三本珈琲株式会社掲載日 2020年11月26日

電話・FAXの受注トラブルをシステム化で解消。
生産性を高め、顧客の顔になるコーヒーを提案します。

利用サービス 受発注(受注) | エリア 関東 | 業種 食品製造 | 取材日 
三本珈琲株式会社

日本のコーヒー文化発祥の地、神奈川県・横浜で1957年に創業した三本珈琲株式会社様。創業60年を超えた節目の2018年に、企業理念とロゴを刷新し、抜本的な業務改革に取り組みはじめました。課題のあった営業体制の改善のために、受発注システムを導入。効果は少しずつ見えているようです。1杯のコーヒーを大切にするために目指す、人時生産性の高め方を伺いました。

ココがPOINT!

小ロットのオーダーメイド焙煎で、ホテルの顔となる香りと味わいを提供

― 御社のコーヒーの特徴を教えてください。

取締役 山本将人氏(以下、山本取締役):当社は、国内有数のコーヒーロースターとして、生豆の選別から研究開発、製造、販売まで一貫して手掛けてきました。お得意先様は半世紀近くお付き合いのある横浜の喫茶店から、チェーン展開する飲食企業、また日本や世界を代表する一流ホテルやレストランと多岐にわたります。

特に大手外資系ホテルでは、コーヒーを「あのホテルでしか味わえない」「あのホテルといえばこの味」といったブランディングが重要になります。そのため業務用コーヒーはお得意先様のご要望をうかがい、顧客ごとはもちろん朝食などのシーンごとに豆の選定や配合比率、焙煎の深さなどを細かく調整し、ホテルの顔となる味や香りにカスタムしています。味の感じ方は人それぞれですので、オリジナルブレンドは味覚センサーを用いて味を数値化し、独自の焙煎技術で顧客の細かなご要望にお応えしています。

顧客ごとに小ロットでオリジナルブレンドをつくるのは効率的とはいえませんが、コーヒーは嗜好品です。大手ロースターでは難しい細やかな対応は、我々の規模だからこそ可能ともいえます。その先頭に立てるのが当社のコーヒーの最大の特徴、強みで、見方を変えれば弱みでもあります。

取締役 山本 将人 氏取締役 山本 将人 氏

慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、現在の(株)リクルートキャリア入社。製造業を中心に200社以上の企業を担当し、広告・斡旋など幅広い採用支援に従事。2015年三本珈琲(株)入社。人事、営業、店舗事業の実務と並行して、理念/制度/社内システム刷新など、企業構造変革を推進。

― 弱みとはどういったことでしょうか?

山本取締役:やはり効率の悪さは企業の成長にとってネックになります。コーヒーのカスタムのように多少効率が悪くても手をかけるべき領域がある一方で、フローを見直して効率化すべき業務もあるはずです。

たとえば、当社は北海道から沖縄まで全国に約40の支店や営業所などの事業拠点があります。営業担当者一人当たりの売上は、同業大手と比較して当社は約40%程度というのが現状です。もちろん企業規模や事業構造が違うので単純な比較はできませんが、それでも改善すべき点があると考え、非効率な業務を見直してコスト削減に取り組んでいます。

具体的には、社内の基幹システムをすべて入れ替え、組織体制や業務フローを抜本的に刷新するプロジェクトが進行中です。2020年7月からは、特に規模の小さな飲食店様などにウェブから無料で発注いただける『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』を、コーヒーの流通が多くIT化の推進力もある東京の日本橋支店に導入しました。

  

― コロナ禍での新システム導入に、延期や中止という選択はありませんでしたか?

山本取締役:逆に今だからこそ取り組むプロジェクトだと思っています。コロナ禍で下がった売上を取り戻すには、それこそマスクなどニーズのある商品を売るか、業務改善やコスト削減で出ていくお金を減らすか、選択肢は多くありません。

ちょうど働き方改革関連法が成立したのが2年前の2018年でした。それに応じた残業時間の削減や業務改革に、システム化は不可欠です。システム化で内勤業務を削減し、そのぶん営業にかける時間を増やす体制を考えています。

受注の遅れが機会損失に。トラブルの防止にも受注のシステム化は必須

― システム導入前の営業体制には、どのような課題があったのでしょうか?

