建設業で発注書を電子化する方法とは?メリットや事例を紹介

建設業向けの発注書を電子化する方法やメリット、事例などをご紹介します。

働き方改革やDXの推進によって、建設業でも発注書の電子化を検討する企業が見られます。発注書の電子化を進める際には、法令を遵守しながら自社の課題解決につながる方法を取り入れることが大切です。

本記事では、建設業における発注業務の課題や解決する方法、発注書を電子化するメリット、電子化の際のポイントをわかりやすく解説します。ITツールを導入して発注書の電子化を進めた事例も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

 

建設業における発注業務の課題

はじめに、建設業における発注業務に関する課題について解説します。

 

電話やメール経由の受発注で、ミスや漏れが発生する

電話やメールでの受発注で、記録ミスや漏れが発生する場合があるという課題が挙げられます。

電話で受発注が行われた場合、正確な内容がわからず後で「言った・言わない」の水掛け論につながる可能性もあります。

また、メールの本文に発注内容が記載されている場合は、自社の管理システムに転記が必要となりますが、その際に誤った内容を入力したり記録し忘れたりするなど、ケアレスミスが発生しやすいといえます。さらには、メールそのものを見落とす恐れもあるでしょう。

なお、建設工事の下請負は原則として下請法の適用外であるため、発注書の発行は義務付けられていません。しかし、取引先とトラブルを防ぐためにもケアレスミスが起こらない手段での工事発注書の発行が必要だといえます。

取引先ごとに書式が異なり、転記作業に手間がかかる

次に、発注書を紙やPDFでやり取りする場合、取引先ごとに書式が異なり、自社システムへの転記作業に手間がかかる点が挙げられます。

たとえば工事発注書には、以下のような項目が記載されています。

<基本事項>
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 取引金額
<工事の具体的な内容>
  • 施工現場名
  • 納期
  • 日払期日
  • 工事内容

転記しようとする際に書式が異なると、内容は同じでも見るべき箇所が変わり、転記作業が煩雑になって担当者の負担が増大します。

発注書と見積書、請求書との照合作業に時間がかかる

建設業の企業間取引においては、見積書や発注書、請求書などさまざまな書類のやり取りが発生し、経理担当者は書類間の照合作業を行わなければならない点も挙げられます。

それぞれが紙の書類で発行されている場合、該当の書類を探して突き合わせる必要があるので、非常に時間がかかります。取引先の数が多い大規模な工事では書類の枚数も増えて照合作業に時間を取られ、ほかの業務に手が回らなくなることも想定されます。

また、突合の際に見落としなどのミスも発生しやすく、ミスに気づかずそのまま放置していると損失が発生するなど、正確な会計処理を行えなくなる可能性も考えられます。

発注書の承認業務のために現場から事務所へ戻る必要がある

紙で発注書をやり取りしている場合、責任者が現場や外出先から内容を確認できないため、承認までのスピードが遅れるという課題もあります。

たとえば現場監督などが、現場作業の終了後、発注書の承認のためにわざわざ現場から会社へ戻る必要があります。現場作業にかかる時間に加えて、移動時間とデスクワークの時間が発生して残業時間の増加につながるなど、現場監督への負担が大きくなります。

 

建設業で発注書の電子化にはITツールを活用する方法が有効

前章で述べたように、口頭でのみなし発注や、紙の発注書でやり取りを行うと、さまざまな課題が発生します。

そこで、取引書類を電子化するためのITツールを導入してデータをやり取りすると、発注書をデータで作成・送信・管理することが可能になり、大幅な業務効率化を見込めます。また取引書類を電子化できるITツールでは、受発注だけでなく、見積・契約・請求・支払といった作業をWeb上で一元管理でき、ペーパーレス化が実現します。

「発注書の電子化・ペーパーレス化」というと、「Excelで作成しメールに添付して送付する」という方法がまず思い浮かぶ方も多いはずです。

当社が2024年2月に行った調査結果によると、建設業における発注書(工事発注契約書)の受け渡し方法は、「Excelやスプレッドシートでの受け渡し」が「紙での受け渡し」に続いて2番目に多いことがわかりました。さらに2023年の調査結果と比較して、「Excelやスプレッドシートでの受け渡し」の割合が増加していることも明らかになりました。

2024年2月インフォマート調査「建設業における発注書(工事発注契約書)の受け渡し方法」グラフ

しかし、紙からExcel、またはPDFへシフトしただけでは、メールに添付する作業や転記作業が残るため、課題解決につながっているとはいえません。紙と同様に処理業務に手間がかかり、転記ミスや漏れが発生する恐れも考えられます。

