建設業におすすめの請求書電子化システムは? 課題やメリット、選び方も紹介

この記事では、建設業向け請求書電子化システムの選び方をケース別にご紹介します。

DXの推進やテレワークの普及によって、請求書の電子化に取り組む企業が増加しています。しかし建設業では紙文化が根強く残る傾向があり、紙ベースで請求書をやり取りしている企業では「電子化を進める方法がわからない」と悩む担当者もいるでしょう。

そこで本記事では、建設業における紙の請求書に関する課題や電子化を進める2つの方法、メリット、システムの選び方を紹介します。

建設業における請求書の受け渡し状況

グラフ1

建設業において、請求書は主にどのような方法で受け渡しされているのか、まずは現状を見てみましょう。

2024年2月、当社が実施した調査結果によると、およそ3割が「請求書の受け渡しは紙で行っている」と回答しています。また、工事請負契約書や作業日報、図面などの各種書類のうち、請求書は紙での受け渡しが最も多い書類であることも明らかになりました。

このデータから、建設業においては請求書処理の電子化が進んでいない現状が伺えます。

しかし、紙で受け渡しを続けているとさまざまな課題が想定されます。次章では、具体的な課題を見てみましょう。

建設業における紙の請求書に関する課題

請求書を紙で発行・受取をする際に発生する課題として、次の3点が挙げられます。

時間や手間のかかる作業が多く発生

1つ目は、紙の請求書を取り扱う場合、発行側と受取側のどちらにも時間や手間のかかる作業が発生する点です。

   
発行側の作業 受取側の作業
  • 請求金額や査定金額、原価情報の入力作業
  • 紙の請求書作成後の印刷や押印、封入、発送作業
  • 請求書の控えの保管
  • 紙の請求書の仕訳やファイリング
  • 関係部署で請求内容の確認
  • 金額や取引先コードなどを会計システムへ手入力

紙の請求書を発行した後、間違いが見つかれば修正に時間がかかります。修正した請求書の発送後、届くまでに2〜3営業日かかってしまい、受取側で月締作業に間に合わないなどのトラブルにつながることも考えられます。また受け取った紙の請求書データの手入力は、ミスが起こりやすいでしょう。

担当者や承認者がオフィスで机に向かっている時間が少なく、現場に出向く場面が多ければ、承認がさらに遅れることになります。現場作業の終了後、事務所や会社に戻って書類を確認・承認するまでの移動時間も必要です。

このように、紙で請求書を取り扱っていると、承認にも手間や時間がかかってしまいます。

インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が必要

2つ目は、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が必要な点です。

2023年10月にインボイス制度が導入され、2024年1月には改正電子帳簿保存法において、電子取引の宥恕(猶予)期間が終了し、電子保存への対応が必須となりました。

インボイス制度の正式名称は、「適格請求書等保存方式」といいます。これは、消費税の仕入税額控除の金額を正確に計算し、取引の透明性を高めることが目的です。従来の請求書とは異なり、適格請求書(インボイス)には以下の3項目が必要です。

  • 適格請求書発行事業者の登録番号
  • 適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等

手作業で請求書を発行している場合、インボイス制度によって業務がさらに煩雑になってしまいます。そこで紙ではなく、電子データ化したインボイス(電子インボイス)の取り扱いを始める企業も多いはずです。その場合には、電子帳簿保存法の規定に沿って対応しなければなりません。

電子帳簿保存法とは、紙での保存が義務付けられていた帳簿書類などについて、電子データによる保存を認めた法律のことです。電子インボイスをやり取りする場合には、発行側と受取側に電子保存義務が発生し、要件に従って対応しなければなりません。

また、紙の請求書のやり取りも残る場合には、紙と電子データ化された請求書のどちらにも対応する必要があり、二重管理となって負担が増大します。

2024年問題と時間外労働の上限規制

3つ目に、建設業の2024年問題と、時間外労働の上限規制が挙げられます。

建設業の2024年問題とは、2024年4月から働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制が適用されることで起こると危惧されている問題を指します。労働基準法における時間外労働の上限規制は2019年から導入されましたが、人手不足などが原因で長時間労働が慢性化している建設業や物流業においては、5年間の猶予期間が与えられていました。