本社 財務・経理部 課長代理(以下、担当者):課題は大きく3つありました。

1.受発注業務、2.請求業務、3.受注の締め切り時間です。

まず1点目の受発注作業ですが、当社では全体の7割ほどが電話やFAXによる注文で、私も支店に勤務していた時には頭を抱えていました。地元の喫茶店やチェーン店など、お得意先様によって商品も納品日も納品単位も違います。電話で受けた受注のメモを見ても、お得意先様がわからない、商品や単位がわからない中、調べているうちにどんどん次の電話がかかり、時間が過ぎてしまうのです。言った・言わないといったトラブルもあります。

FAXの場合も、受信エラーだけでなく商品コードもなく「コーヒー1袋」と送られてくることがあります。それらに対応し手入力していると、受注業務に大きく労力が割かれてしまいます。

2点目は請求業務です。請求書は支店ごとに紙で発行しており、支店によって作業量は異なるものの、発行業務に8時間ほどかかります。手作業は封入ミスのリスクもあります。送付先を間違えると大きなトラブルになりかねません。また、ホテルなどは1日も早く請求書が欲しいということが多く、月初が週末にわたる場合は休日出勤になります。

3点目は受注の締め切り時間です。これが最も大きな課題でした。以前も受注締め時間を設け、お得意先様に書面で通達したことがありましたが、次第にお得意先様も支店の社員も、意識が薄れてずれ込んだまま、結局なあなあで終わっていました。

本社 財務・経理部 課長代理本社 財務・経理部 課長代理

2007年(株)ギンビスに入社。製造に従事しながら経理を目指し簿記2級を取得。2011年三本珈琲(株)に入社。地区本部経理、支店経理を経て、本社財務経理部所属。決算業務と並行して基幹システム導入、業務改革を推進。

小売用製品小売用製品

業務店用製品業務店用製品

― 受注時間がずれると、何が起こるのでしょうか。

担当者:受注後のあらゆるサイクルが崩れてしまうのです。締め時間を過ぎた受注があると、事務員が朝出勤してすぐ入力しなければなりません。営業は納品が優先になるので、配達のため商品をピッキングして車に積む必要があり、出発が遅れてしまいます。これが最も問題で、納品に時間を取られると、商品のご提案など営業する時間がどんどんなくなり、機会損失につながってしまうのです。

受注業務の手作業で後手後手になり、様々なコスト増につながってしまうこの3つの課題を、お得意先様に『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』のシステムを使って発注いただくことで解決できればと考えました。

― 導入による効果はいかがですか?

担当者:導入から1ヶ月あまりで実際の効果はこれからですが、日本橋支店の約6割にあたるお得意先様にご賛同いただいています。導入前にご案内状を添えたマニュアルをお送りし、納品時にも、無料で使えることや、1度発注すれば数字を入力するだけといったご説明を直接して導入率を高めています。やはり数字として成果が表れてきたので、良かったです。

お得意先様の反応も、頑なに拒否されるということはなく、Webだから発注しやすいというお声も聞きます。「あとで登録しておくね」とおっしゃるお得意先様を営業があと一押しするかが、今後の導入率につながると思っています。

山本取締役:Webで発注するかどうかはお得意先様が選ぶことですから、IT化を無理強いするつもりはまったくありません。ただ、電話やFAXでの受発注は、お得意先様にとっても課題になっていることが多いと思います。システムに商品が登録されていて、発注は個数を入力するだけで手間もかからず、発注担当者が変わってもスムーズに引き継げます。発注ミスなどのトラブルも防げるのは双方にとってメリットではないでしょうか。

内勤業務を50%~80%削減し、人時生産性を高める

― 今後の展望をお聞かせください。

担当者:受注業務や請求業務は属人化しがちです。長年のキャリアがあるベテランの方なら、企業名を見ただけで「この店がいつも注文するのはこの商品」「この請求先はこの書類の添付が必要」と流れ作業のようにできますが、その人がいないと進まないという状況は改善が必要です。請求業務に関しては、将来的に電子データでの発行を考えています。受注データをもとにして発行できる『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入して、支店ごとに発行している請求書を本社で一括できれば、請求業務を簡略化、平準化につながります。日本橋支店の取り組みで、IT化の課題などもわかってきたのでそれをつぶしながら、他の各支店へも広げていければと思っています。

山本取締役:内勤の業務を最低50%、80%を目標として削減し、そのぶん仕事の質を高めて本来の営業に注力しましょうというのが業務改革の根本的なところです。基幹システムの改修は2021年4月からはじまりますが、システムを刷新するだけでは意味がありません。当社では独立採算制を導入し、社員全員が所属する部署ごとのP/L(損益計算書)を見て、目標をそれぞれ持っています。システムの刷新で業務フローも変わってきますので、コスト削減の意識改革も必然です。数字でいえば従業員ひとりあたりの人時生産性は1.5倍くらいにはできるのではないかと思っています。会社としても方向性を示していくことで、2、3年のうちに実現させていきたいです。

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三本珈琲株式会社

設立1957年3月15日
事業内容レギュラーコーヒー製造販売等
代表者代表取締役社長 山本 聡
本社所在地神奈川県横浜市神奈川区山内町15番地4
企業サイトhttps://www.mmc-coffee.co.jp/
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