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注文書は電子化できる?電子化の手順やメリット、注意点などを解説

近年、インターネット網の発達や電子帳簿保存法の改正、柔軟な働き方の推進といった取引関係書類の電子化を後押しする動きが強まっています。その中のひとつとして、注文書の電子化が挙げられます。 そこで今回は、注文書を電子化する際の手順やメリット、電子化を行う際の注意点などについてご紹介します。

注文書は電子化できる?電子化の手順やメリット、注意点などを解説

最終更新日:2024年3月11日

目次

注文書の電子化を検討する企業が増えている理由

注文書の電子化を検討する企業は、近年増加傾向にあります。増加の一因となっているのは、2022年1月の電子帳簿保存法の改正です。ここでは、注文書の電子化につながる改正ポイントを見てみましょう。

電子データの保存が必須となったため

電子帳簿保存法の改正によって、電子的にやりとりされた取引関係書類は、データのまま保存しなければいけなくなりました。メールに添付された請求書やマイページからダウンロードした領収書などは、すべてデータ保存の対象です。
 
取引関係書類の一部がデータで一部が紙のままでは不便なので、注文書を含め、すべての書類をデータ化したいと考える事業者もいるでしょう。特に、電子帳簿保存法に対応した書類保存システムを導入する事業者は、データ化した書類の保存が容易であるため、できるだけ多くの書類をデータ化して業務効率向上につなげたいと考えるはずです。
 
なお、義務化は2023年12月31日まで宥恕措置の期間でしたが、2024年1月からは新たに猶予措置が設けられました。
 
※電子帳簿保存法の猶予措置については「電子帳簿保存法におけるデータ保存はいつから?猶予措置とともに解説」をご覧ください。

電子保存の要件が緩和されたため

電子帳簿保存法では、国税関係の書類や帳簿を「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分に分けています。これらの区分のうち、注文書が関係するのは、紙の書類をスキャナーなどで取り込んでデータ化する「スキャナ保存」と、電子化した書類をやりとりする「電子取引」です。
 
スキャナ保存と電子取引の書類を保存する際の要件は、2022年1月の電子帳簿保存法改正によってどちらも緩和されています。電子取引への対応は義務ですが、任意のスキャナ保存についても、要件が緩和されたことで対応しやすくなっているといえるでしょう。

注文書を電子化する手順

注文書の電子化は、順を追って行わなければいけません。早急に電子化に踏み切ると、後々問題になるおそれもあるため、下記のステップに沿って進めましょう。

電子化する書類の決定

まずは、自社が発行している取引関係書類のうち、どれを電子化するのかを検討しましょう。
日本の商取引では、さまざまな書類をやりとりします。注文書のほかにも、見積書や発注書、納品書、請求書、領収書といった取引関係書類があり、それぞれの企業の定めに応じて発行する書類が決まります。
 
発注書は買手が作成する書類、見積書や納品書、請求書は売手が作成する書類ですが、企業は買手と売手、どちらにもなりえます。また、発注書を売手のフォーマットで作成する事業者も珍しくありません。事業を営む上で生じる書類すべてを電子化するのか、一部のみ電子化するのかによって対応方法が変わるため、最初に決めておく必要があります。

電子化の方法と導入するシステムを選定

電子化する書類が決定したら、電子化の方法と導入するシステムを選びます。
注文書を電子化する方法は、下記のとおりです。
 
<注文書を電子化する方法>
・文書作成ソフトや表計算ソフトを使って自社で対応
・請求書などの取引関係書類発行システムを利用
 
さらに、注文書などのデータを電子帳簿保存法の形式に沿って保存できる書類管理システムを導入することもあるはずです。どのような方法でデータ化するのかを決めたうえでシステムを導入する場合、自社に合ったサービスを選ぶ必要があります。コストや機能、連携性などに応じて決定しましょう。