しかし2024年4月以降、時間外労働は原則として月45時間・年360時間となっています。さらに、労使間の合意があっても年720時間を超えないようにするなど、上限が設けられました。

このような中で煩雑な紙の請求書処理を続けていると、さまざまな作業に手間がかかって業務効率化を図れず、残業時間の削減が困難になる可能性もあります。

万が一、労働基準法に違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあるため、労働時間削減の観点からも紙からの脱却が必要といえるでしょう。

建設業で請求書を電子化する2つの方法

図版1

前章で述べたとおり、建設業で請求書を紙のまま取り扱っていると、さまざまな課題に直面することになります。そうした課題解決のために、電子化の推進が推奨されています。

ここでは、建設業で請求書を電子化する方法として、以下の2つを紹介します。

  • AI-OCRを活用する方法
  • 電子データを送受信する方法

AI-OCRを活用する方法

AI-OCRとは、紙やPDFで受け取った請求書をスキャンすると、AIがテキスト認識して書類内容をデータ化する仕組みのことです。データ化の精度はAIによりますが、手作業でデータ入力するよりも効率的な方法とされています。

電子データを送受信する方法

もう一つの方法として、システム上で請求書を電子発行し、その電子データを送受信する手法が挙げられます。紙やPDFのやり取りは必要なくなり、発注から請求書の受領までを完全に電子化できます。

電子データの送受信になるため、手入力はもちろんのこと、AI-OCRよりも精度が高い点が特徴です。取引先に対して「今後は請求書を電子化してデータ送信する」という旨の説明や理解は必要になりますが、圧倒的な業務効率化が実現します。

AI-OCRと電子データの特徴を比較

以下の表は、AI-OCRと電子データの特徴を記載したものです。データ化やスピード、明細情報など、各項目を比較してみましょう。

表1

建設業で請求書を電子化するメリット

キャッチ画像

建設業で請求書を電子化すると、発行側・受取側それぞれにメリットがあります。

発行側のメリット

まず、発行側のメリットとして3点あります。

発行・管理業務の効率化

大きなメリットとして、請求書発行・管理業務の効率化が挙げられます。

紙での請求書作成には、印刷して封筒に入れて切手を貼り、郵送するなどの工程が含まれます。郵送後、控えをファイリングして保管するため、オフィス内にスペースも必要です。しかし電子化を進めれば、その作業工程がなくなり、省スペース化にもつながります。

とくに電子データでやり取りすれば、請求書をPDF化してメールに添付して送信する必要もなくなり、大幅な業務効率化につながるでしょう。

コスト削減

請求書の電子化は、コスト削減につながります。

電子化することでペーパーレスになるので、請求書を印刷する紙、インク、切手代などが不要になります。建設業では取り扱う請求書の数が膨大になりやすいため、まずは請求書だけでもペーパーレス化を図ることで、年間で大幅なコスト削減につながるでしょう。

在宅勤務の推進

請求書の電子化によって、在宅勤務を推進できます。

紙の請求書を発行するには、印刷や郵送のために出社する必要があります。しかし、社内での承認作業を含めてオンライン上で処理できれば、自宅からでも対応できるようになります。また、担当者や承認者が工事の現場に出ていることが多い場合、わざわざ事務所に帰社する時間を取らなくても、出先から確認や承認が可能です。

経理部門のみでなく現場担当者も、従来より柔軟な働き方を進められるでしょう。

受取側のメリット

受け取り側のメリットとして、以下の3点が挙げられます。

オンライン上で受取可能

請求書を電子化することで、オンライン上で受取が可能になり、処理スピードが向上します。とくに電子データの場合、リアルタイムでのやり取りが実現します。

紙の場合は印刷や郵送、PDFならデータ化やメール添付などの時間が必要です。しかし電子データをやり取りする方法を使うと即日受取が可能となり、担当者や承認者がオフィスにいる時間が少なくても、出先から確認や承認ができます。その結果、社内処理や支払い手続きまでの時間短縮につながるでしょう。

