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アメリカのDX成功事例、最新ビジネスモデルに見る日本でのDX推進のポイント

日本ではなかなか取り組みが進まないDX(デジタルトランスフォーメーション)。しかしアメリカや西欧など世界ではすでに多くの企業がDXの取り組みに成功し、大きな成長を遂げています。 日本ではなかなか進まないDXが、なぜ海外では活況を呈しているのでしょうか。今回はアメリカでの最新ビジネスモデルを見つつ、日本でDXの取り組みを成功させるポイントについてお伝えします。

アメリカのDX成功事例、最新ビジネスモデルに見る日本でのDX推進のポイント

最終更新日:2021年7月7日

目次

アメリカのDX市場規模は?

アメリカでのDX成功事例を見る前に、まずはIDCjapan株式会社が2020年6月23日に発表した、世界のDXへの支出額に関する予測から、アメリカのDX市場規模を見ていきましょう。

2020年、DX向けテクノロジー/サービスに対する全世界の支出額は、前年比で10.4%増加の「1兆3,000億ドル超」と予測されています。この金額は日本円にして約143兆1,085億5千万円です(1ドル110円で計算)。

もっとも多いのは米国、2番目に多いのは西欧で、3番目に多いのは中国でした。西欧と中国の金額は出ていないものの、前年比で西欧は、「12.8%」、中国は、「13.6%」増加と予測されています。

これに対し、日本のDX市場規模はどの程度なのでしょうか。2020年10月23日に株式会社富士キメラ総研が発表した「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」によると、2019年の市場規模は「7,912億円」。そして2030年の市場予測は「3兆425億円」となっています。

別の企業が集計した結果であるのに加え、アメリカの市場調査では各国の支出金額が公開されていないため、比較はできません。しかし2020年アメリカが、全世界のおよそ3分の1に当たる額を支出するという見通しが出ています。この結果を見る限り、アメリカはDXの取り組みにおいて日本より何年も先に進んでいるといえるでしょう。

引用:『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる(2020/10/23発表 第20112号)|株式会社富士キメラ総研

アメリカでのDX成功事例

アメリカでのDX市場規模を見たところで、実際にアメリカ企業のDX成功事例を見ていきましょう。ここでは、4つの事例を紹介します。

コロナ禍において消費者の需要に応えるBOPISで新たな購入体験を提供

世界最大のスーパーマーケットチェーンである、Walmart。同社は、EC界の巨人であるAmazonに多くの顧客や売上を奪われ、苦しい立場に追い込まれていました。その後2007年、eコマースへ本格的に参入したものの、なかなか上手くいかない状況が続いていたのです。

2014年、WalmartのCEOに就任したダグ・マクミロン氏は、それまで行ってきたデジタルブランドの吸収合併をやめ、子会社化しつつもそれまでのブランドを残した形で規模を拡大していきました。この結果、従来のデジタルブランドのファンを残しつつ、これまでWalmartブランドでは得られなかった顧客のデータ収集を実現しました。

EC市場のシェアも少しずつ取り始め、2020年には5.3%でAmazon(38.7%)に続き2位になるまでシェアを伸ばしたのです。

またWalmartは、アプリの導入というDX施策も実施しました。会員証やWalmart Payなど複数のアプリケーションを統一し、顧客の利便性を向上させデジタルとリアル双方の強みを生かしたアプリケーションに進化させたのです。

もっともWalmart躍進に大きく貢献したのが、BOPISの導入(2016年)でしょう。BOPISとは、ECで購入した商品を店舗で受け取るための仕組みで、Buy Online Pick-up In Storeの略称です。

アメリカに多くの店舗を持つWalmartだからこそ持てる強みで、EC注文よりも早く今すぐに商品を受け取りたいといった層にアプローチし、大きな成果を得ました。またコロナ禍における配送の遅れや配送を受けてもらえないといった状況も解決し、消費者の需要に応える形となったのです。

SNSでのブランドイメージ失墜をきっかけにIT技術を駆使してDXに着手

世界で15,000店舗、日本でも800店舗(2021年6月現在)を展開している、宅配ピザのサービスチェーン「ドミノ・ピザ」。同社は2000年代半ばから「SNSを通じて辛辣なコメントが投稿される」「従業員が食材に唾を吐いた動画をYouTubeに投稿する」などで、ブランドイメージが著しく後退していました。

SNSの影響力を強く感じた同社は、複数のメディアチャンネルを活用し、消費者の意見を全面的に取り入れたピザレシピを知らせる広告キャンペーンを開始。この時期、アメリカは経済危機直後だったため、企業の透明性が強く求められました。その背景もあり、ブランドイメージ回復のきっかけをつかんだのです。

その後、スマートフォンの急速な普及に合わせ、DX戦略に着手。最高デジタル責任者に就任した、Dennis Maloney氏指揮のもと、場所を問わずあらゆる端末からピザの注文ができるデジタルプラットフォームを開発しました。

その後、さらに開発を進め、2016年に発表したアプリケーション「Zero Click」では、スマートフォン上でアプリケーションを起動して10秒待つだけで注文が完了する「手放し注文」を可能にしたのです。