新しい運用体制の構築と社内外への周知


注文書の電子化に伴う新しい運用体制を定め、社内外に周知しましょう。注文書は自社が注文を行う際に発行する書類であるため、承認フローなども変更になる可能性があります。また、取引先への周知も必要です。注文書の発行に関連するすべての従業員と取引先に対して情報を伝達するとともに、必要に応じて新しいフローの説明などを行ってください。

注文書を電子化するメリット

注文書の電子化は、事業者に多くのメリットをもたらします。ここでは、注文書を電子化することで得られる主な6つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

コスト削減につながる

注文書を電子化することで、下記のようなコストを削減できます。
 
<注文書の電子化によって削減できるコスト>
・注文書用紙代、またはプリンターのインク代
・注文書を送るためのFAX、または郵送代
・注文書を手書きで作成したり、印刷して送ったりする人件費
・紙の注文書を保管するためのファイル代
・紙の注文書を保管するためのスペース代
 
1枚1枚のコストはそれほど大きくなくても、日常的な業務として日々積み重なれば、まとまったコストになるでしょう。特に注文書の発行枚数が多い企業は、電子化によるコスト削減効果を得やすくなります。

業務効率化できる

注文書を電子化することで、紙の注文書を作成・送付する手間を省くことができるため、結果的に業務効率化が可能です。ファイリングも不要となり、過去の履歴の検索も容易になります。
 
また、見積データなどから自動で発注書を発行できるシステムもあります。「発注書を売手側が作成し、取引先に記名して返送してもらう」といったフローをとっている企業の場合、見積データから自動で発注書データを作成できるシステムを活用すれば、書類作成時間を大幅に短縮できるでしょう。

テレワークしやすい

発注書を電子化することで、テレワークしやすくなるというメリットもあります。
 
オンラインで書類の発行や送付できるようになれば、発注業務担当者などがわざわざ会社に出向いて仕事する必要がなくなります。場所を問わずに働けるようになるため、急な家の用事で出社が難しいときなどでも、半休で対応してテレワークで発注書を作成するといった柔軟な対応が可能です。

環境保全に貢献できる

注文書に限らず、書類の電子化によって紙の書類を削減することは、環境保全につながります。
それぞれの企業がペーパーレス化に取り組み、実行していくことで、社会全体で消費する紙の量を軽減できるでしょう。また、注文書を電子化してテレワークを進めることで、マイカー通勤によるCO2排出量低減にもつなげられます。
 
ペーパーレス化の推進やテレワークの導入などによるCO2排出量や紙の使用量削減は、環境省による環境基本計画にも盛り込まれています。社会を構成する1企業として、できることから導入するのが大切です。

経年劣化や汚損リスクがない

電子化した注文書は、経年劣化や汚損の心配がありません。物理的に紙の書類を保管するわけではないため、見やすい状態のまま、何年でも保存できます。
 
ただし、データの破損や削除には注意が必要です。データをクラウド上に保存できるシステムの利用や、バックアップの徹底を心掛けましょう。

セキュリティ強化につながる

セキュリティ強化につながる点も、注文書を電子化するメリットのひとつです。
 
システムを利用して注文書を電子化した場合、決められた担当者以外は注文書の閲覧や発行ができないように制限をかけられます。一方、紙の注文書の場合、鍵付きのキャビネットにしまうといった対策はできるものの、どうしても情報漏洩リスクが高くなります。自社が発行した注文書の控えや他社から受け取った注文書をセキュリティの高い環境で確実に保存したい場合は、電子化して保存するのがおすすめです。
 
ただし、表計算ソフトや文書作成ソフトの注文書を利用して社内のサーバーに保存する、といったケースでは、別途セキュリティ対策が必要です。

注文書を電子化するデメリット

注文書の電子化にはメリットだけでなく、デメリットもあります。電子化してしまってから不満を感じることがないよう、デメリットについても事前に知っておきましょう。

電子化にともなう業務フローの見直し

これまで紙でやりとりしていた注文書を電子化するためには、業務フローを改めて策定しなければいけません。受発注業務の現在のフローと関係する従業員や部署を洗い出し、どのようなフローが適切かを検討する必要があります。

