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支払通知書とは?インボイス制度の影響や請求書等との違いを解説

支払通知書は、企業間の取引過程で交わされるビジネス文書のひとつです。発行義務はありませんが、スムーズな支払いとトラブル回避のために役立つことから、請求書受け取り前の事前確認として活用されています。 そこで今回は、支払通知書を発行するタイミングや記載事項、支払業務をより効率化する電子化の方法などについて紹介します。

支払通知書とは?インボイス制度の影響や請求書等との違いを解説

最終更新日:2023年9月26日

目次

支払通知書とは支払う側が支払いを受ける側に対して発行する書類のこと

支払通知書は、支払いをする側が、支払いを受ける側に対して「何に対して、いくら、いつまでに支払う」という通知を行うために発行する書類です。発行義務はありませんが、支払金額、取引日時、取引内容、支払日、相殺金額などを明記した支払通知書を発行することで、取引先と支払いに関する認識が一致しているかどうか確認できます。
 
支払通知書を作成、送付するタイミングは、取引が終了して支払い金額が確定した後です。一般的には支払われる側は、締め日で請求書を作成し、支払い側は、締め日で支払通知書を作成します。ただし、請求書の発行を省略し、支払通知書の確認のみで支払いを行う場合もあります。
 
支払通知書も請求書も発行義務はありませんが、いずれにせよ、支払う側と支払われる側の双方が金額や内容を確認し、合意を取ることが大切です。最終的に、支払元が双方で合意した金額を支払うことで取引が完了します。

支払通知書を発行するメリット

支払い業務をスムーズに進めやすくなることは、支払通知書を発行するメリットです。
 
仮に支払通知書を発行しなかった場合、支払元と支払先で支払金額の認識に差が出てしまう可能性があるでしょう。例えば、当月の支払い対象だと思っている案件が支払元は10件、支払先は11件だと認識していた場合、支払通知書の発行がないと、支払先は11件分の請求書を支払元に対して発行してしまいます。原則的には、そのまま支払いを行うわけにはいかないため、あらかじめ双方で協議を行うことで、支払金額の不一致を防ぎます。そのため、あらかじめ支払通知書を発行することで、締め日の直前に慌てることなく、スムーズに支払い手続きを進めることが可能になるのです。

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支払明細書との違い

支払通知書に似た書類に、支払明細があります。それぞれの書類の概要は下記のとおりです。
 
<各書類の概要>
・支払通知書:支払い金額や内容などの内訳を知らせるために、支払元が発行する書類
・支払明細書:支払いの明細を項目ごとに記載する書類で、支払通知書よりも用途が幅広い
 
支払明細書は支払通知書と同様の役割を果たす書類ですが、企業間取引以外の場合にも使われます。クレジットカードの明細書や給与明細書、交通費の精算の際に提出する明細書といった明細書類は、すべて支払明細書に該当します。

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支払通知書の書き方と必要項目

支払通知書に決まったフォーマットはありません。そもそも発行義務のある書類でもないため、それぞれの企業のフォーマットで発行可能です。とはいえ、そもそも支払通知書を発行する目的を鑑みれば、記載すべき項目は自ずと決まってくるはずです。請求書を発行する際に支払先が記載する項目については、支払通知書にも記載しておきましょう。
請求書に記載すべき項目は下記のとおりです。上記について認識の相違がないか確認できるように、同様の内容を支払通知書にも記載します。
 
<請求書に記載すべき項目>
・発行者名
・宛先
・取引年月日
・取引内容
・税率ごとに区分して合計した税込の取引金額
・税ごとに区分した消費税額
 
なお、支払通知書は一般的にWordや表計算ソフトで作成する場合が多くなっています。印刷して郵送する場合もありますが、昨今では、PDF化してメール添付するなど、電子データとして発行するケースも多いはずです。そのほか、システム上で支払通知書を発行し、支払先がダウンロードできるようにするといった方法を取ることも可能です。
 
過去の取引データを自動で集計して支払通知書を発行できるシステムなどを活用すれば、支払通知書作成と送付の手間がなくなり、手入力や手計算によるミスも防げます。支払業務の効率化を目指すなら、システム化を検討してみるのもおすすめです。

支払通知書の保存期間と保存方法

取引先から受け取った支払通知書や、発行した支払通知書の控えは一定期間保存しなければいけません。支払通知書も支払通知書の控えも発行義務はありませんが、作成した場合は決まりに従って保存しましょう。

