タイランドフィッシャリージャパン株式会社取材日 2019年7月26日

得意先のニーズに合わせて、水産品の加工を細分化。
業界標準の製品規格書で、食の安心・安全を守ります。

利用サービス 規格書(メーカー) | エリア 関東 | 業種 水産卸
タイランドフィッシャリージャパン株式会社

エビなどの水産加工品をタイの工場から直接輸入・販売する、タイランドフィッシャリージャパン株式会社様。生産拠点と日本企業をつなぐ中での課題は、現地から届く商品情報(規格書)の記載内容が工場ごとにバラバラだったこと。食の安心・安全が求められる時代の規格書情報の管理方法について、詳しくうかがいました。

ココがPOINT!

複雑化する顧客ニーズに対応する正確な情報管理

― 沿革と事業内容を教えてください。

代表取締役社長 志村謙介氏(以下、志村社長):弊社はタイの大手水産企業との共同出資で設立した、水産加工品等の輸入販売会社です。

従業員6人でスタートした1992年当初は、エビがメイン商材でした。今はタイグループ傘下に14の自社工場を持ち、チキンやツナなどの缶詰やパウチ商品などの製造・販売が増えています。販売量の増加に伴い、タイの生産拠点も強化し、協力会社も含めると生産工場は20ヶ所を超えました(2019年7月現在)。

弊社は「CORE to CORE」というコンセプトを掲げ、工場から直接、お得意先である量販店やコンビニなどへ販売を行っております。加工から輸入、販売まで中間業者を介さないシンプルな流通経路のため、コストを下げてお届けできます。

商品は、お得意先のニーズに即したものを現地の工場とタイアップしながら企画開発しますので、PB商品が多いのも特徴です。タイの生産拠点と日本の企業を商品でつなぐコーディネイトが、弊社の事業になります。

代表取締役社長 志村謙介様代表取締役社長
志村謙介様

― 得意先のニーズには、どういったものがありますか?

営業第二部 部長:たとえば、エビフライでも、大きさや尾の有無などの形状、衣やエビの食感、価格といった細かいご要望は、得意先ごとに異なります。

輸入事業は、ただ現地で商品をパックしてインポートするだけの時代では、もはやありません。市場の変化でイニシアチブは、商社や卸から消費者に近い小売側へと移っているのです。

営業第二部 部長営業第二部 部長

志村社長:時代の変化という点では、食の安心・安全への社会的な意識も高まりました。以前であれば簡単な情報で済んだ原材料の表示も、食品表示法が改正されて厳密になっています。正しい知識と理解をもって食の安全に取り組まなければならない時代です。

営業第二部 部長:お得意先のご要望にあわせ加工は複雑化し、商品は細分化しています。弊社の取扱商品数は現在、PB品も含め約1,000アイテムです。添加物やアレルゲンの有無などの情報管理が一層求められる中、輸入者である我々は、責任を負う立場を常に意識しなければなりません。

自社書式で情報を一元管理。ホームページと連動した販促も

― 商品情報の管理は、どのように取り組まれていますか?

品質管理室 主任:タイの工場から提出される、重量や配合表、製造工程などの製品情報を英語で受け取ります。それを弊社で日本語版の商品規格書※に整えて日本のお得意先へ提出する形が基本です。

(※)規格書:食品のアレルギーや原料産地などの情報をまとめた仕様書。

品質管理室 主任品質管理室 主任

実は以前の規格書は営業用途の意味合いが強く、正直なところ、すべてを網羅した情報管理はできていない状況にありました。
といいますのも、工場から届くのは詳細な情報を含まない規格書で、その書式も工場ごとにバラバラ。さらに、依頼を受けて提出する書式の入力項目も得意先ごとに異なります。

必要な情報が足りない場合は、営業担当者が改めて工場へ問い合わせ、情報収集しなければなりません。専門的な言葉をお互い第2外国語の英語でやりとりするので、伝わらないこともあります。規格書をひとつ作成し、得意先へ提出するのに、かなり時間を費やしていました。

そこで、以前から得意先からの依頼で利用していた『BtoBプラットフォーム 規格書』を活用し、システムによる商品情報の一元的な管理に取り組むことにしたのです。

― システムの導入で、情報管理はどのように変わりましたか?

