建設業で出来高報告書を電子化する方法やメリットを解説

建設業特有の文化である出来高払い。受発注業をデジタル化する際には、出来高報告書のプロセスも含めて検討することが大切です。本記事では、出来高報告書を電子化するメリットや方法をわかりやすく解説します。

建設業特有の商習慣として、施工途中の進捗状況に合わせて「出来高払い」が行われる点が挙げられます。出来高払いに際して、受注者は発注者に出来高報告書を提出しなければなりません。近年、建設業でも働き方改革を実現するためにデジタル化が推進されており、受発注業務を効率化するには、出来高報告から請求までのプロセスも含めたデジタル化を検討する必要があります。

この記事では、建設業における出来高報告書の意味や課題、電子化する方法、ITツールを導入するメリットや選ぶポイントなどを解説します。

 

建設業における出来高報告書とは

建設業における出来高報告書とは、建設工事の施工が完了した箇所について、以下の項目を報告するための書類です。

  • 数量
  • 進捗率
  • 出来高金額など

建設工事は長期間に及ぶ場合があり、通常は工事が完成しなければ請負業者は代金を請求できません。しかし、工事が完了していなくても、施工が完了した「出来高」に基づいて請求し、支払を行うことがあり、「出来高払い」や「出来高精算」などと呼ばれます。

出来高払いの根拠となるのが「出来高報告書」であるため、正確に進捗状況を記録する必要があります。

建設業法第24条3項の「下請代金の支払」

出来高払いについては、建設業第24条3項の「下請代金の支払」で、以下のように定められています。

元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

引用:建設業法|e-GOV

この建設業法条文冒頭の「出来形部分に対する支払」が「出来高払い」を指しています。

工事完成後の支払だけではなく、「出来高払い」を受けたときは、元請負人は下請負人に対し、相当する代金を1カ月以内に支払わなければならない、と支払の期日が定められています。「1カ月以内」という期日は建設業界の慣習から決められたもので、実際は「できる限り短い期間で支払う」ことが求められています。

なお、正当な理由がなく、1カ月以上経っても支払われていなければ、建設業法違反となるので注意が必要です。

建設業で出来高払いが必要な理由

建設業で出来高払いが必要な理由は、工事に多くの資材・人員の調達が必要で、長期にわたる大規模工事では下請業者の資金が途中でショートし、経営が圧迫される恐れがあるためです。

そこで、出来高払いを取り入れると、発注者や元請、下請業者がお互いにコストを負担することになり、リスクを分散できます。

また、出来高分を支払う際に、工事の途中で進捗状況の確認や品質チェックを実施するため、工事全体の品質向上にもつながると期待できます。

建設業の出来高報告書に関する課題

ここからは、建設業における出来高報告書に関する課題を紹介します。

電子化が進んでおらず、紙のやり取りが多い

現状では、出来高報告書の電子化が進んでおらず、紙のやり取りが多い点が課題の一つだといえます。

当社が2024年2月に実施した調査結果によると、請求書や見積書などの建設業務で必要な書類のうち、もっとも電子化が遅れているのは出来高報告書で、電子化の状況は3割程度であることがわかりました。

勤務先における書類の電子化情報のグラフ

電子化が進まなければ、紙の取り扱いが増えて管理業務が煩雑になります。印刷コストや保管スペースも必要で、確認したい資料を探すのに手間がかかるなど、紙での管理・運用は複数のデメリットを伴います。

転記作業に手間がかかる

紙で送られてきた出来高報告書の記載内容を自社システムに転記する際、作業に手間がかかる点もデメリットだといえます。工事内容ごとの数量や単位、金額など、細かい数字を入力する際にミスが起こりやすいためです。

さらに、差し戻しが発生すると、再度紙のやり取りが必要になり、修正作業に時間がかかってしまいます。また、大規模な工事で複数の協力会社と取引がある場合、出来高報告書の量が膨大になり、入力に何日もかかるケースも想定されます。

発注書や出来高報告書、請求書の確認作業が煩雑になる

建設業の企業間取引では、「見積書から発注書」「発注書から出来高報告書」「出来高報告書から請求書」を作成する必要があり、書類の確認作業が煩雑になりがちです。

それぞれを紙の書類でやり取りしている場合、該当する書類を探し出して突き合わせが必要です。経理担当者は突き合わせ業務に時間がかかり、さらにミスも起こりやすいと懸念されます。

また、出来高報告書の確認作業について、現場の進捗状況をよく把握している現場監督などが行う場合、現場から事務所へ戻って取りかかる必要があります。移動・残業時間が発生し、業務負荷が増大してしまうでしょう。

 

建設業の出来高報告書を電子化する方法

ここからは、建設業の出来高報告書を電子化する2つの方法を紹介します。

Excelやスプレッドシートを利用する

紙の出来高報告書を電子化する方法として、おそらく多くの担当者は、紙からExcelやスプレッドシートへ切り替えて、メールやチャットツールなどで送る方法をまず思い浮かべるでしょう。

