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e-文書法とは?電子化のメリット、電子署名・タイムスタンプの役割を解説

電子帳簿保存法が2022年1月改正で話題になったことは記憶に新しく、ビジネスで扱う文書の電子化や保存に関する法律は、電子帳簿保存法だけと思われがちです。しかし、実際には電子帳簿保存法が扱うのは、国税に関する帳簿書類のみで、建設現場で使われる図面、医療現場で使われるカルテなどは含まれません。では、これら文書の電子化に関する法律は何かといえば、e-文書法です。今回は、e-文書法の概要に触れつつ、文書電子化のメリット、e-文書法に関わる電子署名やタイムスタンプの役割についてお伝えします。

e-文書法とは?電子化のメリット、電子署名・タイムスタンプの役割を解説

最終更新日:2023年01月24日

目次

e-文書法とは?

e-文書法とは、法的に保存が義務となっているすべての文書を電子化して保存することを認める法律です。2005年4月1日に施行された法律で、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」、そして「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2つの法律の総称がe-文書法です。

e-文書法は、経済産業省が次の4つの要件を定めています。

1. 見読性

電子化された文書をパソコンやディスプレイを用い、明瞭な状態で見読できるようにすること

2. 完全性

電子化して保存している文書の改ざんや消去などができない措置が取られていること。万が一の際には改ざん、消去の事実がわかるようにしてあること。具体的な改ざん、消去抑止策としては、電子署名やタイムスタンプなどが挙げられる

3. 機密性

閲覧の許可を得ているもの以外がアクセスできないように保存されていること。また不正にアクセスできないような措置がとられていること

4. 検索性

電子化された文書の有効活用を行えるようにするため、容易に検索できるようにすること

電子文書はそのままでは複製の作成や改ざんがしやすいため、保存後の管理やセキュリティまで考慮することが求められるのです。

e-文書法の対象書類

e-文書法の対象となる主な書類は次のとおりです。

・建築図書

意匠図、構造図、設備図、外構図、設計図など

・医療情報

診察録、カルテ、手術記録、検査記録、薬剤管理指導記録、診断書など

・人事関係

雇用契約書、タイムカード、就業規則、労働者名簿など

・総務・庶務関係

株主総会議事録、取締役会議事録、有価証券届出書など

・国税関係書類

仕訳帳、総勘定元帳、貸借対照表、見積書、請求書、領収書など

電子帳簿保存法との違い・関係性

電子帳簿保存法とe-文書法は、電子化の対象範囲と要件が異なっています。電子帳簿保存法の対象範囲は、e-文書法でも対象となっている「国税関係書類」のみです。e-文書法のうち、「国税に関する帳簿書類」に特化したのが電子帳簿保存法であるといえます。

また、e-文書法の要件が「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」なのに対し、電子帳簿保存法の要件は、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2点です。ただし、電子帳簿保存法の要件は区分により細かい規定が異なります。そのため電子化の際は、区分ごとに入念に要件を確認する必要があります。

e-文書法の概要、電子帳簿保存法との違い、関係性について詳しくは「「電子帳簿保存法」と「e-文書法」それぞれの役割と違いについて解説」をご覧ください。

e-文書法と電子署名・タイムスタンプ

e-文書法の要件のひとつである、「完全性」を実現するための手段として挙げられるのが、電子署名とタイムスタンプです。電子化した文書の改ざん、消去を防ぐ手段として、どちらも欠かせないものとなっています。それぞれの概要は次のとおりです。

電子署名とタイムスタンプの概要

・電子署名

電子署名とは、文書や書類を作成したのが誰であるかを証明するためのものです。認証を進めていくなかで改ざんの有無を確認したり、なりすましを防いだりする役割を持っています。

e-文書法が改正された2015年以降は、規制緩和によって電子署名は必須ではなくなりました。しかし、上記の改ざんやなりすまし防止策として現在でも電子署名を活用しているケースも少なくありません。

・タイムスタンプ

電子署名が「誰が文書や書類を作成したかを証明する」ものであるならば、タイムスタンプは、「ある時期に確実に存在していたこと」と「改ざんがされていないこと」を証明するためのものです。時刻配信局、時刻認証局といった第三者機関をとおし、正確な時刻情報(タイムスタンプ)を付与します。