ここでは、支払通知書の保存期間と保存方法について解説します。

支払通知書の保管期間は7年

支払通知書は、企業の取引の内容を証明する「証憑書類(しょうひょうしょるい)」の一種です。証憑書類の保存期間は、法人が帳簿と共に原則7年間、個人事業主が原則5年間です。ただし、欠損金が生じた事業年度の書類については10年間保存しなければいけません。また、支払通知書が適格請求書等に該当する場合は、個人事業主も7年保存する必要があります。
 
なお、7年や5年というのは、定められた確定申告期限の翌日から7年間、または5年間です。支払通知書を受け取った日から7年、または5年ではない点に注意が必要です。
 
そもそも支払通知書は、取引の履歴を証明するための書類でもあります。過去の支払通知書の内容を確認したり、問い合わせがあって調べたりすることもあるかもしれません。必要に応じてスムーズに取り出せるよう、整理しておきましょう。

支払通知書は原本の保管が必要

支払通知書は、原則として写しではなく原本を保存します。紙で受け取った支払通知書は、紙のままファイリングして保存しましょう。ただし、要件を満たせばスキャンして電子的に保存することが可能です。
 
一方、電子データで受け取った支払通知書に関しては要件を満たす形で電子保存を行います。詳しくは後述しますが、電子帳簿保存法の改正によって、電子データで受け取った書類は電子データのまま保存しなければいけないと定められました。2023年12月31日までは宥恕期間となっていますが、それ以降は電子保存が必要です。

電子帳簿保存法とインボイス制度で支払通知書の扱いはどう変わる?

2022年1月の電子帳簿保存法改正と、2023年10月のインボイス制度スタートによって、支払通知書の扱いがこれまでと変わります。

ここでは、電子帳簿保存法とインボイス制度による支払通知書の扱いの変化について、それぞれ詳しく解説します。

電子帳簿保存法による変化:電子で受け取った支払通知書の紙保存が認められなくなる

2022年1月1日に施行された電子帳簿保存法改正によって、電子データとして受け取った書類は電子的に保存しなければならないと定められました。そのため、PDFやシステム上での発行といった電子データの支払通知書を受け取った場合、紙に印刷して保存することはできません。
 
ただし、2023年12月31日までは宥恕期間となっていて、やむをえない事情がある場合は紙で保存しても良いとされています。なお「やむをえない事情」について税務署などに届け出る必要はありません。しかし、2024年1月1日からは電子データとしての保存が義務付けられます。現状対応できていない事業者は、早急に保存できる体制を整えましょう。
 
また、書類を電子データとして保存する際の要件は「真実性の要件」と「可視性の要件」の2つです。
 
・真実性の要件
真実性の要件を満たす方法は、下記の4点のいずれかです。どれかひとつを満たせば問題ありません。
 
<真実性の要件を満たす方法>
・タイムスタンプを付与した後で書類のやりとりを行う
・書類を受け取った後すみやかにタイムスタンプを付与して、保存者や監督者の情報を確認できるようにする
・書類の訂正や削除を行ったときに履歴が残るシステムか、訂正や削除を行えないシステムで書類のやりとりと保存を行う
・正当な理由なく訂正や削除を行わない旨の事務処理規定を定めて、規定に沿って書類の管理を行う
 
・可視性の要件
可視性の要件は、下記の3点をすべて満たす必要があります。
 
<可視性の要件を満たす方法>
・パソコンやディスプレイ、プリンターなど保存したデータの確認や出力ができる機器とマニュアルを備え付けること
・電子計算処理システムの概要書を備え付けること(自社開発のプログラムを使用する場合のみ)
・検索ができるようにしておくこと
 
また、検索については、原則として下記の3種類の方法での検索ができなければいけません。
 
<可視性の要件で定められた検索要件>
1. 取引年月日、取引金額、取引先での検索
2. 取引年月日または金額の範囲指定検索
3. ふたつ以上の任意の条件を組み合わせた検索
 
ただし、税務署員の求めに応じてデータのダウンロードができるようにしてあった場合は、1の要件のみ満たせば認められます。また、小規模事業者に関してはダウンロードの求めに応じられる場合すべての検索要件を満たす必要がありません。
 
「電子データで受け取った書類を電子的に保存しなければならない」という決まりは、支払通知書に限ったものではありません。請求書や領収書などのすべての書類が対象です。要件を満たしているかどうか、あらためて確認しておきましょう。
 
電子帳簿保存法の詳細については「電子帳簿保存法とは?対象書類・保存方法から導入時の疑問を解説」をご覧ください。

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インボイス制度による変化:取引先の登録番号の記載が必要になる

インボイス制度導入後は、支払通知書をインボイスとして発行できるようになります。ただし、その場合は支払いを受ける側の適格請求書発行事業者登録番号を支払通知書に記載しなければいけません。
 
