最終更新日:2024年2月15日
目次
- 電子請求書とは電子データ化した請求書
- 電子請求書の作成は、法的に認められている?
- 電子請求書の保存方法は、電子帳簿保存法に定められている
- 電子請求書の3つのタイプ
- 電子請求書を作成・発行する時の注意点
- 電子印鑑が必要か顧客に確認する
- 電子請求書とは別に書面の郵送が必要か顧客に確認する
- 電子請求書のメリット
- 作成・郵送にかかる手間とコストを削減できる
- 請求書の保存や管理が楽になり、紛失のリスクを低くできる
- 承認業務を効率化できる
- 顧客の受け取り状況を可視化し、月次決算を早期化できる
- 受け取った請求書の仕訳入力を効率化できる
- 電子請求書の導入がうまくいかない理由
- 顧客の信頼を得られない
- 導入しても社内に認知が広がらない
- 受け取る請求書が紙のままでデータと紙が混在する
- 電子請求書の導入で請求書業務を効率化しよう
電子請求書とは電子データ化した請求書
電子請求書とは、電子データ化し、メールやウェブ上でやりとりできるようにした請求書です。請求書を電子化することで、発行にかかる作業時間や郵送コストなどを削減でき、受け取る側も発行されたらすぐに確認できるといったメリットがあります。
電子請求書であれば、関連法である電子帳簿保存法により、電子データでの保存が原則となっていますので、紙の原本の保存も不要です。そのため、企業間の取引でも電子請求書の利用が進み、電子請求書を導入することで、経理業務のテレワーク化を目指す企業も増えてきています。
電子請求書の作成は、法的に認められている?
電子請求書は、法的に発行が認められている書類です。データで作成された請求書であっても、紙の請求書と同等の効力を持ちます。なお、電子請求書にも電子印鑑で押印することが可能ですが、仮に押印されていない電子請求書であっても、効力は紙の請求書や押印された請求書と変わりません。電子請求書の保存方法は、電子帳簿保存法に定められている
電子帳簿保存法とは、1998年に施行された書類のデータ保存に関する法律です。電子帳簿保存法には、保存対象の書類の種類に応じて「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分が設けられています。それぞれの概要は、下記のとおりです。<デ―タ保存の3つの区分>
・電子帳簿等保存:最初から最後までパソコンなどで電子的に保存した帳簿および書類に関する保存区分
・スキャナ保存:紙で受け取った書類をスキャンして保存する場合の保存区分
・電子取引:電子データで受け取った書類に関する保存区分
取引関係書類には、請求書や領収書、見積書、契約書などのほか、それぞれの書類の控えも該当します。顧客から受け取った電子請求書も、自社が発行した電子請求書の控えも、電子帳簿保存法が定める電子取引の要件に則った方法で保存しなければなりません。
なお、電子データでやりとりした請求書などの取引関係書類は、2022年1月の電子帳簿保存法改正によって、電子データのまま保存することが義務付けられました。2023年12月31日までは宥恕措置でしたが、2024年1月以降、原則としてデータ保存が義務化されています。電子請求書の保存を行う際の要件は、それぞれの事業者の規模等によってさまざまです。自社が満たすべき要件を確認して、対応しましょう。
※詳しい要件や宥恕措置、2024年1月からの新たな猶予措置などの詳細については、「電子帳簿保存法におけるデータ保存はいつから?猶予措置とともに解説」をご覧ください。
電子請求書の3つのタイプ
電子請求書サービスは提供する事業者ごとに特徴があります。電子請求書のタイプによって得意なこと・苦手なことが異なるため注意が必要です。■電子請求書の主な種類
タイプ | メール配信型 | PDFダウンロード型 | 電子データ型 |
特徴 | 請求書(PDF)をメールに添付し送信するツール | クラウド上に請求書(PDF)をアップロードし送信するツール | クラウド上で請求書を作成し、発行・受取できるツール |
セキュリティの担保 | ✕ | ◯ | ◯ |
検索性 | ✕ | △ 保存は数ヵ月 |
◯ |
取引先の受け取り状況の把握 | ✕ | △ ダウンロード状況を把握 |
◯ 未確認の取引先へ一括で催促可能 |
ペーパーレス化 | ◯ | ◯ | ◯ |
請求書への押印 | 不要 | 不要 | 不要 印影の登録が可能 |
電子帳簿保存法対応への注意点 | 自力で電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある | 使用する電子システムが電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある | 使用する電子システムが電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある |
テレワーク対応 | ◯ | ◯ | ◯ |
事業規模 | 個人事業主、中小企業 | 中小企業 | 中小~大企業 |
