株式会社ブーランジェリーエリックカイザージャポン掲載日 2021年2月25日

こだわりのパンを作るため、IT化で業務負担を削減。
現場がクリエイティブな仕事に集中する環境を作ります。

利用サービス 受発注(発注)/ 規格書(買い手) | エリア 関東 | 
事業内容 製パン・製菓、ベーカリー、レストラン運営、卸売、プロデュース等 | 取材日 
株式会社ブーランジェリーエリックカイザージャポン

フランスの伝統的なパンの製法を受け継ぐベーカリー店「メゾンカイザー」をはじめ、カフェ店やレストランなど国内約30拠点を経営する、ブーランジェリーエリックカイザージャポン様。代表取締役の木村周一郎氏は、限られた時間でパン職人がクリエイティブな仕事をするには、機械と人が担当する業務の切り分けが必要といいます。IT化による現場の環境づくりについて伺いました。

ココがPOINT!

天然酵母を使い、低温長時間発酵技術を駆使したパン作り

― 本場フランスのリーディングベーカリー日本法人として、事業展開されています

代表取締役 木村周一郎氏(以下、木村代表):天才パン職人と称されるエリック・カイザーが1996年、パリにオープンさせた「ERIC KAYSER」はパリのベーカリーに衝撃を与えました。第二次世界大戦以降、製パンの発酵は効率よく膨らませるイースト菌を使うのが一般的でした。そこに19世紀以前の伝統的な方法だった天然酵母を主体とし、低温で長時間熟成させた味わい深いパンを手ごろな価格で安定して提供する製法を確立したのです。

ブーランジェリー「MAISON KAYSER」は、世界20ヶ国以上で店舗展開しており、弊社は日本におけるパートナーとして2000年に設立しました。「MAISON KAYSER」をはじめ、コーヒーショップやレストランなど国内約30拠点を運営しています。

代表取締役 木村 周一郎 氏代表取締役
木村 周一郎 氏

― ブーランジェリー(フランス式ベーカリー)は、日本にとって異文化だったのではないでしょうか。

木村代表:2001年に東京・高輪に1号店を出した当初、本場フランスそのもののハードなパンは、食パンや菓子パンなどのやわらかいパンが主流の日本の食文化と相いれないと言われていました。実際、日本人のお客様はほぼいませんでした。しかし、フランスの味だったことで逆に本物を知るお客様に喜んでいただけたんです。日本在住が長いフランスの方は「家に帰ったような気持ちになる」と仰ってくださいました。欧米のお客様でにぎわうようなると、感度の高い日本人のお客様も増え、そこから次第にハードなパンを楽しむ新たな食文化が浸透していきました。

 

また、本格的な味にこだわり続けたおかげで「フランス料理にあうパン」との評価をいただきました。ホテルやレストランの料理長同士のクチコミで広まり、今は機内食や、ホテル、ミシュラン星つきレストランなど150社を超える企業様へパンを提供しています。

  

― 独自の製法技術が本物を求める方やプロの支持を得ているのですね。

木村代表:すごいパン職人の条件は3つあります。1.いいものを 2.たくさん 3.早く作る、です。いくらこだわりがあろうと、少しだけとか、時間がかかるでは、お客様に責任もってお届けできません。

伝統製法そのものでは天然酵母の管理が難しく安定したパンづくりはできないので、最新設備で発酵をコントロールする必要があるのです。日本は職人といえば手仕事、機械化すると「こだわり捨てちゃったね」とネガティブに受け取られる場合すらあります。しかし手でたくさん早く作ろうとすると職人は忙殺され、疲れて考える余裕もなくなります。クリエイティブな体力・気力を残すためには、ある程度システム化し機械に任せるべきです。

 

― システム化でパン作りに集中する環境ができますね。

木村代表:法令に則った労働時間を順守し、労働人口が減少する中でクオリティを保ち続けるには、省人化できるシステム構築が必要です。たとえば、製パンに不可欠な細かい温度や湿度、水温の管理も空調設備で常に安定させれば難しくありません。我々は商業施設への出店の場合も、全館空調で温度が変化しないよう独自の空調を稼働させています。

