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国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)成功事例5選

2018年9月、経済産業省は「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」を公表しました。そして2020年12月に中間取りまとめとして、「DXレポート2」が公表されたものの、そこにはDXが思ったように推進されていない状況が記されています。 この現状を打破し、DXを推進させるため企業は何をすべきなのでしょうか。今回は経理部門以外でのDX成功事例を見ながら、DX未着手の企業がDXにどう取り組んでいくかについてお伝えします。

国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)成功事例5選

最終更新日:2021年6月30日

目次

思うように進まない日本のDX

「崖」というワードを使い、企業に対して危機感をあおる形で経済産業省が公表した「DXレポート」。それから2年過ぎてもDXはほとんど進んではいません。

2020年12月に公表された、「DXレポート2」では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)による、企業のDX推進に関する調査結果が記されています。DX推進指標の自己診断に回答した企業約500社を対象にDX推進の取り組み状況を分析した結果、「9割以上」の企業がDXに未着手もしくは散発的な実施に留まっていました。

この結果は、DX推進指標の自己診断を行った企業に限った調査結果です。自己診断に至っていない企業を含めれば、日本のほとんどの企業がDXに手をつけられていない現状にあるといえるでしょう。

引用:DXレポート2(3P)|経済産業省(PDF)

次に企業規模別でDXへの取り組み状況を見ていきます。IPAが2020年5月に公表した、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」によると、従業員数が1,001名を超えている企業では、「77.6%」がDXに取り組んでいます。

しかし101~200名以下では、「35.2%」、100名以下では、「29.2%」と少数に留まっているのです。この結果から、DXへの取り組みは企業規模により大きな格差が出ていると分かります。

ただしDXに取り組んでいる企業でも、「現在のビジネスモデルの根本的な変革(7.6%)」「企業文化や組織マインドの根本的な変革(11.7%)」「新規製品・サービスの創出(14.5%)」など本質的な成果を挙げている企業はまだ多くありません。

もっとも成果が出ている取り組み内容は、「業務の効率化による生産性の向上(38.3%)」に留まっているため、DXへの取り組みはまだ初歩の段階だといえるでしょう。

引用:デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査(8,10P)|IPA情報処理推進機構(PDF)

国内企業、地方自治体のDX導入成功事例

まだまだ本格的にDXに取り組む企業が少ないなか、成果を生み出している企業も存在します。ここからは、国内企業や地方自治体でDXの導入に成功している事例を見ていきましょう。

別地域にある工場の仮想的な融合でコスト削減や外部環境変化への対応を実現

東京都に本社を置き、情報通信やメカトロシステムなどの製造・販売やシステム構築・ソリューションの提供を行っている沖電気工業株式会社。同社では、「工場により図面の描き方や技術標準が異なり、共通する部品でも共通の仕様で生産ができない」という課題を抱えていました。

また「社会変化による需要減に対する危機感から、工場間の横串連携の重要性」も感じて、「バーチャル・ワンファクトリー」と題し、工場に関するDXへの取り組みを開始しました。

具体的に、「部門間融合」「生産融合」「試作プロセス融合」「IT融合」の4点を中心とし、工場ごとに分かれていた図面などの各種設計情報の共通化と生産管理システムの統合を試み始めました。その結果、2つの工場での業務効率化とともに、双方の人材や技術の交流が活発化し、両拠点の強みを生かした生産体制の構築が実現しました。

また工場間の連携で、多品種少量生産のニーズ取り込みや人手不足に対応した工場間の負荷分散など、外部環境の変化による課題解決にもつなげられるようになりました。

工場IoTの実施で費用対効果の向上を実現

愛知県に本社を置き、自動車の生産・販売を行っているトヨタ自動車株式会社。同社では、さまざまな情報をデジタル化してきたものの、顧客から得たデータの技術開発へのタイムリーなフィードバックが十分にできていない課題を抱えていました。

また自動車業界の変化のなかで全社的にさらなるデジタル化を推し進めなくてはという危機意識から、DXへ着手。

最初に取り組んだのは、「工場IoT」で、工場横断の共有プラットフォームを2~3年かけて段階的に投資しました。また人材育成として、各社員が小規模なテーマを立案・実行して効果を出すというボトムアップの取り組みも同時に行ったのです。

成果を挙げたポイントは、デジタル活用のための組織的な教育支援やBI・AIツールの導入のほか、十分なセキュリティ対策や効率的なデジタル化でした。

社内人材をデジタル人材として育成し、多様なアイデアが生まれやすい環境を構築

東京都に本社を置き、資源・エネルギー・社会インフラ・産業機械、航空・宇宙などさまざまな分野での製造を行っている株式会社IHI。同社の事業は多岐にわたるため、それぞれのデータの連携や活用方法を模索しているなか、解決策としてDXへの取り組みを開始しました。

デジタル変革を推し進めるうえで、人材の社内公募を実施。また事業部門を対象としたデジタル人材育成プログラムとして、デザイン思考・顧客価値の創出をゴールとした、「製品・サービス開発」「ものづくり生産技術」の2コース、そして、「AI・データ分析技術」の計3コースを内製し、継続的な取り組みとして実施したのです。

