株式会社オールハーツ・カンパニー取材日 2017年5月18日

書類の電子化で急成長に伴う課題を解決。
データ処理のインフラを整備して、信頼度の高い企業を目指します。

利用サービス 受発注(発注)規格書(買い手)請求書(受取) | エリア 東海 | 業種 フード | 
事業内容 直営店のパン製造販売業務、各店への商品供給、新商品の開発
株式会社オールハーツ・カンパニー

パン、スイーツショップの「HEART BREAD ANTIQUE」をはじめ、様々なベーカリーブランドを直営・FCの両軸で全国展開する株式会社オールハーツ・カンパニー様。材料一つひとつにこだわりを持ち、消費者がワクワクできるようなアイデアを散りばめた商品づくりを目指しています。店舗数の拡大に伴う様々な業務の負担を、どのように解決していったか伺いました。

ココがPOINT!

マジカルチョコリングのヒットをきっかけに、80店舗以上を展開

― 代表商品や店舗ブランドを教えてください

管理部 経理財務課主任 (以下、経理財務課主任):弊社は、代表の田島がパン職人として15年前に始めた15坪のベーカリーショップが発祥です。以来、不動の人気商品「マジカルチョコリング」や「チーズフランス」などを主力に、様々な商品を開発してきました。「マジカルチョコリング」は、抹茶など月替りで新フレーバーも販売し、お客様を飽きさせない工夫を続けています。

主なブランドは、パン・スイーツの「アンティーク」60店、スイーツショップ「ピネード」18店、ラスク工場「どらどら」1拠点、そして今年2月よりグループ傘下となった京都の老舗ベーカリー「グランディール」4店で、直営・フランチャイズ(以下、FC)合わせて約80店舗を構え、今後も出店を続ける予定です。

― 店舗の出店増加による業務上の課題はありましたか?

経理財務課主任:食材の発注伝票などの管理には、苦労していました。各店舗の発注方法は、取引業者さんから提供いただいた専用の発注用紙を使ってファックスで送信していたのです。その発注書は本部に集約して、経理担当者が基幹システムに入力するのですが、店舗数が増えるごとに発注量も増えていき、気がつけば本部のデスクには膨大な書類の山ができるようになったのです。

このままでは出店スピードに対応しきれなくなると考え、2010年に発注書の電子化を図るため、『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入しました。

管理部
経理財務課主任

出店数の増加と経理業務の効率を両立させるシステム化

― 発注伝票を電子化したことで、効果はありましたか?

経理財務課主任:まず、ペーパーレス化により「書類の山問題」が解決しました。また、店舗での発注作業も効率化しました。弊社では全店でタブレットを使って、冷蔵庫の在庫を確認しながらその場で発注しています。これまでは保管場所でメモを取ってからファックスのある場所に戻って送信していたのですが、この手間が省けたのは大きいです。

その他にも、販促の面でも役立っています。商品管理部では原価管理や発注履歴などをチェックしているのですが、例えば、ある店舗において発注量が突出した材料があれば、その店舗の売れ筋商品がわかったりもするのです。すると、他の店でも取扱いを増やそうという提案もできます。これはデータ化ならではのメリットですね。

また、各店の発注伝票をもとにして月次損益計算書を作成しているのですが、これまでは月末に締めてから1カ月半ほどを要していました。紙の数字を基幹システムに手作業で入力していたためです。これが伝票を電子化したことで、CSVデータで処理できるようになり、6営業日に短縮できました。

― 「BtoBプラットフォーム 請求書」も導入されていますが、なぜですか?

経理財務課主任:店舗が拡大すれば、発注伝票だけでなく経理の処理も負担が重くなります。請求書を電子データでやり取りする『BtoBプラットフォーム 請求書』を使って、本部で処理している水道や工事、ユニフォームなどの請求費用を処理しています。請求内容の履歴が残るので、あとからでも調べられますし、経理システムにCSVデータで処理できます。発注伝票や請求書を電子化することで、スピードアップしていることは間違いありません。

アレルギー表示は、子を思う親の気持ちに応えるため

― 店舗が増えると食の安心・安全リスクも高まりますが、どのような対策を取られていますか?

商品部マネージャー :弊社では、4年ほど前からプライスカードに特定原材料7品目のアレルギー表示をしています。FC店舗でも、誤表示を防ぐため本部からプライスカードを送り、掲出しています。これは、当初より子育て世代のお客様から、アレルゲンに関するお問い合わせを多くいただいていたことによります。もっと安心して、おいしく食べていただきたい、そんな想いで始めました。

アレルゲン情報を得るためには、まず仕入れ業者から商品の規格書を取り寄せ、エクセルで情報管理して、お客様に情報を提供していました。当時、仕入れアイテムは多い時で2,000品目以上あり、商品をリニューアルするたびにエクセルに入力し直さなくてはならなかったので、かなり大変でした。さらには、表示してない成分についてお問い合わせを受けた際は、店舗が一度本部に連絡して回答を待つというタイムロスが発生していたのです。

こういった課題に「いち早く、わかりやすく、ミスなくお客様に情報をご提供したい」という声が社内からあがり、商品規格書を管理する『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入し、対策を図ることにしたのです。すべての仕入れ商品の規格書情報が一元管理できるので、7品目以外のアレルギーのお問い合わせにも店舗で即時対応が可能になるでしょう。

商品部マネージャー

消費者から信頼される企業を目指すため、情報の“見える化”を推進

― これから取り組んでいく課題を教えてください

商品部マネージャー :アレルギー管理にさらに注力することが重要です。27品目管理を目指していきたいですね。将来的には、弊社のWebサイト上で商品ごとにアレルゲンを公開し、ご来店の前に確認したいというお客様のニーズに対応することが理想です。店頭の対応も省略できるので、メリットは大きいと思います。アレルギーの他にも塩分やカロリーなどの栄養成分表示などもしっかりと対応し、お客様に迅速かつ明確に回答できる体制にすることが必要ですね。

衛生面においても、対策を強化していきます。店舗の出店先が大型スーパーさんだと、食品の菌数検査で大変厳しい規定を守る必要があるのです。中でも生野菜は繊細に扱わなければ菌数が規定値を超えてしまうこともあります。そこで、今、ISOを取得した自社工場内で菌数を検査する部署を設けて、店舗で製造した商品を取り寄せて検査をしています。衛生管理も、しっかりと先手の対策を施す必要があるでしょう。

経理財務課主任:今後、会社を大きくして上場も視野に入れる弊社にとって、外部からのあらゆる目線を意識していくことが大切です。情報管理とスマートな対応、そして明確な財務状況を公表できること、つまり情報の“見える化”は重要課題になります。本腰を入れて解決に取り組んでいきたいと考えています。

関連リンク

株式会社オールハーツ・カンパニー

設立2004年1月9日(創業:2002年6月)
事業内容直営店のパン製造販売業務、各店への商品供給、新商品の開発
店舗数83店舗(2017年6月末現在)
代表者代表取締役社長 田島 慎也
本社所在地愛知県名古屋市中区栄2-4-18 岡谷鋼機ビルディング1F
企業サイトhttp://www.heart-bread.com