品質管理 主任:まず、2016年に商品規格書をクラウドで管理するために『BtoBプラットフォーム 規格書』の『自社管理機能』を導入しました。そして、業界の標準規格書に基づいた、自社基準の書式を定めたのです。

新商品の規格書を作成する際は取引先の工場にエクセルファイルでひな型を送り、必要な情報を入力してもらいます。その内容を品質管理室で精査し、自社の規格書を作成します。これにより、確実な情報収集ができるようになりました。現在は取引の多いエビなどの主力商品を中心に、クラウド上へデータの登録を進めています。

営業第二部 主任:大手外食企業様や中食企業様との取引に、今や規格書の提出は必須です。特に業務用の場合、製造工程や副材料の内容など細かい情報が求められます。システムの導入後は、以前のような情報が足りず工場と何度もやりとりすることもなく、すぐに回収できています。

志村社長:規格書は、タイのメーカーや我々、そしてお得意先にとっても、中身が揺らいではならないバイブルです。システム化によって情報を一元管理することで、営業や品質管理は省力化されます。また、確実な商品情報をそのまま得意先に提出できるので、安全性、信頼性もより高まります。

営業第二部 主任営業第二部 主任

実際、『BtoBプラットフォーム 規格書』での提出依頼は年々増えています。情報管理は集める側にとっても大変です。共通のデータを、統一された書式で管理できるのは、作成する弊社側だけでなく、受取る側にとっても大きなポイントといえるでしょう。

― システムを導入して感じる変化はありますか?

品質管理 主任:『自社管理機能』による統一書式の規格書は、入社したばかりで自社商品を把握していない社員の教育にも活用しています。たとえば、どんな商品があって、どのように製造されているのか、一覧で見ながら具体的に説明できるようになりました。

営業第二部 主任:営業の視点から申し上げますと、以前の規格書は、各担当者が個々のローカルフォルダにエクセルファイルで保存していました。そのため、古い情報をお得意先へお渡ししてしまうリスクがあったのです。今は品質管理室を通じてプラットフォーム上に常に最新のデータを集約しているので、安心して営業に専念できます。システムに登録された商品は時間や場所を問わず画面上で簡単に検索できるので、営業としても活用しやすいです。

さらに、『販促支援機能』では、最新の商品情報を自社ホームページに連携し掲載しています。これまでは掲載する製品情報が揃わなかったり、更新の煩わしさがあったりで、不十分な内容だったのが悩みでした。今は、新製品がプラットフォーム上に登録されると同時にホームページの商品リストにも反映されます。ホームページ作成の専門的な知識がない営業担当者でも更新できるので、非常に助かります。

弊社と取引を考える企業様がまず見るのはホームページです。実際に、ホームページがきっかけで「こんな商品も扱っているんですね」と新たな商品提案に至った例もあります。今後ももっと積極的に情報を発信するツールとして活用していきたいです。

『販促支援機能』で作成された画面の例『販促支援機能』で作成された画面の例

時代の変化にあわせISO22000取得を視野に

― 今後の取り組みをお聞かせください。

志村社長:食の多様化で扱う商品の種類も数も増す一方、我々事業者の食に対する責任も高まっています。そこで食の安全を改めて全社をあげて考えるべく、ISO22000(食品安全マネジメントシステムの国際標準規格)の取得を目指して、準備を進めています。

営業第二部 部長:工場ではない事業者が取得する例はあまりないのですが、必要なことだと思っています。何かを生産しているわけではない我々には、マネージメントの立場としての責任があります。何が安全で何が危険なのか、正しい理解もないままに販売することはできませんから。

志村社長:これからの時代は、ますます変わっていくと思います。労働人口も減少し、お得意先も変化していくでしょう。今後企業に求められるのは、そんな変わる時代への適応力、対応力だと思っています。

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タイランドフィッシャリージャパン株式会社

設立1992年4月
事業内容海老加工品 水産加工品 ペットフード 他水産物輸入 加工 販売
代表者代表取締役社長 志村謙介
本社所在地東京都中央区日本橋茅場町3-1-11日本橋ピアザビル7F
企業サイトhttp://www.top-inter.co.jp/
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