その結果、幅広いスキルや業務知識を持った人材が集結し、多様なアイデアが生まれやすい風土の醸成がなされました。

異業種との協業で新事業展開に成功

兵庫県に本社を置き、地域密着型のデイサービスやサービス付き高齢者向け住宅事業などを行う株式会社シーナ。同社では介護事業を行ううえで、介護施設運営用システムの低コスト化を検討していたものの、社内でのシステム構築は困難であったため、解決策を模索していました。

検討の結果、内製でのシステム開発ではなく、介護保険業務支援システムの開発を行っているシステム会社、有限会社システムプラネットをM&Aにより子会社化したのです。

その結果、介護施設運営用システム開発の低コスト化を実現したうえ、新規事業として提供予定である、IoT技術を活用した高度で効率的な介護サービス開発にもつながりました。

公共施設の予約・貸し出しのオンライン化で住民の利便性向上と省力化に成功

5つ目は、自治体のDX成功事例を紹介します。茨城県小美玉市ではこれまで学校施設開放に際し、利用したい団体が学校へ直接予約を申し込むうえ、カギの貸し借りが必要でした。その結果、学校・市役所・銀行など複数施設での手続きが必要となってしまったのです。

そこで地域住民の利便性向上を目指し、公共施設の予約・貸し出しのオンライン化に着手しました。そしてもともと物理カギだった仕組みを、暗証番号でカギの開閉ができるリモートロックに変更したのです。

そしてカギの管理が予約システムと連動することにより、わざわざカギの貸し借りで施設に訪れる必要がなくなったため、管理人の設置も必要なくなりました。その結果、地域住民の利便性向上と同時に管理側の業務負担軽減が実現したのです。

DXに取り組むためのポイント

自社でDXに取り組んでいくためには、何から手を付ければよいのでしょうか。

情報処理推進機構が2020年5月に公表した、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」にある、DXへの取り組み成果が出ている企業と散発的もしくは取り組んでいない企業との違いを参考にポイントを説明します。

役員や上層部でのIT分野に対する理解を深める

調査によると、IT分野をよく理解している役員が多い企業ほど、新規商品・サービスの創出、既存ビジネスモデルの変革などで高い効果を生み出しています。DXを推進していくためには、役員や上層部のIT分野に対する理解を深め、そのうえで全社の社員を巻き込んでいく必要があるでしょう。

DXを推進していくうえで、先端IT技術に対する知見は重要なポイントのひとつです。知見に富む人物をトップに据え、企業全体でDXに取り組むという姿勢を社内に向けて示すことができれば、自ずと全社的にDXを実行していこうという機運も高まるでしょう。

変化を恐れず柔軟な姿勢で取り組む文化の醸成

DXで高い成果を生み出しているのは、「リスクを取ってチャレンジをする」「多様な価値観を受容する」「仕事を楽しむ」「意思決定のスピードが速い」といった企業です。つまりDXが進まない企業は、実施前にビジネスに取り組む姿勢や企業文化の変革への着手を進めると、良い結果につながる可能性が高いといえます。

そのためには役員や上層部が率先して先頭に立つだけではなく、変化を恐れずに変革への挑戦をする意気込みを見せるとよいでしょう。

コロナ禍でますます重要性を増すDXへの取り組み

DXの目的は、先端IT技術の導入や自社以外との協業などにより、企業のデジタル競争優位性を確保する点にあります。だからこそIT分野への理解を持った経営層がいる企業ほど、DXで成果を生み出しているのです。

また2020年に生じた新型コロナウイルス感染拡大により、従来の企業活動が困難になった業種も少なくありません。ここでITを活用してDXを推進すれば、人との密接な接触を避けつつも従来以上の成果を生み出せる可能性が高まります。

今回、紹介した事例はすべて経理部門以外の成功事例です。しかし「経営層がIT分野を理解する」「全社で積極的に取り組む」「チャレンジすることをいとわない企業文化を醸成する」などはどの部門でも変わりません。

「なかなかDXに着手できない」「着手しても思ったような効果が見えない」際は、今回紹介した事例を参考にしてみてはいかがでしょう。

また今回紹介した製造業や地方自治体以外にバックオフィスの領域でも、DXの推進は欠かせないものとなっています。もし経理のDXへ踏み出したい場合は、その第一歩として、Web請求書クラウドシステムの導入から始めるのをおすすめします。

『BtoBプラットフォーム 請求書』は、紙でやりとりしていた請求書を電子化し、大量の請求書を一括&即時発行する仕組みです。作業時間を約90%短縮し、月末や月初に経理部門の業務を圧迫していた請求書作業から解放。これにより経理部門もより戦略的な業務を担えるでしょう。

出典:
 DXレポート2(3P)|経済産業省(PDF)
 デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査(8,10P)|IPA情報処理推進機構(PDF)

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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