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Peppolとは?インボイス制度での対応や導入メリットを解説

電子文書のやりとりを行う際の標準規格にはさまざまな種類があり、そのうちのひとつに「Peppol(ペポル)」があります。Peppolに対応することで、異なるシステムを利用している顧客とも簡単に電子請求書のやりとりができるようになります。 そこで今回は、Peppolでできることや導入のメリット、対応義務の有無などについて解説します。

Peppolとは?インボイス制度での対応や導入メリットを解説

最終更新日:2024年02月15日

目次

Peppolとは、電子書類をやりとりするための国際的な標準規格のこと

Peppolは、電子インボイスのような電子書類をやりとりするための国際的な標準規格で、OpenPeppolという国際的な非営利組織によって管理されています。

電子インボイスとは、インボイス(適格請求書)を電子データ化したものです。電子請求書としてインボイスを発行した場合は、すべて電子インボイスに該当します。また、電子インボイスのうち、Peppolをベースとして標準化され、構造化された電子インボイスのことをデジタルインボイスといいます。

電子インボイスは、下記の必要事項が記載されていれば、どのようなフォーマットで発行することも可能です。
 
<電子インボイス発行のための必要事項>
・適格請求書発行事業者の名称
・適格請求書発行事業者の登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象である場合、その旨の記載が必要)
・税抜または税込の取引金額を税率ごとに区分した合計額と適用税率
・税率ごとに区分した消費税額
・請求書の宛先
 
電子請求書は、表計算ソフトや文書作成ソフトで作成した請求書をPDF化する方法のほか、請求書発行システムなどを利用して作成することもできます。しかし、顧客が自社とは別のシステムを利用していた場合、請求書のやりとりがスムーズにいかない可能性があるでしょう。しかし、Peppolの場合は、電子インボイスをやりとりする際に、アクセスポイントを経由させることで、異なるシステム間での送受信を可能にします。

Peppolを利用した請求書のやりとりの流れは、下記のとおりです。


(引用元:デジタル庁「よくある質問:Peppolネットワークでのデジタルインボイスのやり取りについて(概要)」)
 
<Peppolを利用した請求書のやりとりの流れ>
1. Peppolに対応した請求書発行システムで、売り手側が請求書を発行する
2. 売り手側のアクセスポイントから、インターネット上に構築されたPeppolネットワークに接続する
3. Peppolネットワークから買い手側のアクセスポイントを通じて、買い手側に請求書データが届く
4. 買い手側の請求書発行システムで請求データを確認する
 
Peppolを利用する事業者は、自社が使用しているシステムを使って簡単に請求書のやりとりが可能です。異なるシステムを利用する複数の顧客とやりとりをする場合も、Peppolネットワークを利用することで、インボイスのデータを買い手側のシステムで受け取れるようになります。

Peppol IDとは、Peppolに対応した請求書を発行する事業者の識別番号のこと

Peppol IDは、Peppolに対応した請求書を発行する事業者の識別番号です。Peppol IDは、Peppolに対応したシステムを利用する際に、サービスプロバイダーを通じて取得することができます。

このサービスプロバイダーとは、Peppolに対応したプロバイダーとして認定を受けた事業者のことです。日本のPeppolサービスプロバイダーは、デジタル庁の「日本における認定Peppol Service Provider一覧」から確認することができます。

日本版Peppol「JP PINT」とは、日本の電子インボイスの標準仕様のこと

「JP PINT」は、Peppolをベースにした日本の電子インボイスの標準仕様です。売り手側のアクセスポイントと買い手側のアクセスポイントの間でデータをやりとりする際に使用されるのが、JP PINTです。

なお、Peppolの管理者はOpenPeppolですが、JP PINTはデジタル庁とデジタルインボイス推進協議会が管理を行っているため、JP PINTを使用することでインボイス制度への対応もスムーズに行うことができます。]

PeppolとEDIの違い

EDI(Electronic Data Interchange)は、請求書や契約書、発注書といった取引関係書類を電子的にやりとりするためのシステムです。専用回線を介して顧客とデータのやりとりを行います。顧客ごとにシステムを構築する個別EDI、第三者機関がフォーマットを標準化した標準EDI、特定の業界に特化した業界EDIの3種類がありますが、どの場合も共通のEDIシステムを利用しなければいけません。
 
一方、Peppolは、Peppolネットワークによってインボイスのデータを顧客とやりとりするための規格で、Peppolに対応したシステムを介して利用します。PeppolはEDIとは異なり、自社と顧客が同じシステムを使用する必要はありません。


Peppolと電子インボイスの関係

電子インボイスとは、電子データとして発行されたインボイスです。Peppolに対応したインボイスも、電子インボイスのひとつに該当します。
 
しかし、電子インボイスは電子帳簿保存法が定める電子取引に該当します。電子取引は、インボイスなどの取引関係書類を電子的にやりとりすることで、やりとりした書類は電子データのまま保存しなければいけません。電子インボイスも、電子帳簿保存法の定める要件を満たす形で、データのまま保存します。

Peppolに対応した電子インボイスを発行する場合も同様です。Peppolはあくまでも書類のやりとりを行うための規格で、書類を保存する機能は持っていません。Peppolのサービスプロバイダーを選定する際は、電子帳簿保存法に対応した書類保存ができるサービスを選びましょう。
 
※電子インボイスの詳細については「電子インボイスとは?メリット・デメリットや導入の課題などを解説」をご覧ください。

インボイス制度において、Peppolへの対応は必須?

