自治体のクラウドサービス調達方法の新潮流! デジタルマーケットプレイス(DMP)とは

2024/07/23

国や自治体では、新規テクノロジーの導入を迅速に実現できる環境整備が求められています。
デジタル庁ではIT調達の迅速化・適切なベンダーの選定の為の、新しい仕組みづくりが検討されてきました。
今回は、2024年度後半に正式OPEN予定の自治体のクラウドサービス調達方法の新潮流『デジタルマーケットプレイス(DMP)』をご紹介します。

デジタルマーケットプレイス(DMP)とは

DMP検討の背景

デジタルマーケットプレイス(DMP)とは、自治体向けのクラウドを利用したソフトウェアサービス(Software as a Service)を、自治体職員がwebで検索・検討が可能な“SaaSのカタログサイト”を活用した新しい調達手法のことです。
IT調達の迅速化、多様なベンダーの公共調達参入を目指して検討されてきました。

英国で10年前より導入されている調達方式であり、2021年ではDMPを利用した調達額の4割を中小・スタートアップベンダーからの調達が占め、調達先の多様化、ベンダーロックインの廃城にも貢献しており、オーストラリやカナダでもこれを参照して導入されています。

2022年度の行政機関・ITベンダー・有識者などによるタスクフォースでの検討を踏まえ、2023年度に実証版のカタログサイトが公開されました。

単純なカタログサイトではなく、自治体職員が調達仕様に従って検索項目にチェックを加え、ソフトウェアや販売会社を絞り込み、これを証跡として迅速にソフトウェアを導入できる手法の導入を進めています。

DMPの概要

DMPでは以下の2点が期待されています。

  1. クラウドソフトウェア(SaaS)市場の可視化・比較を通じた行政機関の迅速・公平な調達
  2. 公共調達を通じた中小・スタートアップも含めたソフトウェア産業振興

DMPによるIT調達

DMPによるIT調達

これまでの取組

2022年度
ステークホルダーによるタスクフォースで日本のDMPのあり方を検討

2023年度
カタログサイトのα版を提供、利用者体験を検証

  • 事業者向けワークショップ(2023年1月)
  • 行政向けワークショップ (2023年3月)

2024年度(予定)
正式版の開発、2024年度後半にソフトウェア調達での利用開始予定

クラウドサービス調達における現状の課題とDMP導入に期待される効果

現状の課題

DMPの効果

行政機関

市場のソフトウェアベンダー情報が限定的であるため、特定のITベンダーに依存。より良いサービス導入の機会損失が発生。調達の手続きだけでも通常3ヶ月以上かかり、受託開発が多いため、迅速なシステム導入を実現することが困難

行政機関は、登録されたITサービスから目的にあったものを検索して簡易によりよいサービスを発見できる。

クラウドサービスが迅速に調達可能となり、よりアジャイルなソフトウェア導入が可能となる。

事業者

行政機関のサービスニーズが不透明で、営業コストが高い。調達手続きが煩雑であるために参入コストが高く調達プロセスに慣れているITベンダーが調達上有利に。

サービスを登録することで幅広い行政機関が発見可能となり、低い営業コストで行政機関にリーチしやすくなる

調達プロセスの簡素化により、中小・スタートアップも含む多様なベンダーが公平に公共調達市場にアクセス可能となる。

scroll

※デジタル庁「デジタルマーケットプレイス実証カタログサイトDMP(α版)説明会資料」より

DMPに関するスケジュールと検討事項

DMPのα版実証サイトは事業者の登録機能が2023年11月30日に公開され、当社のBtoBプラットフォームも2024年2月末に登録を完了しています。

また、α版実証サイトの行政機関向けの検索機能は2024年2月29日に公開されています。現在は、利用する自治体側の操作検証期に入っており、2024年度の下半期には正式版カタログサイトがオープンする予定です。

2023年度のα版実証サイト

  • 事業者向けのサービス登録サイトを11月30日にオープン済み。
  • 行政機関向けの検索サイトをオープン(2月29日)。
  • 実証実験期間中にユーザーテストを実施し、行政機関、サービス登録事業者からフィードバックを得て、DMP本番サイトの改修に活かす。

DMPの調達手法に関する会計制度上の整理

  • 国の制度整理について財務省と協議をした上で、それも踏まえ、自治体の調達上の制度整理についても総務省と協議を実施。

DMPを利用した調達開始

  • 2024年度下半期に本番サイトをオープン予定。
  • 上記本番サイトオープンと合わせて、国・自治体の調達でDMPの調達手法が利用できる形を目指す。

※スケジュールは予告なく変更される場合があります

※デジタル庁「デジタルマーケットプレイス実証カタログサイトDMP(α版)説明会資料」より

まとめ

先日、弊社もクラウド事業者向けのDMPに関する説明会に参加させていただきました。

相当数の企業が参加されており、質問の内容も代理店経由の商材の場合や掲載価格といった「実運用」で大事な要素への質問などもある熱い会になっておりました。

DMPの仕様改善に加え、調達に絡む法令改正なども同時に力強く進んでいるため、DMPでの調達は新たな潮流になるだろうと感じています。

関連記事