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バリュエーションとは?意味や目的・種類、算出する方法を解説

M&Aや事業継承といったさまざまなオファーを受諾する際、相手の価値を正確に判断する必要があります。バリュエーションはそうした局面における、重要なプロセスです。バリュエーションの結果次第で今後の運営、ときには存続に大きな影響を与えかねません。ここではバリュエーションについての基礎情報と種類や評価アプローチについて解説します。

バリュエーションとは?意味や目的・種類、算出する方法を解説

最終更新日:2021年10月13日

目次

バリュエーションとは?

バリュエーションは投資案件全般において対象の価値を評価する行為です。はじめにバリュエーションの基本的な知識と実施の目的について解説しましょう。

バリュエーションの基本知識

バリュエーションとは、企業価値を算出して評価する行為で、英語表記「valuation」の日本語読みです。「企業価値評価」とも呼ばれており、企業価値のほか株価といった金融商品の評価でも使われます。

企業価値評価の実務は主にCFOが担っており、M&Aや事業継承、投資などで価値算出や事業の経済性評価を行うのです。

バリュエーションを通じて対象企業の経済的価値を金額換算し、価格としていくらになるのかが明確化・可視化されます。そして、バリュエーションの結果は投資行動における、重要な判断基準として用いられるのです。その後オファーにおける価格や投資対象としての判断など、M&Aの意思決定を大きく左右していきます。

バリュエーションで測られる企業価値は、企業の全体的な価値。企業価値は負債価値と株主価値の合計であり、また事業価値と非事業用資産の合計でもあります。現在のキャッシュフローや将来的な可能性を含めた汎用性の高い指標として、企業の真価を見るために多様な場面で使われているのです。

※CFO(最高経営責任者)の詳細は「CFOとは?企業経営に財務の面から積極的に関与するCFOになるためのポイント」を参照ください

バリュエーションの主な目的

バリュエーションの主な目的は、以下の2つです。
1. M&A実施の可否:
バリュエーションを行うと、対象企業の価値を決める判断基準が得られます。企業としての価値を大きな視点から把握できれば、将来的な価値をも含めて判断できるのです。また実際の投資以外では、経営戦略策定における判断基準として活用する場合もあります。

2. 訴訟リスクの回避:
対象企業に対して投資する際、ステークホルダーへの説明責任を果たす目的でバリュエーションを実施するのです。取引価額の根拠となる金額を示し、透明性や客観性の確保に努めます。第三者的視点によってその時点での評価が明確となるため、M&Aの実施といった状況への説得力を増していけるのです。

バリュエーションの種類

バリュエーションの主な種類と、各種類の算出方法を紹介しましょう。

インカムアプローチ

将来の収益やキャッシュフローの予想を指標として、企業価値を評価する方法となります。将来性やM&Aによるシナジー効果などを織り込んだ企業価値を判断できるのです。

バリュエーションのなかでは、最もポピュラーな方法として知られており、M&A以外でも事業投資や資産価値評価、金融機関による貸倒損失によるリスク予測などで活用されています。主な算出方法は以下の3つです。

1. DCF法:将来のキャッシュフローを現在の価値に変換し、その数値をもとに企業価値を評価する。企業が保有する「のれん」や将来に対する期待を反映する評価を合理的に行えるため、M&Aでの活用が多い

2. 収益還元法:将来生み出すであろう収益を現在価値に変換して企業価値を評価する。活用されるのは不動産の収益性予測といった場面

3. 配当還元法:将来の配当予測値をベースに企業価値を算出する。元本となる株式価値は、期待される配当額を資本コストから配当金の成長率を引いたもので割って算出。配当額は施策といった要素によって変わり、大企業では算出が困難なためあまり用いられない。株式非公開・少数株主の企業対象では有効

※キャッシュフローの詳細は「キャッシュフローとは?キャッシュフローの重要性と計算書の読み方を解説」を参照ください

コストアプローチ

企業の保有している資産および負債を示す純資産価値をベースとして株式価値を算出する手法で、ネットアセットアプローチとも呼ばれます。

現時点での純資産にスポットを当てるため、客観的な判断ができる一方、ノウハウやブランド力など帳簿に載らない価値は対象外になる点がデメリットです。そのため、純資産以外の判断材料に乏しい、中小企業のM&Aで多く利用されます。主な算出方法は、以下の3つです。

