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内部統制(J-SOX)の3点セットとは?企業の運営に欠かせない内部統制の基本

不祥事や不正はときに企業経営を揺るがすほどの大きな問題となります。特にインターネットが普及している現在、ほんの些細な不祥事・不正も拡散されてしまうもの。そうなれば企業の信用は一瞬にして地に落ちてしまうでしょう。 そこで重要となるのが、企業で働く全社員のルールにのっとり、業務を遂行する点。今回は不祥事や不正を防ぎ、事業目的や経営目標を達成するためのルールや仕組みである内部統制の概要、そして内部統制の把握に欠かせない3点セットについてお伝えします。

内部統制(J-SOX)の3点セットとは?企業の運営に欠かせない内部統制の基本

最終更新日:2021年6月16日

目次

企業の健全な運営を実現するための内部統制とは?

内部統制とは、健全に運営しながら目的を果たすための制度作りを指すもので、企業で行うほぼすべての業務に組み込まれています。

企業は基本、個人ではなく組織単位で業務を行うため、何を目的にし、何を実現させたいのかを明確にします。目的と実現したい事柄がはっきりすれば意識が統一され、組織も機能するからです。

企業として健全な活動を行っていくためには、遵守しなければならないルールの制定が欠かせません。そのルールが内部統制です。

内部統制、4つの目的

内部統制は、下記のような4つの目的を持っています。

1. 業務の有効性および効率性
企業として立てた目的を達成しようとする際にかかる時間や人員、コストなどの資源が合理的に無駄なく使用されているかどうか、その見極めとして内部統制が機能します。

2. 財務報告の信頼性
組織外の企業や金融機関にとって財務報告(金融商品取引法上の開示書類に記載される財務諸表やそれに重大な影響を与えうる情報)は、その企業が信頼に値するかどうかを見極めるうえで欠かせない重要な情報です。

財務報告に不正や虚偽があれば、それだけで企業の信頼が大きく損なわれます。内部統制では、財務報告に不正や虚偽がないかどうかも欠かさずに確認しなければなりません。

3. 事業活動に関わる法令の遵守
自社の従業員が法令や規範の遵守を怠ったり社会規範を無視した行動を取ったりすれば、自社の社会的信用が失墜してしまうかもしれません。反対に誠実な形で安全基準を満たした商品・サービスを提供すれば、社会的信用は上がり、業績や株価上昇のきっかけにもなりえるでしょう。

組織の存続・成長のため、内部統制によって法令遵守を確認するのです。

4. 資産の保全
「企業が持つ有形の資産」や「知的財産や顧客情報といった無形の資産」など、企業が持つあらゆる資産が健全に取得・保全・運用されているか、こうした確認も内部統制の目的となります。

内部統制を構成する6つの要素

内部統制を構築する6つの要素は次のとおりです。

1. 統制環境
統制環境とは、企業の気風を決める基盤のこと。これが残り5つの構成要素に影響を与える最も重要な基本的要素となります。具体的には、「経営者の意向や姿勢」や「経営方針・戦略」「人的資源に対する方針と管理」「評価基準や制度」などです。

2. リスクの評価と対応
目的を達成する過程で障害となる要因をリスクとして識別・分析したうえで、どういった対応をするかを明確にします。たとえば市場や相場の変化・天災などです。

3. 統制活動
「権限や職責を従業員に与える」「職務を整頓したうえで配分する」など、経営者の指示・命令を社内で確実に実行するための方針や手続きを指します。

4. 情報と伝達
業務を適切かつ迅速に行うには、必要な情報を組織内外に正しく伝達しなくてはなりません。ここでは、情報の確保や処理によって正確に伝達されるためのプロセスを確保して、適切なコミュニケーションが取れるよう進めます。

5. モニタリング
内部統制が確実かつ有効的に機能しているかどうか、継続的に調査・監視し、その結果を評価します。「業務内でのモニタリング」と「異なる視点から行う独自のモニタリング」の2種類があります。

6. ITへの対応
目標に対して作成した方針にのっとって、ITに対応することを指します。ITツールを導入・運用していくうえで適切な環境構築ができているか、利用に問題はないかなどを確認するのです。

内部統制の把握に欠かせない3点セットとは?

