民間企業のリアル vol.2 関彰商事株式会社:民間企業が自治体DXを切望する理由 関彰商事株式会社: 民間企業が自治体DXを切望する理由

2024/04/12

今月は、自治体の会計事務DXに対する民間企業の生の声をお伝えします。
今回お話を伺った関彰商事株式会社様は、1908年創業の老舗総合商社です。関東エリアと福島県、またベトナムでも、石油製品の販売を軸に、地域に密着した多角的事業を展開されています。

そこで、業務課課長と商材の異なる2名のご担当者に、自治体への請求書発行に絡む会計業務の現状と望む在り方を語っていただきました。取材を終えて、自治体側の会計事務DXが急務であることを痛感し、当社が担うべき役割に身の引き締まる思いでした。

インフォマートは自治体と民間事業者双方の業務効率化のために様々な活動をしています。会計事務DXに関することなら、何でもご相談ください。

★お話を伺った方:業務課課長・業務課燃料系ご担当者様・ビジネス系業務課ご担当者様

Q1.自治体への請求業務の現状は?

各自治体職員の質問

A.自治体宛の請求書は全て紙で、1カ月に約2,000枚。発行にかかる時間は約110時間です。

当社が1カ月に発行する請求書は13,000~15,000件です。そのうち約50%が電子請求書ですが、取引先は全て民間企業です。自治体へ発行する紙の請求書は1カ月に約2,000枚。各拠点の担当者が作成と発行をしていますが、約30人で費やす時間は述べ110時間に上ります。

当社は約50団体の自治体とお取引をさせていただいていますが、その3割がガソリンや灯油などの燃料系の商材で、7割がパソコンやコピー機などのビジネス系の商材です。燃料系の請求書のほとんどが月末締めで、月初に請求書を作成して郵送していますがビジネス系の場合は納品時に請求書を持参することも少なくありません。ある団体の1ヶ月の請求書を調べたところ、63枚の発行に対して40枚を持参していました。

自治体宛の請求書は全て紙で、1カ月に約2,000枚。発行にかかる時間は約110時間

Q2.自治体の請求書DXの必要性は?

各自治体職員の質問

A.請求書DXが進めば、現在の業務時間とコストが大幅に削減でき、テレワークも可能になります。

紙の請求書は毎回、基幹システムのデータを請求書のフォーマットに手入力してプリントし、一枚一枚折って封筒に入れ、ラベルを貼って郵送しています。紙や封筒にも費用がかかりますし、請求書の内容やラベルの宛名にミスがないか確認作業も必要になります。

ビジネス系は請求書を持参することが多いので、繁忙期には時間的に厳しいことがあります。一度、ある自治体に郵送のお願いをしてみましたが、叶いませんでした。理由はわかりません。

このように紙の請求書の作成・封入・確認・郵送に要する毎月110時間が、電子請求書になればカットできます。請求書を持参する必要もなくなりますし、紙や封筒などのコストも削減できます。コロナ禍の在宅勤務中も、請求業務には出社していましたが、DXが進めば、テレワークも可能になります。

請求書DXが進めば、現在の業務時間とコストが大幅に削減でき、テレワークも可能

Q3.プラットフォーム型のメリットは?

各自治体職員の質問

A.共通のフォームで作業できることが、正確で迅速な会計業務につながります。

基幹システムから請求書や納品書への手入力は、入力ミスが生まれやすく、それを防ぐために第三者のチェックが必要になります。自治体では見積書の提出も求められますが、紙の帳票が多いほど、転記ミスのリスクも高くなります。また、電話やFAXで見積依頼や注文が入る場合は、聞き間違いや読み間違いのないよう再度確認を行いますが、先方にもお手間を取らせてしまいます。見積から請求までの会計業務がプラットフォーム上で行えれば、ミスの心配がなく、確認の手間もなくなります。

さらに、プラットフォーム型は共通のフォームで作業が行えます。現在は自治体によって請求書のフォーマットが異なるため、各担当者が自治体の指定どおりに手入力しています。PDFを希望される自治体もありますが、誤送信や送信漏れのリスクがあり、毎回のパスワード設定も件数が多いため、管理が大変です。

基幹システムのデータをアップロードするだけで、電子帳票類の授受ができれば、正確かつ迅速な会計業務が実現します。

共通のフォームで作業できることが、正確で迅速な会計業務につながります

Q4.自治体のDX・会計ご担当者様へ

各自治体職員の質問

A.自治体の皆様の負担も軽くなる、プラットフォームでの電子請求書の授受を願っています。

自治体の皆様の負担も軽くなる、プラットフォームでの電子請求書の授受を願っています

今回、当社が紙の請求書に要する作業や時間を明らかにしてみて、紙の請求書を大量に受け取る自治体職員の方々は、私たち以上に大変なご苦労をされているだろうと感じました。

どの自治体でも請求に必要な情報は同じです。日付・商品名・数量・単価・金額が明記されているのに、レイアウトの違いで請求書として扱われないのは、紙ありきの発想ではないでしょうか。

会計事務DXは自治体単位で考えず、日本全体で取り組んでいただきたいですし、どこかの自治体がリーダーシップをとって走り出していただけたら...と願っています。

当社は多くの自治体とお取引させていただいていますが、自治体どうしの繋がりはあまり感じません。この『DX通信』を通じて、共通のプラットフォームの採用が拡がることを期待しています。

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