株式会社大山取材日 2019年5月10日

得意先が求める品質基準に応え続け、取引が増加。
要望にあった食材の提供に、業務のシステム化は不可欠です。

利用サービス 受発注(受注)規格書(卸) | エリア 関東 | 
事業内容 業務用食肉卸販売、直営飲食店「肉の大山」の経営等
株式会社大山

東京を中心とした関東地域のホテル、飲食店に食肉・加工肉を販売する株式会社大山様。0.5ミリ単位での加工や規格サイズごとの商品情報(規格書)の提出など、得意先からのさまざまな要望に応えることで、取引を拡大しておられます。顧客へのきめ細やかな対応の裏にある、業務のシステム化について伺いました。

ココがPOINT!

ホテルの厳格な衛生基準をクリアし、細かな注文にも応える

―創業が戦前に遡るとうかがいました。

代表取締役社長 渡邉恭司氏(以下、渡邉社長):弊社の創業は1932(昭和7)年です。東京都台東区に食肉業務用卸と小売の店舗を構えて以来、食肉ひとすじで現在に至ります。また、消費者向けの直営店「肉の大山」を上野で40年近く運営しています。ステーキやハンバーグといった肉料理の他、店頭では揚げたてのメンチコロッケや焼き鳥などを、上野名物としてお楽しみいただいています。

味を気に入ってくださったバイヤーからのお声がけで、2015年には常磐自動車道下り線の守谷サービスエリアに出店しました。2018年から大手百貨店の催事にも出店していますが、昔も今も、事業の主軸は業務用卸売業です。

主なお得意先様はホテル企業です。老舗の大手ホテル様をはじめ、長年おつきあいのあるお客様が少なくありません。また、レストラン、ブライダル関係の企業にもご愛顧いただいております。

-数多くのホテルから選ばれている理由は何でしょう?

渡邉社長:ホテル様のどのようなご要望にもお応えできる仕入・販売体制は、ひとつの強みだと思っています。婚礼や宴会で大量に必要なロースやヒレといった部位も安定して供給できますし、年間60頭しか生産されない「東京ビーフ」などの、希少な黒毛和牛も扱っています。

また、ただ納めるだけでなく、カットなどの加工注文に細やかに対応しています。たとえばスライスの厚さは0.5ミリ単位で承ります。調理時の形で納品することで、バックヤードが限られているホテル様や、人手が足りず人件費も抑えたい得意先様から重宝されています。

代表取締役社長 渡邉恭司氏代表取締役社長
渡邉恭司氏

「肉の大山」上野店

やみつきメンチ

取締役統括本部長 渡邉恵美氏(以下、渡邉本部長):もうひとつの理由として、社会的に意識が高まっている食の安心・安全への対応力もあげられるでしょう。

業界屈指の厳しい衛生基準をお持ちのホテル様とのお取引を通じて、我々は約20年前から、高い水準で食の安全に取り組んできました。衛生面や設備、帳票類などは、法改正で制度化が決まっているHACCP制度に準拠して管理しています。業界全体でも、2013年に発覚したホテルやレストランでの産地偽装問題などを背景に、品質基準は年々厳格になっています。

近年は新規商品のご提案には、ほぼ、商品規格書の提出が必要です。弊社では、仕入先から商品の情報を回収して得意先へ提出するシステム『BtoBプラットフォーム 規格書』を2012年から導入し、増加する提出依頼にお応えしています。

取締役統括本部長 渡邉恵美氏取締役統括本部長
渡邉恵美氏

主要仕入先はすでに導入済み。卸機能の採用で転記作業がゼロに

―規格書の提出依頼にはどのように対応されていますか?

