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領収書の保管方法は?保存期間やインボイス制度による影響も解説

領収書は確定申告の根拠になる書類なので、適切な方法で保管しなければいけません。紙の領収書と電子データで受け取った領収書のそれぞれに適した保管方法について知っておく必要があります。 また、2023年10月に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)に合わせて、領収書の処理方法を変えなければいけない事業者もいるでしょう。

領収書の保管方法は?保存期間やインボイス制度による影響も解説

最終更新日:2024年1月5日

目次

領収書は一定期間の保存が必要

受け取った領収書や、発行した領収書の控えは、一定期間保存する必要があります。

領収書の保存期間は、法人か個人事業主かによって異なり、それぞれ下記のとおりです。

■領収書の保存期間
区分 保存期間
法人 原則として7年
個人事業主(青色申告の場合) 原則として7年
個人事業主(白色申告の場合) 原則として5年
 
ただし、上記にかかわらず、領収書を適格請求書(インボイス)として仕入税額控除を受ける場合は7年間保存しなければいけません。適格請求書として発行した領収書の控えも7年間保存します。
 
法人と個人事業主それぞれの保存期間について解説します。

法人の保存期間

法人は、取引を記録した帳簿と、帳簿や取引に関して作成・受領した書類を7年間保存しなければならないと定められています。7年間の保存が必要な書類や帳簿としては、例えば、領収書や契約書、注文書、棚卸表、総勘定元帳、仕訳帳などが挙げられます。なお、7年間という期間は、該当の事業年度の確定申告期限翌日から7年間です。書類の発行日からではありません。
 
ただし、青色申告書を提出した事業年度において欠損金が生じた場合、または青色申告書を提出しなかった事業年度において災害損失金額が生じた場合は、10年間保存しなければいけません。

個人事業主の保存期間

個人事業主の領収書の保存期間は、青色申告か白色申告かで変わります。
 
・青色申告者
青色申告者は、領収書や預金通帳などの現金預金取引等関係書類と、決算関係書類、帳簿について、確定申告期限の翌日から7年間保存する必要があります。一方、請求書や見積書、契約書といったそのほかの取引関係書類は、5年間保存すれば問題ありません。
 
ただし、前々年の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の事業者の場合、領収書などの現金預金取引関係書類の保存期間は5年間です。
 
・白色申告者
白色申告者は、業務に関して作成した領収書や納品書、請求書などの書類について、確定申告期限の翌日から5年間保存しなければいけません。

なお、事業所得ではなく「業務にかかる雑所得」がある個人事業主も、前々年の業務の収入金額が300万円を超える場合は、領収書を含む現金預金取引等関係書類を5年間保存する義務があります。

領収書を保管する際に押さえておきたいポイント

領収書は、後から見返しやすい方法で保管するのがおすすめです。

ここでは、領収書を保管する際に押さえておきたい4つのポイントについて説明します。

日付順にしておく

領収書は、事業年度ごとに日付順に整理して保管するのがおすすめです。請求書などは取引先ごとに保管するのが一般的ですが、領収書は原則として日付順にした状態で保管することで、確定申告などの手続きに利用するときなどにスムーズに確認できるでしょう。

帳簿に記入済かわかるようにしておく

帳簿に記入し終えた領収書か、未記入の領収書かがわかるようにしておきましょう。

入力済の領収書にはデート印を押す、入力が終わったら直ちにファイリングするなどの方法が考えられます。

用途がわかるようにしておく

領収書やレシートの中には用途がわかりにくいものもあるため、パッと見て用途がわからないものについては、余白などに書き込みを行い、何の領収書なのかがわかるようにしておきましょう。

会議費や交際費などの領収書には、相手先の企業名と担当者名、人数などを書き入れておくことが大切です。

経年に応じた保管場所を決める

領収書は、経年に応じた保管場所を決めておきましょう。

領収書は一定期間保管が必要ですが、すべてを事務所に置いておく必要はありません。事業年度が終わるまではデスクに近いキャビネット、先期のものは部署内のキャビネット、それ以前のものは倉庫など、見返す頻度に応じた保管場所を決めておくことが大切です。

領収書を紙のまま保管する方法

紙で受け取った領収書やレシートを紙のまま保管するためには、どうすべきなのでしょうか。

ここでは、領収書を紙のまま保管するための4つの方法を解説します。

スクラップブックに貼り付ける

スクラップブックに貼り付ければ、領収書を紙のまま保管することができます。

領収書の詳細が見えるように保管する必要があるため、貼り付ける際は、領収書同士が重ならないように注意しながら貼り付けることが大切です。何月分の領収書なのかがわかるように、インデックスを付けるか上部に月日を記入しておくのもおすすめです。
 
また、スクラップブック1冊に複数の事業年度がまたがっていると、後で見返したときにわかりづらい可能性があります。そのため、あらかじめ事業年度ごとにスクラップブックを分けておきましょう。

ファイリングして保管

領収書を紙のまま保管するならば、保管用のファイルを使ってファイリングする方法もおすすめです。

月ごとや週ごとの領収書をファイルのポケットに入れて保管しましょう。
 
また、A4サイズの紙に貼った領収書にパンチで穴を開けてファイルに綴じたり、綴りひもで綴じたりしてファイリングする方法もあります。自分で穴を開けて保管するのは若干手間がかかるものの、A4サイズの領収書や明細書なども穴を開けて一緒に綴じられるだけでなく、ファイルに入れられるものの自由度が高いといったメリットがあります。

