲間から紹介していただいたり、身近な範囲で探すしかありませんでした。それが『BtoBプラットフォーム 商談』では、ネットを通じて、「豚バラスライスが欲しい」と募集すると、条件にあった提案や見積もりを全国の業者さんが送ってきてくれるのです。

いくつかの会社と連絡をとり、サンプルを頂いたりと比較検討する中で出会ったのが、新潟のブランド豚「越後魚沼健康豚」でした。

「しゃぶしゃぶ業態」をやろうと思いついたのはこの時です。しゃぶしゃぶなら、すでに世間に浸透しているセルフ業態で、かつ、シンプルに素材そのものが主役になります。

新業態の決め手は、「越後魚沼健康豚」の徹底した衛生管理と、こだわりの飼料や飲み水で時間をかけて肥育したきめ細かな肉質、他にない味の良さでした。小規模の生産者さんが手がけていた食材で、地元で流通する他はほぼ知られていません。

我々も、自分たちの足で探していたのでは、到底たどり着けなかったと思うと、調達のシステム導入なしには誕生しない業態だったのかもしれません。「美肌コラーゲン鍋豚しゃぶしゃぶ春夏秋豚」は、オープンしてすぐに幅広いお客様から評判をいただいて、起死回生を遂げることができました。

管理部長:『BtoBプラットフォーム 商談』は、今でもちょっと珍しいものや、変わった野菜などを探したいときに活用しています。導入した12年前に比べ販売業者さんも増え、本当に色々な食材を探すことができますね。

取締役営業管理部 部長取締役営業管理部 部長

ITによる一元管理で欠品を防ぎ、確実な発注を

― 食材調達のためのシステム化は、大成功だったのですね。

森口社長:食材探し以外にも、システム導入の目的はありました。当時運営していたのは3店舗ほどでしたが、日々の発注は業者ごとに、FAXだったり電話だったり、もしくは納品時に口頭で行ったりとバラバラでした。伝票の形式もそれぞれ違うし、どうにかまとめられないだろうかと思っていました。

発注と納品の照合もずさんで、業者を信用するしかない状態でした。仮にですが実際の納品より上乗せした請求をされたとしても、わからなかったかもしれません。なにより業務拡大を目指していた頃でもあります。発注の一元化による、しっかりとした管理の必要性を感じて導入したのが、『BtoBプラットフォーム受発注』です。

― 導入の効果はいかがでしたか?

管理部長:発注のチェックに要する作業効率がとても良くなりました。FAXは送信エラーで注文が届かなかったとしても知るすべはありません。Web発注なら発注後にメールが届いて受領確認できるのでトラブルも防げ、責任の所在が明らかです。

また、何をどれだけ発注しているのか、発注者以外のスタッフが把握できるのも助かります。発注担当が休みの日でも足りなければ追加発注できるし、逆にダブり発注の心配もありません。

今は入社2年目くらいのスタッフに、ドリンク発注などを任せることもあります。発注は以前まで店長の仕事でしたが、それでなくとも店長業務は多忙です。なるべく仕事を分散させたいですし、数字の管理への意識や責任感をみんなに養ってもらいたいと考えています。

システムによる効率化で、着実な店舗展開

森口社長:拡大路線を見据えてのIT化でしたが、実際に一時期業務を広げてみて、私に多店舗展開の能力はないと思いました。Big-Pigを1店舗に集約したのも、出せるパワーを集中させるためです。

今後も企業として長く発展させていくために、私の役割は事業拡大よりも今ある業態を深く掘り下げ、しっかり人材を育て、次世代に譲る道筋をつけることだと考えています。みんなが数字を意識できる『BtoBプラットフォーム受発注』は、従業員を育てながら権限委譲していくことにも大いに役立っています。

― 今後の取り組みをお聞かせください。

管理部長:弊社は離職率が低く、10年を超えてがんばっている社員やアルバイトが大勢います。いい人材が育ってきているので、この規模で終わらせるのはもったいない。僕は野心家なので(笑)。社長が作ってきたのはビッグカンパニーではなくグッドカンパニーです。それを継承して、ゆくゆくは森口を、周りからすごいなといわれる“森口会長”にしたいです。

森口社長:少しずつ権限委譲していきたいですが、まだ口出ししてしまいますね(笑)。私の代では、無理に拡大するつもりはありません。いい店長が育ってきたら1店舗ずつ創業地の神田や、銀座などでドミナント展開していけたらと考えています。

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株式会社スマイルリンクル

設立1994年2月
事業内容飲食店の経営
代表者代表取締役 森口 康志
本社所在地東京都千代田区内神田3-16-5 旭町米山ビルB1
企業サイトhttp://www.smilewrinkle.com/
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