例えば、A社がB社に商品を販売し、B社がA社に対して支払通知書を発行する場合について、考えてみましょう。この場合、B社が発行する支払通知書の宛先の下に、A社の適格請求書発行事業者登録番号を記載します。同時に、インボイスの要件を満たすために、税率ごとに区分した消費税額などの記載も必須です。
 
なお、インボイスとして発行する支払通知書以外の支払通知書であれば登録番号の記載は不要です。また、そもそも支払通知書を受け取る側が適格請求書発行事業者でない場合、支払通知書をインボイスにすることはできません。よって、登録番号の記載も不要です。
 
インボイス制度の詳細については「インボイス制度開始まであとわずか!内容と対応をわかりやすく図解で解説」をご覧ください。

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支払通知書は電子化できる?



支払通知書は、システム的に発行することも可能です。支払通知書を電子化することで、支払業務の効率化とスピーディーな対応ができるようになります。

ここでは、支払通知書を電子化する方法と電子化のメリットについて、それぞれ解説します。

支払通知書を電子化する方法

ウェブ上で請求書を発行できる請求システムの中には、支払通知書に対応しているものもあります。このようなシステムを活用すれば、支払通知書をシステム的に発行できます。
 
株式会社インフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」には、請求業務のフローのひとつとして「支払通知書機能」が搭載されています。支払金額のデータを一括アップロードするだけで、簡単に各支払い先宛の支払通知書をシステム的に発行できます。
 
書類はシステム的に取引先に送信されるため、いちいち印刷して封筒に詰め、郵送費をかけて送付するといった手間がかかりません。やりとりもスピーディーに行うことができます。

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支払通知書を電子化するメリット

支払通知書を電子化するメリットのひとつが、支払先から請求書を受け取るまでの時間の大幅な短縮です。

紙で支払通知書を郵送する場合、発送にかかる時間、支払先が郵送物を仕分けして経理担当者に回す時間、担当者が確認する時間、請求書を作成して送付する時間など、発行から請求書の到着までに多大な時間がかかります。一方、電子的に発行された支払通知書なら、画面上で取引先の担当者が内容を確認できます。請求書の作成も支払通知書のデータをもとに行えることから、手間を削減できます。
 
また、支払通知書をシステム的に発行することで、ミスを防ぎ、業務コストや発送コストを削減することもできるでしょう。電子帳簿保存法の要件を満たしたシステムであれば、そのまま電子的に支払通知書の保存ができるため、ファイリングや保管の手間もなくなります。
 
株式会社インフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」は、支払通知書の発行と受取もWebで行うことができ、支払通知書にまつわる業務を完全にデジタル化することができます。請求業務の効率化には、支払通知書の発行を含む請求業務のシステム化が効果的です。

支払通知書を電子化して請求業務を効率化しよう



支払通知書の電子化は、請求業務の効率化と正確性の向上に役立ちます。電子帳簿保存法やインボイスといった法改正にも対応できる「BtoBプラットフォーム 請求書」のようなクラウド型のシステムであれば、今後の法改正にもシステム側で自動対応してくれるため、自社で対応方法を悩む必要がありません。

請求書の間違いや発行の遅れなど、請求業務に関する課題を抱えている事業者は、スムーズに取引先とやりとりができる請求システムの導入について検討してみてはいかがでしょうか。

「BtoBプラットフォーム 請求書」についてのよくある質問はこちら

よくある質問

Q1.支払い通知書は義務ですか?

支払通知書に発行義務はありませんが、支払金額、取引日時、取引内容、支払日、相殺金額などを明記した支払通知書を発行することで、取引先と支払いに関する認識が一致しているかどうか確認できます。

詳しくは「支払通知書とは支払う側が支払いを受ける側に対して発行する書類のこと」をご確認ください

Q2.支払通知書と支払明細書との違いは?

支払明細書と支払通知書の違いは発行先にあります。支払通知書は、主に企業に対して買い手の企業側が発行します。 確定した支払金額・取引内容・支払期日を記載し、取引が完了および支払う金額が確定したタイミングで発行します。 その一方で支払明細書は、主に一般消費者(BtoC)もしくは従業員が発行先になります。

詳しくは「支払明細書との違い」をご確認ください  

Q3.支払通知書はいつ発行されますか?

支払通知書を発行するタイミングは、取引が終了して支払い金額が確定した後です。支払われる側は、締め日で請求書を作成し、支払い側は締め日で支払通知書を作成します。ただし、請求書の発行を省略し、支払通知書の確認のみで支払いを行う場合もあります。

詳しくは「支払通知書とは支払う側が支払いを受ける側に対して発行する書類のこと」をご確認ください

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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