近年はクラウドサービスが伸長し、インフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」のような「電子データ型」を導入する企業が増えてきました。電子データ型も、サービスによってできること・できないことが異なります。たとえば、請求書の受取業務も電子化でき、支払通知書の発行ができるのは「BtoBプラットフォーム 請求書」の特徴のひとつです。製品の比較検討の際には自社の希望に沿った機能があるか確認しましょう。また、多くの取引先がすでに導入しているサービスなら、取引先への案内もスムーズに行うことができます。
電子請求書を作成・発行する時の注意点
電子請求書の発行は、自社だけでなく顧客にも影響を及ぼします。これまで紙の請求書を発行していた事業者が新たに電子請求書を導入する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
ここでは、特に気をつけるべき2つの注意点について、それぞれ説明します。
電子印鑑が必要か顧客に確認する
電子請求書に、電子印鑑を押印する必要があるかどうかを顧客に確認しておきましょう。
請求書に印鑑は必須ではなく、押印の有無によって効力が変わることはありません。しかし、商慣習として押印を必要としている企業も少なくないはずです。電子化にあたって、押印が必要かどうか確認しておくと安心です。
なお、電子印鑑には、電子的な識別情報が付いたものと、単純に印影画像などを利用するものの2種類があります。どちらが必要なのかも併せて確認しておくことが大切です。印影画像を使った電子請求書は、印影を電子化した画像を請求書に配置するだけで作成できます。しかし、電子的な識別情報が必要な場合は、有料の電子請求書発行システムなどの導入が必要となるため、注意が必要です。
電子請求書とは別に書面の郵送が必要か顧客に確認する
これまで紙の請求書を発行していた事業者が電子請求書を導入する場合、顧客に別途紙の請求書が必要かどうか確認しておくと良いでしょう。なお、電子帳簿保存法では、取引慣行上や社内ルールでデータと別に紙の請求書を原本としてやりとりしている場合、原本の保存が必要とされています。データと紙の両方を発行し、紙を原本としている場合は、紙の請求書を保存してください。
電子請求書のメリット
紙の請求書から電子請求書に移行することで、さまざまなメリットがあります。現状の請求書処理業務に課題を感じている事業者は、請求書の電子化によって解決できるかもしれません。ここでは、事業者が電子請求書を導入することによって得られる6つのメリットをご紹介します。
作成・郵送にかかる手間とコストを削減できる
電子請求書を導入すると、請求書を発行する側と受け取る側、双方の手間とコストを削減することができます。
データで書類をやりとりする電子請求書なら、月初や月末の繁忙期に紙の請求書を印刷して封筒に入れ、郵送するといった単純作業が不要です。また、請求書を受け取る側も、届いた封筒を開封し、中身を確認した上で担当者に確認してもらうといった手間をなくせるでしょう。
さらに、差し戻しや再発行があった場合も、電子請求書なら即対応が可能です。紙の請求書に修正が生じると、新たに書類を発行して郵送しなければならず、時間と手間、コストがかかります。顧客の支払業務にも遅れが生じてしまいます。電子請求書であれば、連絡をもらったその場で修正してすぐに送信することも可能です。
また、電子請求書は郵送コストもかからないため、特に多数の顧客に請求書を発行する事業者にとっては、大きなメリットがあるといえます。
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請求書の保存や管理が楽になり、紛失のリスクを低くできる
データで管理される電子請求書なら、保存場所を事務所内に確保する必要がなく、紛失のリスクを低くすることができます。
過去の書類を確認したいときも、膨大なファイルの中から該当の請求書を探すのではなく、該当するデータを呼び出すだけで完了するため、確認作業が簡単になります。また、書類の削除などの履歴が残るシステムを利用すれば、誤って破棄したり紛失したりするリスクも低くできるでしょう。
ただし、そのためには電子請求書をきちんと整理して管理・保存できるシステムの導入が必要です。自社で書類保存用のフォルダなどを作成し、検索が可能なファイル名をつけたり表計算ソフトで管理したりする方法もありますが、このような方法では、保存する書類の量が多くなっていくと問題が生じるおそれもあります。自社に適した方法を検討したうえで、導入することが大切です。
承認業務を効率化できる
基幹システムと連携させたうえで電子請求書のデータを取り込むことで、転記ミスのようなヒューマンエラーは起きないため、金額のダブルチェックなどにかける時間を減らすことができ、請求書の承認業務を効率化できます。
また、出張などで事務所にいないときであっても、請求書発行の承認がスマホから可能なので、上長の押印を待つ必要もありません。ワークフローは画面上で確認でき、どの段階で止まっているのか一目でわかり、コメントをつけてやりとりすることも可能です。
顧客の受け取り状況を可視化し、月次決算を早期化できる
