株式会社ウエストフードプランニング掲載日 2021年1月24日

コロナ禍でも黒字続き。
香川のうどん店が注力する商品開発と仕入れ管理術。

利用サービス 受発注(発注) | エリア 四国 | 業種 うどん・そば | 取材日 
株式会社ウエストフードプランニング

うどん店「こだわり麺や」を香川県に12店舗、マレーシアに2店舗展開するほか、カレーうどん業態、天丼・天ぷら定食の業態をもつウエストフードプランニングは、このコロナ禍にあって気炎を上げています。2020年4月の騒動以降、多少の落ち込みはあったものの、うどん業態の全店でほぼ黒字(営業利益率10~20%)を維持。
代表取締役の小西啓介社長は、その要因をうどん業態の強さに加えて、商品開発と価格変動の激しい葉物野菜などの仕入れ管理と語ります。

ココがPOINT!

うどんを通じて、食のインフラ企業に!

― うどん店を展開するうえでの想いを聞かせてください。

代表取締役 小西啓介氏(以下、小西社長):香川のうどんを、世界に知ってもらいたい。そんな情熱をもって、「うどんで元気を発信する」という思いだけで1998年に「こだわり麺や」を創業しました。

香川県ではうどん店の利用頻度が高いんです。皆様それぞれ行きつけの店がありますし、当社の店舗にも週7回ご来店されるお客様がいます。いわば、お客様の体はうどんが作っています。そう考えれば、健康で安全で安心していただける食材にとことんこだわらざるを得ません。

まずは麺。職人が小麦から麺を作る仕込みで、同業の方から「未だにそんなやり方で?」と驚かれるような古典的な製麺方法で味を追求していました。それを1年ほど前から、発想を180度切り替えて、数千万円の製麺機を導入したんです。麺の原料は小麦と塩と水ですが、その配合比率が難しく、手作業で、また職人の感覚だけですべての比率を試すことはできません。

機械を使うことで、これまで試せなかったことにチャレンジできるようになったのです。今までの作業に科学的な手法を取り入れて手間をかければ、圧倒的においしいものを作れるようになるはずです。スタッフ一同、ワクワクしながらそれを目指しているところです。

株式会社ウエストフードプランニング 代表取締役 小西啓介氏株式会社ウエストフードプランニング
代表取締役 小西啓介氏

― 食材やお客様に対するこだわりが強いのですね。

小西社長:「地域に喜ばれる店を」という想いが強くあります。ここ数年をみても、日本は地震や異常気象など災害が増えてきました。温暖化の影響もあって、その傾向は今度ますます顕著になっていくと思っています。

そういった災害に対して、当社は何ができるのか。最近よく社内で話し合うのですが、やはりできることはひとつ。被災地に温かいうどんをお届けすることです。それが私たちの使命だと考えるようになりました。

うどんは、米と同様、主食になりうる食材です。平常時には身近にあって気軽に食べていただき、被災時にも安定的に供給する。いわば「食のインフラ」を担っていきたいと考えるようになりました。

― 麺だけでなく、野菜など他の食材にもこだわりがあると聞きました。

小西社長:うどんの相棒といえばネギですが、ネギは自社で栽培しています。7年前に日本農産という農業法人を立ち上げて、当初は無農薬を目指していろいろな試行錯誤をしましたが、乗り越えられない障壁にぶつかって断念せざるを得なくなりました。

以降は、減農薬栽培でネギを作っています。ときには収穫時期の問題で自社納入では間に合わず他社から仕入れた時に、お客様から「ネギの味が落ちたね」と言われるほどの高い品質を維持できるようになりました。

― 安定生産のほかに、どのような課題がありますか?

小西社長:「こだわり麺や」では、うどんのトッピングとして、ネギ、ショウガ、大根おろし、レモンの4種を無料でご提供しています。お客様には喜んでいただいているのでなんとしても無料提供を継続していくつもりですが、この負担が無視できないんです。

トッピングのうちネギとレモンを自社栽培することでコスト軽減を図りましたが、それでも毎年4000万円ほどかかっています。とくにネギのような葉物野菜は、季節変動による相場の波が大きいのです。農業法人を作ったことで安定してきたとはいえ、仕入れ値の影響から逃れることはできません。店舗が増えればなおのことです。

店舗数拡大につれて見えてきた課題

― 仕入れ値の安定化で対策していることはありますか?