タイムスタンプの付与が必要なのは、国税、地方税関係書類の一部を電子保存する場合です。ただし、改ざん防止措置等がとれれば、タイムスタンプが不要になるケースもあります。

タイムスタンプ取得方法

タイムスタンプは、「要求」「発行」「検証」の過程で構成されています。ここでは、文書の電子化を行った場合のタイムスタンプ取得に関わる「要求」と「発行」の流れについて見ていきましょう。


1. 電子化した文書のハッシュ値を取る

2. ハッシュ値を時刻認証局(TSA)に送りタイムスタンプの発行を依頼する(要求)

3. 送られたハッシュ値に時刻情報を合わせ、タイムスタンプトークンを生成。改ざん防止のために鍵をかけた状態で依頼者に返送する(発行)

4. 返送されたタイムスタンプトークンと電子化した文書原本をセットで保存する

タイムスタンプの使い方

タイムスタンプは、原本に間違いがないかどうかを確認する際に使用します。これがタイムスタンプを構成するもうひとつの課程「検証」で、具体的な方法は次のとおりです。

1. 時刻認証局からタイムスタンプトークンの鍵を受け取る

2. タイムスタンプトークンと原本の内容を照合し、間違いがないかを確認する

3. 内容が合致していれば、原本作成後、改ざんや消去がないことが証明される。合致していない箇所があれば、その部分が改ざん、消去されたことの証明となる

文書を電子化するメリット

e-文書法に則り、文書や書類の電子化を行うことの主なメリットは次のとおりです。

コスト削減

紙で印刷やコピーをするコスト。保管する設備にかかるコスト。スペースを確保するコストなどが削減されます。

業務効率化

デジタル化によって検索性が上がり、欲しい文書・書類を探す時間が削減されます。また社内ポータルや会計システム等との連携も可能でしょう。

また、外出先からでも文書・書類の閲覧が可能になるため、わざわざ帰社する必要がありません。在宅勤務もしやすくなるなど多方面で業務効率化につながるでしょう。

文書・書類の劣化や紛失リスクの低減

建築関連の書類は劣悪な環境で使用する可能性も高く劣化しやすくなります。また医療関連の書類も診察録やカルテなど頻繁に出し入れするものが多く劣化のリスクも少なくありません。電子化は劣化や紛失リスクがほぼないため、管理がしやすくなります。

防災対策につながる

被災による書類の消失が避けられます。また、被災時にも在宅勤務によって業務を続けられるので、事業の継続性を担保しやすくなるほか、被災時の通勤を従業員に強いる必要もありません。

文書や書類の電子化はe-文書法の要件に則って行うことが重要

法律で保存義務や保存期間が定められた法定保存文書。その法定保存文書の電子化を認めるe-文書法は、多くの業種で扱う紙文書や書類の電子化を進める法律といえます。もちろん、電子帳簿保存法も同様です。

IT技術の進化により、多くの企業で紙文書の電子化が進んでいますが、正しく電子化、保存を行わないと後になって文書・書類として認められなくなる場合もあります。そのため、電子化・電子保存を行うには正しい知識を持って行うことが重要といえるでしょう。

電子帳簿保存法にかかわる国税関係書類のスキャン保存にはタイムスタンプが必要となるケースがあるように、e-文書法と電子帳簿保存法では保存要件が異なる場合があります。また、法律上の要件ではなくとも、企業によっては電子署名を求められる場合もあります。これらの要件や商慣習を把握したうえで、電子化・電子保存を進めていくことが重要です。

電子帳簿保存法への対応のために、請求書の電子化やタイムスタンプの付与を検討している企業は少なくないと推測します。そのような場合は、電子請求書システムである『BtoBプラットフォーム 請求書』の活用をおすすめします。『BtoBプラットフォーム 請求書』はJIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)が認証する「電子取引ソフト法的要件認証制度」の認証を取得しており、電子帳簿保存法対応で法的要件を個々にチェックする必要がありません。電子帳簿保存法への対応にお悩みの企業は、お気軽にご相談ください。

参考:
e-文書法との関連|タイムビジネス認定センター
電子帳簿保存法が改正されました|国税庁
タイムスタンプのしくみ|タイムビジネス認定センター

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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