顧客に即時に送れる電子請求書は、顧客の受け取り状況の可視化や月次決算の早期化にも役立ちます。郵送で請求書を送付する場合、配達記録などを利用しなければ、顧客に到着したかどうかを確認できません。一方、電子請求書ならば、メール送信履歴やクラウドサービス上での発行履歴が残るため、顧客に届いていることをすぐに確認できます。
メールの開封状況まではわからなくても、多くの場合は、送信後1営業日以内には開封されるでしょう。また、顧客の書類確認状況がわかる請求書発行システムもあります。はっきり状況を可視化したい場合は、このようなシステムの導入も選択肢に入るはずです。
請求書の受け取り状況の可視化は、請求金額の早期確定にもつながるため、結果的に月次決算の早期化も実現することができます。スムーズな月次決算によって、精度の高い分析や損益管理が実現すれば、経営戦略も見通しやすくなるでしょう。
受け取った請求書の仕訳入力を効率化できる
学習機能のあるシステムを利用すれば、一度入力した勘定科目は翌月から自動で反映され、転記ミスのおそれもなく入力業務を省力化することができます。データは会計システムにそのまま取り込めて、ワークフローも可視化されるため、業務効率を飛躍的にアップできるでしょう。電子請求書の導入がうまくいかない理由
多くのメリットがある電子請求書ですが、うまく導入できないこともあります。ここでは、電子請求書の導入がうまくいかない3つの理由とそれぞれの解決策についてご紹介します。顧客の信頼を得られない
顧客が電子請求書を信頼しておらず、電子請求書の導入がうまくいかない場合もあるでしょう。電子請求書システムについて「本当に信用できるのか」「情報漏洩の心配はないのか」といった疑問を抱かれる可能性もあるため、請求書を電子化する際は、多くの企業で利用されている知名度が高く実績豊富なシステムを導入するのがおすすめです。「実際に◯万社で利用されている信頼できるシステムです」「このようなセキュリティ体制が取られているので安心です」などと、導入するシステムの導入実績やセキュリティ体制などを伝えることで、顧客からの理解を得やすくなります。
株式会社インフォマートが提供する電子請求書システム「BtoBプラットフォーム 請求書」であれば、100万社以上の利用実績があるため、顧客からの信頼を得やすいといえます。
導入しても社内に認知が広がらない
電子請求書をトップダウンで導入しても、現場の認知が広がらない場合、十分浸透しないおそれがあります。そのため、電子請求書を導入する際には、従業員への十分な周知や使い方のフォロー、顧客への案内方法の共有などが必要になるケースが一般的です。
株式会社インフォマートが提供する電子請求書システム「BtoBプラットフォーム 請求書」であれば、電話・メールからのお問い合わせをはじめ、請求書作成の基礎をマスターできる操作講習会や会員様専用のFAQなど、システム導入後のサポート体制が充実しています。サポート体制の整ったシステムを導入することで、社内の大きな混乱を招くことなく、スムーズに電子請求書を導入できるでしょう。
受け取る請求書が紙のままでデータと紙が混在する
電子請求書を発行できるようにしても、紙の請求書を受け取っていると、完全に電子化することはできません。受け取る請求書がデータと紙に分かれてしまい、かえって管理に手間がかかるおそれもあります。この問題を解決するためには、受け取った請求書の管理もできるシステムの導入がおすすめです。株式会社インフォマートが提供する電子請求書システム「BtoBプラットフォーム 請求書」であれば、請求書の発行だけでなく、受け取った請求書のデータ化も可能なので、データと紙が混在することなく、請求書の電子化をスムーズに進めることができます。
電子請求書の導入で請求書業務を効率化しよう
電子請求書の導入は、請求書の発行や管理の効率化につながります。電子帳簿保存法に対応したシステムを導入すれば、電子取引データ保存のための要件も簡単に満たせるはずです。
株式会社インフォマートが提供する電子請求書システム「BtoBプラットフォーム 請求書」は、ワークフローの可視化や仕訳の自動入力といった機能が搭載された請求書電子化システムです。紙の請求書を必要とする顧客への郵送代行や、紙で受け取った請求書の電子化も可能であるため、状況に合わせて無理なく電子化を進められるでしょう。ぜひご活用ください。
「BtoBプラットフォーム 請求書」についてのよくある質問はこちら
よくある質問 Q1.電子請求書の義務化はいつからですか? >2022年1月の電子帳簿保存法改正により電子取引におけるデータ保存が義務付けられ、2023年12月31日まで宥恕措置期間がありましたが、2024年1月から電子取引の書類は紙保存することができなくなり電子データのままの保存が義務化されます。詳しくは「電子帳簿保存法の改正内容は?2024年までに対応すべきことを解説」の記事をご確認ください Q2.電子請求書と請求書の違いは? 電子請求書と請求書の違いは印刷・郵送の手間、検索性の高さなどにあります。請求書を電子化することで、発行にかかる作業時間や郵送コストなどを削減でき、受け取る側も発行されたらすぐに確認できるといったメリットがあります。詳しくは「電子請求書とは?」をご確認ください |
監修者プロフィール
宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士