前項で挙げた目的や構成要素を満たす内部統制を設置したら、次に内部統制の把握を進めます。その際に欠かせない3点セットについて解説しましょう。

1. フローチャート
フローチャートは業務のプロセスを図式にし、可視化させたものです。あらゆる業務の流れを可視化し、取引と会計処理との流れを整理します。これにより「内部統制に問題はないか」また「業務のどの部分にリスクがあるのか」の見極めが可能です。

2. 業務記述書
業務記述書は、あらゆる業務内容を文章にして記述したものとなります。たとえば「商品の受注から発送」や「売上計上」「請求」「入金確認」などです。一連の流れに沿ってそれぞれの段階で行う作業を書き出すと、業務の各工程における内容や担当者の理解度、リスクなどが分かります。

3. リスクコントロールマトリックス
リスクコントロールマトリックスは、業務内容ごとのリスクとその対応を一覧にし、実際にリスクコントロールができているかを確認するための表です。

フローチャートや業務記述書にて業務内容のリスクを把握すれば、それに対する対応方法が見えてくるもの。リスクコントロールマトリックスによって、内部統制によりどの程度リスクが減っているのか、把握できます。

引用:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)

3点セットを作成する際の注意点

再度、3点セットを作成する際の基本的な流れを振り返りましょう。

・フローチャート、業務記述書を作成した後、リスクの対応策を検討する
 ・検討した結果をもとに改めてフローチャート、業務記述書の修正を行う
 ・修正したものをリスクコントロールマトリックスに落とし込む


では、3点セットを作成する際に注意したい点を2つ解説します。

1. 誰が3点セットを作成するかを明確にする
3点セット、特にフローチャートと業務記述書の作成は、「プロジェクトチームを組んで行う」「部署ごとに行う」のどちらかになります。

プロジェクトチームで作成する場合、迅速に作成できるうえ、進捗状況の把握もしやすくなるのがメリットです。しかし「それぞれの部署の業務内容を理解しきれていない場合がある」「ある程度の企業規模がないと人員を割けない」といったデメリットがあります。

対して部署ごとに行う場合、比較的人員が少ない企業でも取り組めます。また業務内容の理解度が深くなるため、あとから修正する手間も減ります。しかし部署ごとの取り組みとなるため、「最終的に取りまとめる段階で手間がかかる」「それぞれの部署でも進捗状況が把握しにくい」といったデメリットが考えられるのです。

2. 業務記述書は「誰が・何を・どのように」を明確に
業務記述書は、「誰が・何を・どのように」を明確に記述するとリスクが可視化され、あとの修正もしやすくなります。またリスクコントロールマトリックスには、どのようなリスク対応を行っているかも明記しましょう。これにより適切なリスクマネジメントができているかどうか、判断できます。

経理担当者の正しい理解が内部統制の適切な運用のポイント

今回、紹介した内部統制の4つの目的と3点セットは次のとおりです。再度振り返ってみましょう。

4つの目的

1. 業務の有効性および効率性
2. 財務報告の信頼性
3. 事業活動に関わる法令の遵守
4. 資産の保全

3点セット

1. フローチャート
2. 業務記述書
3. リスクコントロールマトリックス

4つの目的のうち、「業務の有効性および効率性」「財務報告の信頼性」「資産の保全」は、経理担当者が正しく内部統制を理解し、進めていくと実現しやすくなります。3点セットの作成においても、フローチャートで取引と会計処理との流れを整理する必要があり、これには経理担当者の積極的な関与が欠かせません。

そうした意味でも内部統制の適切な運用における重要なポイントは、「経理担当者が正しく理解したうえで不正のないよう、正しく財務管理を行っていく」ことだといえるでしょう。

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監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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