購買部 規格書担当(以下、規格書担当):以前は依頼を受けるたびに、仕入先からいただいた規格書を提出先のフォーマットに転記していました。紙ベースで、更新作業や履歴管理はできているとは言い難い状況でした。

システム導入を機に、『BtoBプラットフォーム 規格書』のフォーマットを弊社の基準フォーマットと定め、仕入先からいただいた情報を入力していきました。ただ、それだと管理は楽になるものの、紙から1件ずつ手で入力するため手間がかかり、転記ミスのリスクも残ります。また、ホテル様だけでなく、食物アレルギー対策に取り組む外食企業の増加で提出依頼は年々増え、手入力での管理には限界がありました。

そこで、2018年にシステムへの規格書の情報入力を仕入先にしてもらう『卸機能 』に切り替えました。決め手になったのは、主要な仕入先のほとんどが、すでに『BtoBプラットフォーム 規格書』を使っており、取り扱う加工食品の9割近い規格書が、システムで回収可能だとわかったことです。すでに利用されている仕入先にご案内をしたので、スムーズに受け入れていただけました。

購買部 規格書担当購買部 規格書担当

―『卸機能』への切り替えでどのようなメリットをお感じですか?

規格書担当:おかげさまで、転記作業はゼロになりました。生産性は格段に違います。今後も引き続き仕入先にご協力いただきながら、主要アイテムの登録を進め、さらにシステム活用による効率化で生まれた時間で、整理しきれていない商品の規格書も整えていきたいと思っています。

BtoBプラットフォーム 規格書『卸機能』導入前後のフロー

基幹システムと連携。社長自ら処理していた受注作業も効率化

―『BtoBプラットフォーム』を知ったきっかけは、受注の電子化だったとか。

渡邉本部長:『BtoBプラットフォーム 受発注』の導入は2000年、得意先からのご要望がきっかけです。正直、使いこなせていたとはいえず、システムで受注したものも印刷し、手書きの作業表に記入する作業が長年続いていました。といいますのも、弊社は受注や販売を管理する基幹システムがなかったので、ピックアップ表や納品書などすべて手書きするしかなかったのです。この苦労が一番身に染みているのは社長自身だと思います(笑)。

和牛

渡邉社長:毎朝5時にシャッターを開けるところから私の業務は始まります。他に誰もいませんので、夜間の受注をすべて手書きで伝票に起こしていたんです。当日お届け分は、7時過ぎには自社便が出発しはじめるため、加工が必要なものは、6時までに現場に作業指示書を渡さねばなりません。注文が立て込む週末などは特に大変です。急な注文が入ることもあり、ほぼ一日中、伝票の処理に追われている状態でした。

基幹システムの構築を検討しなかったわけではありません。ただ、主要な得意先であるホテル業界は専用伝票を使用されることが多く、結局手書きになるため導入に至らなかったのです。

しかし、『BtoBプラットフォーム 受発注』を利用する外食企業からの注文は年々増え、現在は6年前の約3倍という状況です。頻繁なメニュー変更のたびにスライスの厚さも1.5ミリ、2.5ミリと変化します。そのすべてを商品マスタに登録するため、現在のアイテム数は1000近く、これ以上手作業では管理しきれません。

また、近年ではホテル業界のシステム化も進み、手書きの伝票は減ってきました。そこで2017年に基幹システムを導入し、『BtoBプラットフォーム 受発注』のデータ活用に本格的に取り組んだのです。

― 課題は、解決しましたか?

管理部 受発注担当:今は基幹システムと『BtoBプラットフォーム 受発注』のデータ連携で、転記作業は不要です。毎朝、社長の早朝の受注作業も含め、同じ事を何回も書くといった作業がなくなり、効率化を実感しています。

0.5ミリ単位の厚さごとにアイテムを登録するのは細かいようでも、お客様が選べるように選択肢を増やしておくほうが双方にとってスムーズです。規格の選択肢がないと、コメント欄に「何ミリにカットしてください」と指示が入ることもあり、見落とすリスクがあります。アイテム数が増えても正確に管理できるのは、システム化のメリットだと思っています。

管理部 受発注担当管理部 受発注担当

―今後の展望をお聞かせください。

渡邉社長:あまり飛躍的にというより、今までと同様に地道に歩み続けていきたいと思っています。希少な黒毛和牛の普及に努めるなど、食肉業界の発展にもより尽力していくつもりです。また、ありがたいことに「肉の大山」の出店や催事のお声がけも続いています。食肉卸直営ならではの品質を大切にし、信頼とご要望に応えていきたいです。

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株式会社大山

設立1932年5月19日
事業内容業務用食肉卸販売、直営飲食店「肉の大山」の経営等
代表者代表取締役社長 渡邉 恭司
本社所在地東京都台東区上野6-13-2
企業サイトhttp://www.ohyama.com/
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