メモを書き込めないことによる不便さ

電子的に発行された注文書の場合、メモを書き込めないというデメリットがあります。該当の案件についての留意事項などをその場で直接メモしておけば、後で見返したときにもわかりやすいでしょう。
 
データに備考としてメモを付けられるシステムを利用したり、別途メモファイルを作成してまとめてフォルダに格納したりといった工夫が求められます。

情報漏洩リスク

注文書の電子化のメリットとして、セキュリティ強化につながる点をご紹介しましたが、データの漏洩リスクは残ります。紙の注文書は、社内の人間のミスや悪意がなければ、そうそう社外に持ち出されることはありません。しかし、データの場合、ウイルス感染やハッキング、送信ミスなどの理由で情報漏洩するリスクが一定程度あるでしょう。
 
電子化した注文書の情報漏洩リスクを低減するためには、セキュリティ性が高く、送信ミスなどを防げる仕組みを搭載した発注書発行システムや書類管理システムの利用が効果的です。

注文書を電子化する際の注意点

注文書の電子化にあたっては、下記の点に注意しましょう。トラブルを防ぎ、法律を遵守した運用を取ることが大切です。

法律で定められた保存期間を守る

注文書は、下記の期間は保存しなければならないと定められています。
 
<注文書の保存期間>
・法人:原則7年間(青色繰越欠損金が生じた年度など一部条件によって10年間)
・個人事業主:5年間
 
保存期間は、紙の注文書も電子データの注文書も同一です。保存期間中に破棄してしまうことがないように気をつけてください。

セキュリティ対策をしっかりと行う

電子化した注文書のデータが外部に漏洩することがないよう、セキュリティ対策をしっかり行いましょう。安全性の高い注文書発行システムや書類管理システムを使用するか、安全な運用が取れるセキュリティシステムを別途導入するのがおすすめです。

電子帳簿保存法で定められた保存要件を満たしているか確認する

電子データとしてやりとりした注文書は、電子帳簿保存法で定められた「電子取引」の保存要件を満たす形で、データのまま保存しなければいけません。
 
電子取引の保存要件は、真実性の確保と可視性の確保です。真実性の確保はデータが改ざんされていないことを示すための要件、可視性の確保はデータを必要に応じて閲覧できるようにしておくための要件です。電子帳簿保存法に対応した書類管理システムを利用するか、電子取引データの訂正および削除の防止に関する事務処理規程を策定してそれに沿った運用を行うとともに、検索要件を満たすための施策をとる必要があります。
 
※電子取引の保存要件については「電子帳簿保存法とは?対象書類・保存方法から導入時の疑問を解説」をご覧ください。



注文書を電子化して業務効率を上げよう

注文書の電子化には、業務効率アップにつながる多くのメリットがあります。書類のペーパーレス化やテレワークの推進は環境保全にもつながっていきますから、積極的に取り組んでいきましょう。注文書を手間なく電子化して、業務の効率化を目指すなら、システムの導入が便利です。
 
受発注プラットフォーム「BtoBプラットフォーム TRADE」は、発注から納品、請求までを一貫してデジタル化できるシステムです。注文書と請求書が一気通貫で管理できるため、業務効率化に役立つでしょう。

また、受け取った注文書や注文書の控えをデータで保存するなら、電子帳簿保存法対応の「BP Storage」をご活用ください。あらゆる国税関係書類を電子帳簿保存法に対応した形式で保存できます。

さらに、注文書や請求書などの請求業務を中心としたデジタル化から段階的に電子化を始めたい場合は、「BtoBプラットフォーム 請求書」が適しています。「BtoBプラットフォーム 請求書」は、「BtoBプラットフォーム TRADE」「BP Storage」と親和性が高く、これらのサービスと併せて使用することで請求業務をより効率的にデジタル化することができます。    
 
それぞれの企業の課題や、効率化したい業務に応じて、利用するシステムを選定することが大切です。どのサービスが適しているか悩んだときは、お気軽に各ソフトの無料オンライン相談をご利用ください。


監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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