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電子請求書の電子保存義務化はいつから?電子化のメリットを解説

電子帳簿保存法は、国税にまつわる帳簿や書類をデータ保存するときの取り扱いなどを定めた法律です。2022年1月の電子帳簿保存法改正により、電子取引したデータは電子保存することが原則となりました。メールやクラウドサービスでやりとりした電子請求書もこれに含まれます。 電子取引に関する電子データを不適切な形式で保存した場合、青色申告の取り消しや追徴課税などのリスクがあるため、早期に対応することが望ましいでしょう。 そこで今回は、電子請求書を電子保存する際の要件や、確認すべきことなどについて解説します。

電子請求書の電子保存義務化はいつから?電子化のメリットを解説

最終更新日:2024年5月20日

目次

2024年1月から、電子請求書の電子保存が義務化

電子帳簿保存法は1998年に施行された法律で、時代に応じて見直しが行われ、直近では2022年に改正が行われました。2022年の改正の理由として、経済社会のデジタル化を踏まえた生産性の向上、記帳水準の向上を助けるためであると経済産業省は説明しています。

電子帳簿保存法の3つの保存区分

電子帳簿保存法に定められた帳簿や書類のデータ保存方法には、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの保存区分があります。ここでは、それぞれの保存区分について解説します。

・電子帳簿等保存(任意)
電子帳簿等保存とは、会計システムなどで作成した帳簿類および決算関係書類が保存対象となり、これらの書類の中で保存要件を満たしたものを電子保存できるという保存区分です。電子帳簿等保存は任意となるため、これまでどおり紙で保存しても問題ありません。なお、国税庁で定められた要件には、「最低限の要件」と「優良な電子帳簿の要件」があります。

※保存要件の詳細については「電子帳簿保存法とは?対象書類と保存要件や期間をわかりやすく解説」をご覧ください。

・スキャナ保存(任意)
スキャナ保存は、顧客から紙で受け取った領収書や請求書などの書類をスキャンして保存する区分です。データとして保存するかどうかは任意で、紙のまま保存することも可能です。2022年に電子帳簿保存法が改正されたことで、保存要件が大幅に緩和されました。

・電子取引(義務)
電子取引とは、顧客から届いたPDFの請求書や、ECサイトなどのマイページからダウンロードした領収書などの電子データに関する保存区分のことを指します。2022年の電子帳簿保存法改正で、「電子取引」への対応が義務付けられました。

電子請求書の電子保存義務化について

電子取引とは、請求書、契約書、領収書、見積書などの書類をメールやクラウドを通じてやりとりすることです。これらの書類をメール添付で受け取った場合、紙での保存は要件を満たさず、電子データのまま保存しなければなりません。電子データでこれらの書類を発行した場合も同様に、控えを電子保存する必要があります。

なお、電子帳簿保存法の改正は、即時対応が難しい中小企業や個人事業主に配慮し、「宥恕措置」が設けられていました。宥恕措置は、2023年12月31日に終了しましたが、それまでにやり取りした電子取引データを宥恕措置を適用して保存している場合は、2024年1月1日以降も保存期間が満了するまで、プリントアウトして保存し続けても問題ありません。
また、宥恕措置に代わり、2024年1月からは「猶予措置」が設けられ、以下のすべての要件を満たしている場合は猶予措置が認められています。

<猶予措置の条件>
・保存要件に従って電子取引データを保存できないことについて、所轄の税務署に相当の理由があると認められた場合
・税務調査等の際に、要求されたデータのダウンロードや、書面での提示・提出の求めに応じられるようにしている場合
 

請求書を電子保存する際の保存要件

前述したとおり、電子取引した請求書も、改正電子帳簿保存法による電子保存の対象となりました。ただし、電子データによる保存には、第三者による改ざんや、データの破損・紛失といったリスクがあることに注意が必要です。
この問題をクリアするため、電子取引したデータは「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つの要件を満たした上で保存しなくてはなりません。それぞれの要件について確認しておきましょう。

真実性の確保


真実性の確保は、不正な改ざんを防ぐための要件です。
 
具体的には、「すみやかなタイムスタンプの付与」「訂正や削除のログが残るシステムの導入」などを行います。また、正当な理由がないまま訂正や削除を行うことを禁止するルールを明確に定め、ルールにもとづいた事務処理をすることも大切です。

可視性の確保

可視性の確保は、不当な訂正や削除が行われていないことを、いつでも誰でも確認できる状態にしておくための要件です。
 
例えば、「パソコンやプリンターといった普段使用している機器やソフトウェアといっしょに操作マニュアルを置いておく」「保存した電子データを整理して視認性を高めておく」といった方法があります。


 

請求書を電子化するメリット

請求書を電子化することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、改正電子帳簿保存法にもとづいて請求書を電子化するメリットについて解説します。

コスト削減につながる

請求書を電子化することで、コストの削減が叶います。
 
電子化した請求書を印刷せずに発行すれば、印刷のための紙代やインク代などがかかりません。自社で発行して郵送する際の封筒も不要です。さらには、印刷して綴じたファイルを格納する場所代や、作業に従事する人の人件費なども削減することができます。
 
一つひとつは小さな経費でも、積み重ねによって大きなコストカットにつながるでしょう。特に、毎月の請求書の受領枚数・発行枚数が多い事業者では、かなりの効果が期待できます。
 