封筒にまとめて保管

領収書を紙のまま保管するならば、封筒にまとめて保管するのもひとつの方法です。

ただし、この方法は封筒から出さないと領収書の内容を確認できません。後から見返す際に少々不便であり、かつ中身を出す際に一部を紛失するリスクもあるため、ほかの保管方法と比較するとあまりおすすめできない保管方法かもしれません。

領収書を電子化して保管する方法

紙で受け取った領収書やレシートは、電子化して保管することもできます。2022年の改正電子帳簿保存法で、領収書を電子化して保管する際の要件が大幅に緩和されました。一定の要件を満たす必要はありますが、これまでよりも電子化しやすくなっているといえるでしょう。
 
また、近年では、領収書の電子化に対応したシステムも複数登場しています。このようなシステムを使えば、スマートフォンで領収書を撮影、登録するだけで簡単に電子化が可能です。
 
※領収書の電子化の詳細については「領収書の電子化は必要?改正電子帳簿保存法でのルールと注意点を解説」をご覧ください。

領収書を電子化して保管するメリット

領収書を電子化して保管することで、下記のようなメリットがあります。
 
<領収書を電子化して保管するメリット>
・保管スペースを確保する必要がない
・過去の領収書をすぐに検索して確認できる
・領収書を紛失する心配がなくなる
・領収書をファイリングする手間や管理コストを削減できる
 
領収書を電子化してシステム上で承認できるシステムを利用すれば、経費精算手続きなどの効率化にもつながるでしょう。電子帳簿保存法やインボイス制度に対応したシステムなら、法律を遵守した領収書の保管も簡単です。
 
※領収書の電子化の詳細については、「領収書の電子化は必要?改正電子帳簿保存法でのルールと注意点を解説」をご覧ください。


改正電子帳簿保存法によって、領収書の扱いはどう変わった?



改正電子帳簿保存法によって、領収書の保管ルールにも変更が加えられました。

ここでは、電子帳簿保存法改正によって変わった領収書の扱い方についてご紹介します。

タイムスタンプ付与期限の延長

2022年1月以降、紙で受け取った領収書の電子化に関する要件が大幅に緩和されました。
具体的には、下記のとおりです。
 
<紙で受け取った領収書の電子化に関する要件>
・領収書を受け取ってから3営業日以内だったタイムスタンプ付与期間が、最長約2ヵ月と7日以内に延長
・一定の要件を満たすシステムを利用する場合はタイムスタンプの付与が不要
・検索要件の緩和
・税務署長の事前承認制度廃止
・適正事務処理要件の廃止
 
改正電子帳簿保存法によって、より簡単に紙の領収書をスキャンして保管できるようになりました。スキャナーで取り込んだ後の原本を即時破棄することも可能になったため、出張先や営業先で従業員が領収書をスマートフォンのカメラで撮影し、原本はその場で破棄するといったこともできます。
 

電子取引でやりとりした領収書の紙保存禁止

改正電子帳簿保存法によって、電子的にやりとりした領収書は電子データのまま保存しなければならないと定められました。例えば、通販サイトのマイページからダウンロードしたPDFの領収書や、メールに添付された領収書などが該当します。
 
データ保存の義務化は2023年12月31日まで宥恕措置となっていましたが、2024年1月1日以降は全事業者が電子取引書類のデータ保管に対応しなければいけません。保存要件についてはさまざまな緩和措置などが用意されているため、自社の状況に合わせて対応しましょう。
 
2024年1月からの猶予措置の適用要件の詳細については「電子帳簿保存法におけるデータ保存はいつから?猶予措置とともに解説」をご覧ください。

 

インボイス制度導入で領収書の扱いはどう変わった?

2023年10月にスタートしたインボイス制度は、「適格請求書(インボイス)」に関する新しい仕組みです。領収書も、適格請求書の要件を満たす項目が記載されていれば「適格請求書」に該当します。
具体的な記載項目は、下記のとおりです。
 
<適格請求書の記載項目>
・領収書の宛名
・領収書の発行事業者の登録番号
・領収書の発行事業者名
・取引年月日
・取引内容
・税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)と適用税率
・税率ごとの消費税額等
 
ただし、小売業者や飲食店、タクシー業者などのように、不特定多数を相手に金銭のやりとりをする事業者には、領収書の宛名を記載しない適格簡易請求書の発行が認められています。また、適用税率と税率ごとの消費税額もどちらか一方の記載で問題ありません。
 
適格請求書に該当する領収書を受け取った場合の対応方法は、企業の状況に応じて変わります。本則課税の納税事業者の場合、仕入税額控除を受ける際には、適格請求書発行事業者登録番号が有効なものであるかと、記載項目に漏れがないかを確認する必要があります。
 
※インボイス制度が領収書の保管方法に与える影響の詳細については「インボイス制度で領収書はどう変わる?制度に伴う変化や注意点を解説」をご覧ください。

 

領収書の保管方法を理解して適切に管理しよう

改正電子帳簿保存法とインボイス制度の導入で、領収書の保管方法や処理方法にも変化がありました。最新の法令を踏まえて、適切な管理を行いましょう。
 
現在の運用フローを変えずに電子帳簿保存法に対応するなら、「BP Storage」がおすすめです。紙の領収書もデータでやりとりした領収書も、すべて電子帳簿保存法に対応する形式でデータとして保管できるため、保管コスト削減や領収書を探す手間の軽減につながります。ぜひご活用ください。
 
また、領収書だけでなく、請求書の電子化も実践するには、請求書の発行だけでなく受け取り、支払金額の通知など、請求業務全体をデータ化できる「BtoBプラットフォーム 請求書」がおすすめです。
 
経理業務のデジタル化をお考えの方は、「BP Storage」と「BtoBプラットフォーム 請求書」の導入をぜひご検討ください。

 

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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