インボイス制度において、Peppolへの対応は必須ではなく、各事業者の自由です。

インボイス制度への対応としては、「Peppolに対応したシステムを利用してインボイスを発行する」「Peppolに対応しないインボイスをPDFで作成してメールに添付する」「紙のインボイスを作成して郵送する」といったいずれの対応をとっても、問題ありません。

ただし、Peppolに対応したシステムを利用することで、インボイス制度の要件を満たした対応を行うことが可能になります。顧客もPeppolに対応したシステムを利用していれば、異なるシステム同士でもスムーズにインボイスのやりとりができるため、業務効率化につながるでしょう。そもそも、インボイス登録していなければ、インボイスへの対応自体も義務ではありません。顧客が仕入税額控除できなくなることから、取引上不利になるおそれもありますが、対応しないことも可能です。
 
一方、電子インボイスに関連する電子帳簿保存法における電子取引のデータ保存は、すべての事業者に義務付けられています。両制度はほぼ同時期に開始されており、どちらも取引関係書類に関する規定であるため、混同しないように気をつけましょう。

Peppolに対応したシステムを導入するメリット

Peppolに対応したシステムを導入することで、事業者はどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、具体的なメリットを4つご紹介します。    

仕入税額控除などの経理業務の効率化

Peppolに対応したシステムを自社と顧客がそれぞれ利用していれば、異なるシステム間でも請求情報の自動連携と処理が可能になるため、結果的に仕入税額控除などの経理業務を効率化することができます。
 
インボイス制度導入後は、本則課税の仕入税額控除を受けるための経理処理が増加します。顧客によって異なるシステムや方法で発行された請求書を処理するためには、経理担当者が8%と10%、それぞれの税率の請求額を確認し、処理を行わなければなりません。

しかし、Peppolに対応したシステムを利用することで、このような手間を省くことができます。システムが違っても、Peppolに対応したサービス同士であればPeppolネットワークを介したやりとりが可能です。また、自社に合ったPeppol対応システムを選定した後は、顧客のシステムにかかわらず、自社のシステム上で処理できるようになるため、業務効率化につながるはずです。
 
なお、Peppolに対応したシステムを選ぶ際は、社内のほかのシステムとも連携を取れるものを選定するのがおすすめです。別のシステムに入力された取引情報を使って会計システムの処理を自動化できるようになれば、帳簿との照合作業などがなくなり、業務全体の管理や処理を効率化できるでしょう。
 

真正性が担保できる

Peppolに対応したシステムを導入することで、インボイスの真正性を担保することができます。

多くの場合、Peppolに対応したシステムには、インボイスの真正性を担保するための機能が搭載されています。電子インボイスは、電子帳簿保存法が定める電子取引に該当する書類です。データとして受領書類や控えを保存する際には、改ざんなどが行われていないことを証明しなければいけません。自社で作成した表計算ソフトや文書作成ソフトをPDF化して電子インボイスを発行する場合、訂正や削除を防止するための事務処理規程     を設けて、それに則った運用を行う必要があります。

Peppolに対応した請求書発行システムや会計システムを利用することで、このような問題を簡単に解決できるでしょう。

請求書の保管・管理業務が楽になる

Peppolに対応したシステムには、発行した請求書の保管や検索ができる機能が搭載されている場合が多く、こうした機能を活用することで、請求書の保管や過去の履歴の検索が容易になります。

特に、これまで紙の請求書をファイリングしていた事業者は、請求書をペーパーレス化することで保管にかかるコストやスペースを大幅に削減できるでしょう。中には、紙で受け取った請求書も電子化してデータとして保存できるシステムもあります。書類のペーパーレス化を進めたい企業は、このようなシステムの導入も検討してみてください。

海外との取引もスムーズに対応できる

Peppolに対応したシステムを導入することで、海外との取引も、国内での取引と同様に、スムーズに対応できるようになります。

そもそもPeppolは、インボイスをはじめとした電子的に作成された書類をやりとりするための世界標準規格であり、ヨーロッパを中心に世界30ヵ国以上で導入されています。また、日本の標準仕様であるJP PINTもPeppolをベースにしていることから、PeppolだけでなくJP PINTにも対応したシステムを導入することで、海外とのやりとりがよりスムーズになるでしょう。

Peppolに対応したシステムを導入して、経理業務をさらに効率化しよう



インボイス制度が導入されたことで請求書の記載項目が増え、経理担当者の対応しなければならない業務も増加しています。Peppolに対応できる自社に合ったシステムを導入することで、経理業務にかかる負担を軽減しましょう。

Peppolに対応できるシステム導入を検討している方には、株式会社インフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」がおすすめです。「BtoBプラットフォーム 請求書」は、Peppolネットワークでのデジタルインボイスの送受信が可能で、国内シェアNo.1(2022年9月現在 東京商工リサーチ調べ)の電子請求書システムです。インボイス制度や電子帳簿保存法に対応しているため、迅速かつ安心して法令対応が進められます。ぜひご活用ください。


監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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