そこで、発行側が取引書類を電子化するITツールを使って、取引先とデータをやり取りし、受取側も同様のITツールを利用することで転記作業の必要がなくなるなど、真のデジタル化が実現します。

ITツールを活用して発注書を電子化する具体的なメリットは、次の章で詳しく解説します。

 

建設業の発注書を電子化するメリット

ここからは、建設業においてITツールを活用して発注書を電子化するメリットを詳しく見ていきましょう。

 

発注業務の効率化につながる

ITツールの導入によって電子化を図ることで、発注業務の大幅な効率化につながります。

導入後は電話やメールを使うことなく、Web上で発注を含むすべての取引の進捗を確実に管理できるようになります。発注側・受注側の双方が同じ画面でデータを共有でき、発注にまつわる項目の見落としや行き違いが減少するからです。

さらに「見積書から発注書」「発注書から出来高報告書」「出来高報告書から請求書」を起票できるなど、一連の書類を連携して作成することが可能になります。 金額、日付、案件名など同じ情報を何度も入力する手間が省かれ、すべてのデータをWeb上で一元管理できるので、これまで面倒に感じていた書類間の照合作業は大幅に削減され、転記作業は不要になります。

現場からでも承認作業ができる

発注書の確認・承認がWeb上で完結するため、承認者が現場から事務所へ戻る必要がなくなります。移動の無駄が減って、残業時間の削減につながるでしょう。

また、ペーパーレス化によって、郵送作業やファイリングがなくなることはもちろん、経理など事務作業を担当する従業員は在宅勤務に移行することも可能になるので、より柔軟な働き方を推進しやすくなります。

発注書の紛失を防止できる

紙の発注書を電子化してWeb上で管理することで、「紛失・経年劣化などで過去の発注書が見られなくなる」という事態を防止できます。

導入したITツールではじめに検索要件を適切に設定して書類を保存しておけば、必要なときすぐに必要な書類にアクセスでき、内容の可読性も担保できます。

また、紙で保管しておく場合には、倉庫やキャビネットなどスペースが必要でコストがかかりますが、電子化することで省スペース化にもつながります。

電子署名とタイムスタンプを発注書に付与できる

ITツールによっては、発注書や発注請負に電子署名とタイムスタンプを付与することが可能です。

電子署名とは、電子文書に付与する証明で、紙文書の署名(サイン)に相当します。本人確認・非改ざん証明ができ、電子文書に法的効力をもたせることが可能です。

また、タイムスタンプとは、電子文書が「ある時刻に、確実に存在していたこと」を証明する電子的な時刻証明書です。タイムスタンプが付与されていれば、「その時刻以降は誰も内容を変更していない」という意味になり、非改ざん証明になります。

この2つが発注書や発注請書に付与されると、契約書同様の効力が生まれます。また約款を添付する必要がなくなり、印紙代の削減にもつながる点がメリットです。

電子帳簿保存法に対応できる

ITツールによっては、電子帳簿保存法に対応可能です。

電子帳簿保存法とは、1998年に施行された税金関係の書類を電子データで保存するための要件が定められた法律のことです。2022年1月に改正され、電子取引のデータ保存が義務付けられ、猶予期間を経て2024年1月から完全義務化となっています。

電子帳簿保存法では、発注書や請求書、見積書などを含む「取引関係書類」も対象で、電子メールやクラウドサービスなどで受け取った場合、データを保存しておかなくてはなりません。

電子取引の保存要件は、次のとおりです。

真実性の要件
改ざん・削除の抑止対策を取っていること

(例)
  • タイムスタンプ付与後に、取引情報の授受を行う
  • 取引情報授受後、速やかにタイムスタンプを付与し、「誰が保存・管理している文書なのか」を明らかにしておく
  • 「内容の削除・訂正履歴がわかるシステム」か「内容の削除・訂正ができないシステム」で保存・管理する
  • 正当な理由なく内容の削除・訂正が行われた場合、どのように対処するかをあらかじめ決めておく
可視性の要件
税務調査時に必要なデータをすぐに見せられるようにしていること

(例)
  • パソコン、ディスプレイ、プリンタ、ソフトウェアを備えておき、すぐに電子帳簿の内容を見せられる、必要なデータを検索できる
  • パソコンのシステム概要書を備え付けておく

改正電子帳簿保存法を理解したうえで、法に準拠した形でデータ保存ができるITツールを導入することで、法令遵守の観点からも安心して利用できます。

 