作業効率が向上する

請求書を電子化することは、作業効率を向上させることにも有効です。
 
請求書を作成できる会計ソフトなどを導入すれば、請求書の作成から発行、送付、管理まで、一連の作業をパソコン上で完結できます。ファイリングや郵送といった手作業がなくなり、スピーディーに作業を終えることができるでしょう。また、請求情報の検索が簡単なのもメリットのひとつです。

セキュリティが向上する

請求書を電子化することで、セキュリティを強化することができます。
 
紙の請求書には、火災や水害の際に破損したり、失われたりする可能性があります。経年劣化で文字が読めなくなることもあるでしょう。また、人的なミスによる紛失・盗難のリスクもあります。
 
しかし、データ化してクラウド上で保管すれば、必要な請求書をすぐに確認できる上、長期にわたって安全に保管することが可能です。

作業にかかるリードタイムを短くできる

請求書を電子化することで、請求業務のリードタイムを短くすることが可能です。
 
リードタイムとは、作業にかかる所要時間のことです。紙の請求書は、作成・発行してから相手の手元に届くまでに一定のリードタイムがあります。一方、電子化された請求書であれば、全工程をオンライン上で行えるため、作成から支払いまでの時間の短縮が期待できます。

リモートワークを実施しやすくなる

新型コロナウイルス感染症の拡大により、リモートワークを導入する企業が増えました。請求書の対応を電子化することで、リモートワーク環境にも対応しやすくなるでしょう。
 
紙の請求書の場合、上司の決裁や押印を受けるために出社しなければなりませんでした。しかし、電子化することで、社内のやりとりもオンラインで完結するため、請求業務がリモートワークの障害になりません。



電子請求書の電子保存化において確認すべきこと

2024年より電子請求書の電子保存化が原則となりましたが、電子請求書の電子保存化を正しく行うために、どのようなことを確認すればいいのでしょうか。下記の4点をチェックしておきましょう。

電子取引の保存要件を満たしているか

電子取引した電子データの保存にあたっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります。要件の内容を今一度確認し、正しく対応しましょう。

優先度の高いものから順に電子化を進めているか

すべての書類を一度に電子保存化できない場合は、重要度の高いものから順に進めていくことが大切です。すでに対応しているものから抽出した改善点をもとに、残りの電子保存化を進めていきましょう。

電子請求書に対応した業務フローやルールを見直す

電子請求書の電子保存化を進める中で発生したトラブルや、無駄だと感じる作業については、適宜見直して改善する必要があります。これには、マニュアルの策定なども効果的です。

電子請求書の管理システムを選定する

ミスなく電子請求書を発行し、受領した電子請求書を適切に管理するには、請求書の発行・受領サービスの利用がおすすめです。必要な保存要件を満たした状態で作成できるシステムを選定すれば、作業の手間を大きく削減できます。

これには、タイムスタンプを付与することができ、情報の訂正・削除を行った際に履歴が残る、または訂正・削除が行えないように制御できるシステムを選びましょう。また、可視性の確保のため、取引年月日や顧客名、取引金額などで検索できることも重要な要素のひとつです。

システムの導入で、電子請求書の電子保存をより効率的に

電子請求書の電子保存はすでに義務化されており、原則として紙で保存することはできません。
より効率的に電子請求書の電子保存を行うために、企業が取り扱う各種帳票を統合的に作成・管理するシステムの導入を検討する必要があります。
電子請求書の電子保存に特化したシステムを導入することで、下記のような効果が期待できます。

ミスが発生しにくくなる

フォーマットに必要事項を入力するだけで電子請求書が発行できるため、手作業に比べてミスが発生しにくくなります。

チェックに手間がかからない

クラウド上で作業ができるため、請求書を管理者に手渡しする必要がありません。そのため、関係者がどこにいても請求データにアクセスでき、チェックが簡単に行えます。

ほかのシステムとの連携で、関連する作業の効率化も叶う

請求書の発行・受領サービスの中には、販売管理システムや会計システムと連携できるものがあります。連携により、請求書の作成から発行、受領までの一連の作業、および会計システムへの入力作業の効率化につながる相乗効果が期待できます。

セキュリティリスクを回避しやすい

高度なセキュリティ対策が行われているサービスが多く、情報流出などのリスクを低減できます。クラウドを活用したサービスであれば、災害などによるデータ紛失などのリスクも回避できるでしょう。
また、真実性・可視性の確保によってデータを改ざんできなくなる点も、システム導入によるメリットのひとつです。


適したサービスの導入で、電子請求書の電子保存を正しく行おう

電子請求書の電子保存は、自社に合ったサービスを活用することでよりスムーズに、より効果的に行えます。インフォマートが提供する各種サービスを、ぜひご活用ください。
 
電子請求書の発行と電子保存を1つのプラットフォームで行うなら「BtoBプラットフォーム 請求書」が便利です。電子帳簿保存法・インボイス制度にも対応しており、業務効率化にもつながります。
請求書を含め、あらゆる国税関係書類を電子帳簿保存法に対応した形で保存したいときは、電子取引とスキャナ取引の要件に対応した「BP Storage」をご利用ください。クラウドストレージと連携できるため、最小限の業務フロー変更で電子帳簿保存法に対応できます。
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監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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