またバックオフィスの効率化という点では、原材料の発注やレストランやホテルとの取引にインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』発注機能を2010年から利用しています。

  

受発注も規格書対応もシステム化で効率アップ

― 『BtoBプラットフォーム 受発注』導入のきっかけを教えてください。

木村代表:当時、外食の経営者が多く集まるホスピタリティに関する勉強会に参加しており、そこでインフォマートの受発注サービスが必ず取り上げられていたのです。コスト削減は原材料費や現場の工程数だけでなく、管理本部の事務にかかる工程数も考慮する必要があります。外食業での導入が多いサービスで、取引をオンラインでできるなら仕入れ先も助かるだろうという考えもありました。

生産管理部 購買課 課長(以下、購買課 課長)導入当初は店舗が卸業者へ発注するために使いはじめたのです。その後、取引のあるレストランやホテル様でも多く使われていて、『BtoBプラットフォーム』を通じて発注したいとお声をいただくようになり、受注機能を使うようになりました。同時に、納品するパンの規格書をエクセルで作成していたのですが、『BtoBプラットフォーム 規格書』で提出してほしいとのご要望が多くなり、2013年から利用しています。

生産管理部 購買課 課長生産管理部 購買課 課長

― それぞれのサービスはどのようにご活用されていますか?

購買課 課長:『BtoBプラットフォーム 受発注』は会計システムとも連動しており、月次決算を早期に確定できます。また、「メニュー管理機能」で商品ごとに原材料の情報を紐づけているので、原価管理がリアルタイムかつ正確に行え、販売価格の設定にも活かせます。

たとえば、店舗では150グラムで作っているパンと同じ生地でも、ホテルやレストランなど納品先によっては50グラム、100グラムと変わる場合があります。そのたびに原材料費を計算したうえで価格設定をする必要があるのです。また、季節商品だと、前年と今年で原価が違うこともあるので、極端な変動の場合は価格見直しの資料になります。

 

他にも、「棚卸機能」で本部は各店舗の在庫状況が適正かどうか、月に一度全店舗を確認しています。あまりに在庫が多い場合は発注に気を付けるよう促します。ありがちなのが、キロ単価を気にするあまり、量が多く結局ロスになってしまうケースです。ロットが大きいなら小分けにしたり、ケースからパックにしたりすれば不良在庫を減らせます。こうしたチェックが簡単にできるのもシステムがあってこそです。

また、アレルギー管理も厳しく行い、原材料の規格書は原則すべて回収しています。生鮮などの一部の情報は手入力ですが、システムを導入しているメーカーや卸業者からの仕入れ品に関しては、規格書の転記の手間やミスのリスクがありません。商品に貼る食品表示ラベルも、品質管理の担当者が画面のアレルギー情報を基に作成しています。

  
 

アイデアは余裕のある仕事から生まれる

― 今後の展望をおきかせください。

木村代表:今後も本部ではシステム間のデータ連携を拡充させていきます。受発注と会計システムに加え、POSデータや従業員の出退勤データとも管理できれば、現場や本部の業務をより簡素化できるでしょう。データを日々集計し、P/L(損益計算書)を週1で見るようにできれば、スピード感のある事業戦略につながります。

長時間労働する時代ではありませんが、パン職人が腕を磨くにはある程度の時間が必要だと考えています。限られた時間で効率よくクリエイティブな仕事に集中するには、手作業に固執するのではなく、機械の仕事と人間の仕事にわけるべきです。余裕のある仕事から様々なアイデアが生まれます。パン作りの技術や、材料の工夫、コミュニケーション、どれもが必要な事で、業界の未来をつくっていくものだと思っています。

  

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株式会社ブーランジェリーエリックカイザージャポン

設立2000年9月
事業内容製パン・製菓、ベーカリー、レストラン運営、卸売、プロデュース等
代表者代表取締役 木村 周一郎
本社所在地東京都港区芝浦2-14-5 ユニベル田町ビル2F
企業サイトhttps://maisonkayser.jp/
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