実際、当社が実施した調査結果でも出来高報告書の受け渡し方法は、「Excelやスプレッドシートで行っている」が23.5%と、もっとも多いことがわかっています。

勤務先における書類の受け渡し方法についてのグラフ

しかし、紙からExcelやスプレッドシートへ変えただけでは、メール添付や転記作業に手間がかかり、前項で述べた課題は残ります。 課題を解消し、真のデジタル化を実現するには、次項で紹介する方法を導入することが重要です。

ITツールを活用して「データtoデータ」を実施する

出来高報告書の発行側・受取側の両方がITツールを活用し、データでのやり取りを意味する「データtoデータ」を実施する方法が有効です。

この方法では、発注書の内容を出来高報告書へ転記したり、送付作業を行ったりする必要がなくなり、大幅な業務効率化が実現します。さらに、作業ミスや漏れを大幅に低減させることが可能です。詳しいメリットは、次章で解説します。

ITツールを導入して出来高報告書を
電子化するメリット

出来高報告書を電子化する3つのメリット

ここからは、ITツールを導入して出来高報告書を電子化するメリットを紹介します。

書類を連携して入力工数を削減できる

ITツールを導入して、「見積書から発注書」「発注書から出来高報告書」「出来高報告書から請求書」と、一連の書類を連携して作成できるようになると、入力工数が大幅に削減されます。

データでのやり取りが実現し、Web上ですべてのデータを一覧で確認できるので、照合作業も簡素化されます。転記作業は必要なくなり、入力ミスや漏れを大幅に低減することが可能です。

書類業務にかかる時間を減らせるため、スムーズかつ正確な請求や支払が期日までに実現すると期待できます。

すべてのやり取りがWeb上で完結する

出来高報告書からの請求処理だけでなく、社内の承認依頼まで対応できるITツールを選ぶことで、すべてのやり取りがWeb上で完結できるようになります。

出来高報告書を作成できるITツールの中には、請負工事で発生する出来高報告書のやり取りはもちろん、出来高査定や、差し戻し処理にも対応できる製品があります。現場担当者は、紙の出来高報告書を確認するために事務所へ戻る必要がなくなり、現場や出先からでも出来高報告書の内容をチェックし、対応することが可能になります。

従来と比較して、より柔軟な働き方や、残業時間の削減が促進されるでしょう。

ペーパーレス化によってコスト削減につながる

ITツールを導入することで、ペーパーレス化が実現してコスト削減につながります。紙で運用・管理している場合、印刷代、配送費用、廃棄コストなど、さまざまな費用を伴います。しかし、ペーパーレス化が実現すると紙のやり取りはなくなるため、これらの費用は不要になります。

出来高報告書を電子化するITツールを
選ぶポイント

ここからは、出来高報告書を電子化するITツールを選ぶポイントを紹介します。

建設業の商習慣に対応している

まず、建設業の商習慣に対応したITツールを選ぶことがポイントです。

どの業界でも受発注業務は発生しますが、出来高請求・支払は建設業で慣習的に行われているものです。通常の発注書や請求書、契約書の作成・承認フローの電子化に加えて、以下の条件を満たすITツールを使う必要があります。

  • 受注側が、作業内容の内訳を記載した出来高報告書を提出できる
  • 発注側が、受注側の起票内容を確認・承認できる

建設業の商習慣に対応したITツールでなければ、出来高報告書のみExcelやスプレッドシートを使う必要があるなど、別途対応が求められ、真のデジタル化の実現は難しいでしょう。

取引先にすすめやすい

「データtoデータ」での取引を実現するには、自社だけでなく取引先にも同じITツールを利用してもらう必要があるので、他社にすすめやすいツールを導入することも大切です。

建設業の現場で働く人々は、ITツールに苦手意識を持っている場合もあると考えられます。そこで、誰にとっても使いやすく、なおかつ導入企業数の多いITツールを選ぶと良いでしょう。

出来高報告書の電子化におすすめのツールは
「BtoBプラットフォーム TRADE」

建設業で発注書を電子化する場合は、建設業の商習慣に対応している「BtoBプラットフォーム TRADE」の活用がおすすめです。

出来高報告と請求だけでなく、見積・発注・受注・納品・検収業務もWeb上で一元管理できるようになります。100万社以上、上場企業の90%以上がすでに利用しているため、取引先にもすすめやすいツールです。

「BtoBプラットフォーム TRADE」では「データtoデータ」でのやり取りが実現し、発注書から出来高報告書、出来高報告書から請求書と、受発注側で同じデータを使うことになるので、転記が不要になります。業務効率化や、業務負荷の低減に大きく貢献します。

まとめ

本記事では、建設業において出来高報告書を電子化するメリットと、電子化実現に向けた具体的なツール選びのポイントを解説しました。

建設業では、書類業務が意外と多いものです。本来集中すべき現場業務に加えて、書類の作成・確認に時間を取られ、残業時間が増大してしまっている会社も少なくないでしょう。

煩雑な書類業務は、電子化によって大幅に効率化が可能です。大きく効率化が進めば会社全体で残業時間が減って、建設業に求められている働き方改革も推進できるでしょう。

「書類業務をラクにしたい」とお考えの企業様は、建設業の商習慣に対応している「BtoBプラットフォーム TRADE」の活用をぜひご検討ください。

 「BtoBプラットフォーム TRADE」

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