処理業務の効率化

請求書の受領後に発生する処理業務も効率化できます。

紙の請求書を処理する際は、請求額など細かな数字を目視確認してシステムに打ち込む作業が必要です。

一方、AI-OCRであればスキャンするだけで読み取りを自動化できます。さらに、電子データでやり取りする場合は、転記や突合の手間も不要になります。

再発行依頼の迅速化

請求書が電子化すれば、再発行依頼の迅速化も期待できます。

請求書を受け取って修正事項を見つけた場合、相手方に再発行を依頼することになります。これまでは依頼後、紙の請求書を再度郵送してもらい、到着まで数日待つ必要がありました。

しかしPDFや電子データでやり取りできれば、即日対応も可能になるでしょう。

建設業向け請求書電子化システムの選び方

建設業で請求書の電子化を進める場合、一般的に以下のいずれかを選ぶことになります。

  • AI-OCRを活用する方法
  • 電子データを送受信する方法

選び方のポイントとして、自社に合った方法を見極めたうえで採用することが大切です。ここでは、ケース別におすすめの選び方を紹介します。

ケース1:すぐに電子化したい

「まだ何も対応を進めておらず、法令対応のためにすぐに電子化を進めたい」という場合には、AI-OCRから始めるのがおすすめです。

たとえば当社が提供する「BP Storage for 請求書」というサービスを活用して、AI-OCRでデータ化する方法を紹介します。

「BP Storage for 請求書」は、請求書の受取業務を効率化するサービスです。インボイス制度と電子帳簿保存法に対応しながら、受領後の処理を自動化します。PDFやメールで受け取った請求書は自動的取り込みが可能で、紙の請求書もスキャンするだけで処理できます。どのような形式の請求書でも、AI-OCRとオペレーターの確認により、99.9%の精度でデータ化されます。

ケース2:システム導入後、紙の請求書も届く

「電子請求書システムをすでに導入済みだが、まだ紙の請求書も届くので二重管理となり、手間が増えている」というケースでは、AI-OCRだけでなく電子データも併用して使い分ける方法がおすすめです。

たとえば当社が提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」は、企業間取引で請求書を電子データで発行・受領するサービスです。このプラットフォームを利用することで、紙の請求書を削減し、効率的なデジタル管理が可能になります。

取引先と連携のうえ「BtoBプラットフォーム 請求書」で請求書を電子データで発行・受領します。一方、紙やPDFで受領した請求書は「BP Storage for 請求書」を使って取り込み、AI-OCRによりデータ化します。

これによりすべての請求書が電子化され、一元管理が実現します。結果として、請求書処理の効率が大幅に向上し、法令にも準拠した運用が可能になります。

ケース3:協力会社間でデジタル化を本格的に進めたい

「協力会社間でシステムを活用し、すべて電子データで送受信してデジタル化を本格的に進めたい」と考えている場合には、取引区分によって「BtoBプラットフォーム TRADE」と「BtoBプラットフォーム 請求書」を導入するのがおすすめです。

建設業では、元請と協力会社(発注先)には複数の取引区分が存在します。発注書を交わす「取極め」と、発注書を交わさない「未取極め」や「随時取引」、「一般経費」などが挙げられます。

この中で「未取極め」や「随時取引」「一般経費」では、電子請求書サービス「BtoBプラットフォーム 請求書」で対応することで、商流のすべてにおいて真のデジタル化が実現します。

それ以外の「取極め」の取引には電子発注サービス「BtoBプラットフォーム TRADE」と「BtoBプラットフォーム 請求書」の両方を活用して、見積から請求までを電子データでやり取りすると便利です。

まとめ

建設業で請求書のやりとりを電子化するためには、さまざまな課題や考慮すべき事項があります。

取極めの有無や随時取引、一般経費など、さまざまな種類の請求書をデータ化する必要があり、取引先が紙の請求書を希望する場合もあるでしょう。

このような事情をカバーできる、建設業に適した電子請求書システムを導入すれば、複数のハードルをクリアできます。

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