真の「ゼロベース」=現在の科学技術を生かしているかの確認を 今は昔

2024/07/05
真の「ゼロベース」=現在の科学技術を生かしているかの確認を 今は昔

従来通りでは『時代遅れ』に

予算編成や政策の企画立案を行う際に、よく「ゼロベース」という言葉を聞きます。

毎年毎年聞きますが、なぜか科学技術の進歩や社会が変化しているにも関わらず、何十年も前から同じ制度や仕事のやり方が続いています。

現在は、激動の時代、乱気流の時代、先が見えない時代などと言われます。はっきりしていることは、今は去年とは違う、来年は今とは違う、今は昔ということです。変化の激しい現代において、過去のやり方や従来のやり方を続けるということは、すぐに時代遅れになってしまいます。科学技術の進歩を無視して、従来通りのやり方を続け、住民に対し不必要な金銭的・時間的負担や労力を課すことは間違っていると思います。

時代に合わせた方法を

「ゼロベース」の基本は、従来通りのやり方は間違っているという前提に立ち「従来通りに変えない=科学技術の進歩を生かさない」という異例・例外的な対応こそ厳しい説明責任を求め、どう変えるかを考える必要があると思います。例えば、今初めて債権者にお金を支払う方法を考えるとしたら、紙の書類を印刷して持参してもらい、職員が人力で紙の書類と紙の書類の内容を突合し、電卓をたたいて検算し、決裁書類を作成し、紙に印刷して、持ち回り決裁を取り、支払伝票を作成し、その書類を書庫に保存するというやり方にせず、デジタル処理をするのではないでしょうか。

本コラムの著者プロフィール

松藤 保孝 氏

一般社団法人 未来創造ネットワーク 代表理事
松藤 保孝

自治省(現総務省)入省後、三重県知事公室企画室長、神奈川県国民健康保険課長、環境計画課長、市町村課長、経済産業省中小企業庁企画官、総務省大臣官房企画官、堺市財政局長、関西学院大学大学院 法学研究科・経営戦略研究科教授、内閣府地方創生推進室内閣参事官等を歴任し、さまざまな政策の企画立案、スリムで強靭な組織の構築、行政の業務方法や制度のイノベーションを推進。一昨年退官後、地域の個性や強みを生かすイノベーションを推進する活動を行う。

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