建設業の発注書を電子化する際のポイント

建設業の発注書を電子化する際の3つのポイント

ここからは、建設業の発注書を電子化する際のポイントについて解説します。

 

JIIMA認証を取得しているITツールを選ぶ

「JIIMA認証」を取得しているITツールを選びましょう。

JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実施している、電子帳簿保存法に関する認証制度のことです。電子帳簿保存法第10条の法的要件を満たしたITツール(システム)に対し認証され、システムにはJIIMA認証のロゴが表示されます。

JIIMA認証を取得しているシステムは、電子帳簿保存法に対応しているため、導入検討時に細かな要件をチェックせずとも、安心して利用できます。

適切なアクセス権限を設定する

ITツールを活用する際は、組織内で適切にアクセス権限を設定・付与することが重要です。

インターネット接続で誰でもアクセスできる状態になってしまっていると、発注書の情報漏洩につながる恐れがあります。そこで担当者のみがアクセスできるよう権限を設定し、さらにアクセスログを確認できるようにするなど、不正アクセス対策を強化することが大切です。

取引先と調整する

発注書の電子化を進めるには、自社だけでなく取引先にもITツールを活用してもらえるよう、場を設けて説明・調整を行う必要があります。

自社だけが電子化を進めても、取引先から紙やPDF、Excelファイルの発注書が送られてきては、読み取りや転記作業などが必要になり、大幅な業務効率化は実現しません。

そこで導入企業数が多く、操作しやすいITツールを活用することで、取引先にもすすめやすくなるでしょう。

 

建設業で発注書の電子化には「BtoBプラットフォーム TRADE」がおすすめ

建設業で発注書を電子化する場合には、「BtoBプラットフォーム TRADE」の活用がおすすめです。

「BtoBプラットフォーム TRADE」は、見積・発注・受注・納品・検収・請求業務をWeb上で一元管理できるプラットフォームです。100万社以上、上場企業の90%以上がすでに利用しているため、取引先とも調整しやすく、導入後は取引先とデータのやり取りが実現します。

また見積書の内容をそのまま発注書に利用でき、さらに発注書から出来高報告書を作成できるなど、建設業の商習慣に沿った一連の書類業務が大幅に効率化する点もメリットです。

JIIMA認証を取得済みで、発注書・発注請書に電子署名やタイムスタンプの付与も可能です。インボイス制度にも対応していて、建設業に適したプラットフォームだといえます。

続いて、「BtoBプラットフォーム TRADE」を実際に導入した建設関連企業の事例を紹介します。

 

【導入事例】業務の50%をデジタル化|明和工業株式会社

建物の空調設備に使われる、ダクトの製造・施工などを手掛ける「明和工業株式会社」。受注は年間3,000件を超え、外部の協力会社と交わす紙の取引書類の処理に、日々追われていました。

そこで、ペーパーレス化を目指して「BtoBプラットフォーム TRADE」を導入。その結果、電子化が進んで紙でのやり取りは従来の半分に減り、アナログな作業が激減しました。また、請求書のインボイス制度対応や、電子帳簿保存法への対応もスムーズに進んだといいます。

>>明和工業株式会社様の事例はこちらから

【導入事例】約600社の発注をデジタル化|株式会社飯田組

静岡県の総合建設業「株式会社飯田組」も、発注書をはじめとする書類を一貫してデジタル化する目的で、「BtoBプラットフォーム TRADE」を導入しました。

その結果、発注の9割以上のデジタル化・ペーパーレス化が実現。社内や取引先の負担が減り、工数削減、取引に関わる支払のスピードアップなど、組織全体で業務が迅速に進行するようになりました。

>>株式会社飯田組様の事例はこちらから

 

まとめ

本記事では、建設業で発注書を電子化するメリットや、電子化のためのITツールをどのような観点で選ぶと良いかについて、詳しく解説しました。

これから電子化に踏み切ろうとする企業担当者は、以下2点のポイントにフォーカスしてツール選定をするのがおすすめです。

  • 電子帳簿保存法に対応しているか
  • 建設業の商習慣に対応しているか

実際の業務フローに最適な形で電子化を進められ、なおかつ法令にも対応した製品を選ぶと安心です。

本文中でご紹介した「BtoBプラットフォーム TRADE」は、上記2点をいずれも満たすITツールです。さらに詳しいサービス内容を知りたい方に向けて、無料のお役立ち情報を提供しています。お気軽にダウンロードしてご活用ください。

見積から発注・請求までをクラウド管理|BtoBプラットフォーム TRADE

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