1. 簿価純資産法:資産と負債の帳簿価格にもとづいて算出する。会計上の純資産額にもとづくため、客観性に優れているが、各資産の時価が簿価と乖離している可能性もある

2. 時価純資産法:資産・負債の項目を時価に置き換えて株式価値を算出する。時価資産の合計から買掛金といった営業債務を除いた企業価値から、有利子負債を差し引いたものを株式価格と見なす

3. 修正簿価純資産法:資産と負債の一部を時価に変換して算出する。含み損益が大きく、時価の分かりやすい有価証券や土地・建物などの項目のみ時価修正する

マーケットアプローチ

市場の比較対象となる企業や業界を基準として、企業価値を算出する方法です。対象企業と同業他社の時価総額を比較する、類似する買収の事例などを参考に企業価値を評価するといった手法が取られます。

上場企業の場合、株価をもとにして評価できるものの、非上場企業の場合、評価対象企業の数値に係数(一定の率)を乗じて算出する方法が一般的です。主な算出方法には以下の4つがあります。

1. マルチプル法(類似会社比較法):上場企業のみで実施可能。直近1~6カ月の平均株価を評価額とする。実際のマーケットの価格を反映しているため、比較的客観性が高いと考えられている

2. 市場株価法:株式市場での株価を使用して評価。「前日終値・終値1カ月平均値・終値3カ月平均値・終値6カ月平均値」などを用いて算出する。上場企業のみを対象とする手法

3. 類似取引比較法:過去に公表されている類似したM&A取引の取引価格と、対象企業の財務数値を基準として各種倍率を用いて評価対象企業に適用する。実際に取引された案件でのマルチプルを算出、評価対象企業に適用する。類似案件がない場合、利用が難しい

4. 類似業種比較法:国税庁のデータベースを活用して、対象企業の評価を行う。対象企業と似ている企業を公開会社から選び、複数の要素を比較して、批准割合から企業価値を求める

バリュエーション実施のポイント

バリュエーションを行うタイミングや算出に関する留意点を解説します。

バリュエーションのタイミング

バリュエーションが実施されるタイミングは一般的に、以下のような場合です。


・基本合意書(LOIやMOU)締結前:バリュエーション実施のなかで、最も早いタイミング。契約可否の参考になるものの、開示情報が限られているため慎重な実施が求められる



・デューデリジェンス(投資対象の企業価値やリスクの調査)実施後の契約交渉前:デューデリジェンスで発見された問題がバリュエーションに反映される。情報の開示が進んでいるため、より精緻なバリュエーションを実施できる



・意思決定前:投資実行前の取締役会でバリュエーションの結果を必要とする際、それに応じるため実施される。契約詳細がすでに詰められているため、上記2つのタイミングに比べると簡易的


売り手と買い手の企業価値の違い

企業価値を算出する際、売り手と買い手で価額の一致しない状況があります。たとえば、買い手側がデューデリジェンスを通じて調査したところ、売り手側が先に提示したバリュエーションと食い違ったという状況です。これは不良在庫や時価が下がった資産、達成の可能性の低い事業計画など、減価要因によって発生します。

その際、買い手側では、M&Aによるシナジー効果を加味しながら、減価要因・増価要因を再検討し、再度算出をし直すのです。

このようにバリュエーションにはかかわる要素が多く、算出方法も多彩になっています。バリュエーションの目的や対象企業の状況に合わせた手法を選んでいないと、企業価値を見誤りかねません。バリュエーションの結果をより公正なものとするには、複数の方法を併用するとよいでしょう。

バリュエーションで企業の真の価値を客観的に評価する

バリュエーションとは企業価値を評価する行為で、投資案件全般で採用されています。投資にふさわしいかどうかの判断や、ステークホルダーによる訴訟リスクの回避を目的とする場合が一般的です。

バリュエーションには複数の種類があるものの、評価対象会社によっては適用できないときもあります。案件に合った手法を選ぶとよいでしょう。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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