これらの施策を行った結果、ドミノ・ピザの年間収益は、2008年の約14億ドルから2019年には2.5倍以上の約36億ドルを実現。さらに株価も2010年1月から2018年7月中旬までの期間で3,600%以上の上昇を記録しました。

既存技術を生かして新たな事業への進出を実現

郵便料金計器を発明し、実用化も行った大手郵便関連機器メーカーである、Pitney Bowes社。同社は1920年に創設された歴史ある企業で、これまで世界の郵便・配送関連市場を牽引してきました。しかし昨今、デジタル化推進もあり、従来の書類ベースとなる郵送業務の事業成長は難しい状況になったのです。

早急なビジネス再考を迫られるなか、eコマース分野に活路を見出しました。同社は2015年、これまでの経験を生かし、商品の配送に必要な送料・消費税・関税といった料金の計算や支払いを含む配送プロセスを管理するクラウドサービスの開発を開始。翌年2016年に、「Pitney Bowes Commerce Cloud」を発表しました。

同時に社内で全社共通のデータ解析システムを開発し、すべての従業員が迅速に顧客データにアクセスでき、ニーズに沿った戦略的決定を行える環境を構築したのです。これら既存事業の強みを生かしつつ、新たな環境で事業の再定義を行って、2018年には過去10年で最大となる前年比成長率(13%増)を達成しました。

ビジネスモデルの転換により新たな市場を開拓

定額制動画配信サービスで、2020年7月の時点で全世界約1億9,300万人の有料会員数を持つNetflix社。同社では、顧客の利便性追求に加え、ビッグデータの活用によるレコメンドサービスで急成長を遂げました。

同社は創業当初、実店舗型のDVDレンタルビジネスサービスの不便さを感じている顧客に対し、郵送による定額制のDVDレンタルビジネスサービスを提供。従来のビジネスモデルを破壊し急成長を遂げたのです。また顧客中心主義を推し進め、定額制の動画配信サービスを開始しました。

同社はその後、ビッグデータを活用し、顧客ごとにパーソナライズされた動画をお薦めするレコメンドシステムを開発したり、顧客の行動や思考データをもとにオリジナル作品を制作したりといった進化を続けたのです。結果、年間収益は、2007年時の約12億ドルが2019年にはその13倍以上となる約158億ドルとなりました。

アメリカのDX成功事例から参考にできる、日本企業がDXに取り組むためのポイント

前項で紹介したDX成功事例を見ていくと、成功するためのポイントがいくつか見えてきます。日本企業がDXに取り組むうえで、アメリカのDX成功事例から参考にできる部分を見ていきましょう。

DX推進のリーダーにデジタルに深い知見を持つ人物を据える

ドミノ・ピザでは、DXへの取り組みを開始する際、デジタル技術に精通した人物をトップに据えました。

DXを推進していくうえで、先端IT技術に対する知見は重要なポイントのひとつです。知見に富む人物をトップに据え、企業全体でDXに取り組むという姿勢を社内に向けて示すことができれば、自ずと全社的にDXを実行していこうという機運も高まるでしょう。

既存の技術を新たな事業に活用できないかを検討する

Pitney Bowes 社のように、これまで取り組んだ経験のない技術を使って事業を始めて、成功するという可能性は高くありません。既存の技術を使って新たな事業を始める際はまず、どういった事業が適しているか、検討しましょう。

また自社だけで考えるのではなく、他社との協業も視野に入れるとより高い確率で新しいアイデアが生まれやすくなります。協業によって自社だけで進めるよりも、効率的かつコストを抑えたDXが実現できるかもしれません。

事業内容を変えずに商品・サービスの提供方法を変えてみる

DXは必ずしも新たな事業を創出する必要はないのです。たとえば同じ事業でもNetflix社のように商品・サービスの提供方法を変えるだけで大きな成果につながるケースもあります。

DXでは「より良い顧客体験を感じてもらうには何をすべきか」といった視点がもっとも重要です。そのためにはどういった技術が必要なのかという検討が欠かせません。その答えが新規事業の場合もあれば、既存商品・サービスの変革の場合もあるのです。

DXに取り組む際は、顧客にどれだけ有益な体験をしてもらえるかといった視点が重要

DXに取り組むというと「先端IT技術を駆使しなければならない」「さまざまなツールを活用しなければならない」といったイメージが強いのではないでしょうか。しかしそういったイメージはDXの本質となりません。

もっとも重要なポイントは、自社の顧客に対しどれだけ有益な体験をしてもらえるかです。その結果、「競合に対して優位性を保持する」これこそがDXが持つ本来の目的となります。先端IT技術やツールの活用はその手段で、「顧客に喜んでもらいたい」「自社の商品・サービスに愛着を持ってもらいたい」といった思いはこれまでと何ら変わりありません。

今回、紹介したアメリカでの最新ビジネスモデルもすべて、有益な顧客体験を提供しようとする点から始まっています。この点を常に意識すれば、日本企業のDXへの取り組みもより本格化していくでしょう。

出典:
 『2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望』まとまる(2020/10/23発表 第20112号)|株式会社富士キメラ総研

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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