小西社長:インフォマートの仕入れシステム『BtoBプラットフォーム 受発注』を利用して、各店舗の仕入れ値を把握しています。以前は店舗ごとに仕入れを任せていました。そのほうが日々の動きに即応できたからです。ただし、同じ商品なのに単価が違っていたり、過剰在庫でロスが出たりと、店によるばらつきが課題でした。店舗を増やしていくことで、そのばらつきがより目立つようになっていたのです。

経理担当:他にも、店舗数の拡大で本部での請求管理の事務作業が滞りがちになっていました。各店舗から「店の損益を早く出してほしい」と要求が上がってきます。

取引先が請求金額をまとめる前に、「メモでいいので」と請求書のコピーをFAXで送ってもらうのですが、その結果、本部には紙の束が積み上がってしまって、かえって効率を下げていました。

知り合いの仕入れ業者にこのシステムを導入しているところがいて「とても便利だ」とは聞いていました。でも、まだ抱えているのが大きな問題だと気づいていませんでした。実際に営業担当者の話を聞いて、「これは間違いなく業務が改善される!」と分かり、すぐに導入しました。

― 仕入れのシステム化で、課題は改善されましたか?

経理担当:劇的に変わりました。仕入れ単価のばらつきや過剰な在庫が押さえられて、導入後、仕入れが改善された店舗は、総じて5%程度の原価率削減に成功しています。原価に異常なデータが出てくれば、すぐに店舗あてに連絡できるようになったので、仕入れのロスが減りました。それだけでなく、店長の意識が変わりました。創業当時は2ヶ月ほどかかっていた各店舗の損益も、いまでは日次で出すことができます。実際には月次でまとめていますが、それが毎月の店長会議に反映されるので、経営判断がすぐに現場に届くようになりました。

なにより、本部の事務作業が軽減されたのは驚くほどです。本部が把握してない仕入れを、システムを通して把握できるようになりました。それに日々のデータがCSV形式で出てくるので、会計ソフトと連携して、これまで手作業で2時間かけていた作業が15分で済んでいます。システムを導入したことで、いかに無駄なことをしていたのかと痛感しました。

県内外の飲食店に元気を届けたい

― コロナ禍が続きますが、影響はありましたか?

小西社長:今回のコロナ禍にあって、9月決算では創業以来初の赤字を計上しました。ただし、月別に見れば赤字をだしたのは4ヶ月のみです。さらにうどん業態だけをみれば、ほぼ全店黒字を続けています。うどんは日常食だけに、外部環境に影響を受けにくいことが、今回あらためて分かりました。

― 今後の展開はどの様にお考えですか?

小西社長:いま新型コロナウイルスの影響で、とくに夜間営業の飲食店はどこも経営が大変な状況です。だからこそ、うどん業態の財務的な強さを、疲弊しつつあるアルコール業態のお店に共有していきたいと考えています。

体的には、フリーネームのフランチャイズを展開すべく事業を始めています。まずはうどんメニューを扱ってみませんかと呼びかけて、原材料の供給、ノウハウの共有、仕入れなど効率化のためのFCシステム導入を促しているのです。その際、「こだわり麺や」の名前を店名に使わなくても構いません。ロイヤリティもいただきません。FCが増えることで、当社もスケールメリットによる仕入れ原価の削減を進められます。

いま試算として出ている経営モデルでは、利益率20~25%はとれる店舗は少なくありません。場所にもよりますが30%近くになる店舗もあると見ています。

新業態としてうどん店を新規開業するもよし、メニューにうどんを追加するもよし、夜間営業の店にうどんメインのランチ業態を展開してもらうなど、様々な形に対応していくつもりです。うどんを軸に、すこしでも利益を出していただければと思っています。

たとえ新型コロナがあったとしても、夜に営業するアルコール業態の飲食店は、大切な食文化なんです。その文化をなくしてはいけない、衰退させてはいけない。県内外の飲食業界に少しでも元気が届けられれば、何よりうれしいです。

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株式会社ウエストフードプランニング

設立1998年6月
事業内容外食事業、食品製造・販売事業、コンサルティング事業(飲食業関連)
代表者代表取締役 小西 啓介
本社所在地香川県丸亀市田村町1243-1
企業サイトhttp://www.westfoodplanning.com/
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