俺の株式会社掲載日 2023年11月16日

「俺の」業態全店舗で受発注システムを導入。
発注の7割をデジタル化し、業務を見える化できました

利用サービス 受発注(発注)メニューPlus請求書(受取) | エリア 関東 
| 事業内容 飲食店経営 | 取材日 
俺の株式会社

「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」など「俺の」系飲食店業態を運営する「俺の株式会社」。同社では、前身の会社だった時代の2010年から『BtoBプラットフォーム 受発注』、2015年には『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入するなど、積極的に業務の効率化に取り組まれています。2023年6月には、一部レシピの統一化と原価管理を徹底するため、『メニューPlus』も導入。

「俺の」業態を拡大するための積極的なDXにはどのような背景があるのか。営業本部、管理本部の担当者にお話を伺いました。

ココがPOINT!

コロナ禍で拡大した事業の現在地

―俺の株式会社の事業内容について教えてください。

営業本部 営業推進部 店舗総務・採用研修グループ長 篠﨑 弘樹 氏(以下、篠﨑氏):飲食事業者として、主にレストランを運営しています。コロナ以降はECや外販にも力を入れていますが、主力業態は「俺のフレンチ」をはじめとするレストランです。

そのほか、業績を伸ばしている焼肉や焼き鳥の業態も含めれば、運営している店舗は35店舗、ECを含めると36店舗(2023年9月時点)となります。

営業本部 営業推進部 店舗総務・採用研修グループ長 篠﨑 弘樹 氏営業本部 営業推進部
店舗総務・
採用研修グループ長
篠﨑 弘樹 氏

―コロナ禍で、一時期運営する店舗数を絞ったそうですね。

篠﨑氏:コロナをきっかけに、業績は大きく落ち込みました。そのために出店見直しを断行し、不採算店舗を閉め、利益を目指す体制に変更しました。

コロナ禍には他にも外部コンサルタントをお招きして、ECと外販を進めました。お客様にご来店いただけない代わりにECを展開し、テイクアウトに力を入れ、デリバリーもスタートさせました。デリバリー業者に配送を委託すると、手数料が30%近くかかってしまいます。その部分をきちんと利益化したいという思いからの自社スタッフによるデリバリーです。デリバリーを通じて、直接お客様とやり取りができ、そのニーズにスピーディーに対応できました。お客様に会う機会を奪われた時期でしたが、お客様の要望を聞くことができたため頻繁にメニューの改善も行っていました。

現在でもデリバリーを継続している店舗は、やはりお客様との物理的、心情的な距離が近くなったことで、いまでも当時のお客様にご利用いただいています。

―サービス面では、他にどんな改善を行いましたか。

篠﨑氏:店を閉める一方で、焼き鳥、イタリアン業態の出店を進めました。従来「俺の」で進めてきたのは、食材にこだわりながらも管理コストを下げる取り組みですが、そのスタンスを崩さずに、さらにコスト低減が実現できる業態だったのが焼き鳥とイタリアンでした。

また、出店とは少し違いますが、「クリエイティブラボ」という名称で社内のセントラルキッチン化を進めました。現在は「俺のイタリアン」の一部店舗と「俺のやきとり」の2業態のセントラルキッチンとしていますが、これによりある程度メニューを統一化でき、一括して調理できるので品質を確保できます。

社内の売買取引のシステム化で生まれた思わぬ効果

―一方で業務改善にも取り組んだそうですね。

管理本部 財務経理部長 井上 文博 氏(以下、井上氏):業務改善は取り組まざるを得ませんでした。新規事業の展開を進めるうちに、外販やデリバリーにおける業務が渋滞を引き起こしていたのです。

特に経理業務が非常に煩雑になり、それまでの人員では業務が回らなくなりました。ECや外販ではよくあることですが、売掛がいくつも重なり、管理しきれなくなったことも原因だったと思います。

効率化を図ろうにも、当時はリソースが足りませんでした。そこで以前から付き合いのあるインフォマートさんに相談したところ、まずはいま導入している『BtoBプラットフォーム 受発注(※1)』のシステムに業務を集約していきましょうとアドバイスされたのです。

※1 『BtoBプラットフォーム 受発注』とは、従来の電話・FAX受注していたものを発注から支払い管理までデジタル化できるサービスです。

管理本部 財務経理部長 井上 文博 氏管理本部
財務経理部長
井上 文博 氏

管理本部 財務経理グループ 瀬川 真紀 氏(以下、瀬川氏):発注先の取引先様でも『BtoBプラットフォーム受発注』を導入されておりますので、現在は全体の7割ほどの発注をデジタル化できています。残りの3割程度は未導入となり、大半が小規模な取引先様となっています。あらためて導入をすすめてくれるよう取引先様にアプローチしているところです。

また、従来は『BtoBプラットフォーム 受発注』を発注のみに使用していましたが、ECや外販などの受注にも適用することにしたのです。元々システムには慣れており、発注といえばインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』という認識でしたので、新規事業への転用についてはなんの問題もありませんでした。今までは仕入側として発注するだけでしたがECや外販を請け負う店舗から注文を受けるようになり、初めて受注側の考え方を意識するようになりました。我々の注文を受けていただいている取引先様と同じようにシステムを活用していくなかで、売り手として必要な業務など、意外な発見があり新鮮です。

篠﨑氏:店舗のスタッフからも「時間が短縮できて、これは使える」と好評でした。これからも引き続きいろいろと改善していけそうだ、という実感を持っています。スタッフによってはシステムを使い慣れていないというケースもありますが、今後は店舗への浸透度を上げていこうと思っています。

ただし難しい問題もあります。システム導入で本部も店舗も便利にはなりますが、やり過ぎるとその店舗の独自性が失われてしまいます。

店舗独自で食材を買い付けたり、電話やFAXでないと受注できない取引先様から仕入れたりすることで、同じフレンチの店舗でもソースの味が違うことなど独自性を発揮してきました。そのため一律に納入先を固定するわけにもいきません。管理上の効率性を取るか、店の独自性を取るかという問題はとても繊細なバランスが必要です。

井上氏:営業と管理に関わる問題はとても大事です。「管理をどれだけ効率化しても、売上は出さなければ」という声もあり、うまくバランスをとっていきたいですね。

管理本部 財務経理グループ 瀬川 真紀 氏管理本部
財務経理グループ
瀬川 真紀 氏

―2023年6月にはレシピを管理・共有する『メニューPlus』を導入されましたね。

篠﨑氏:メニューPlus(※2)』は、現在では主に「俺のイタリアン」と「俺のやきとり」で導入しており、本部で試作品を作ったときに、レシピ紹介の動画を撮影して店舗に共有しています。

レギュラーメニューはお店の看板メニューなので、どの店舗でも同じ見た目、味付けで提供できることが大切ですが、これまでは同じレシピで試作品を作ってみても、店舗ごとに微妙な味の違いが出てしまっていました。『メニューPlus』を導入してからは、材料の分量なども踏まえて動画でレシピが提示できて、調理方法のどこがズレていたのか分かりやすくなりました。飲食店として、とても大事なところで力を発揮してくれています。

各業態でマニュアルを作って店舗に開示することも本格的に始めていますし、調理に関しても、特に焼き鳥業態では同じレシピを共有することもスムーズにできています。

※2 『メニューPlus』とは、レシピをデジタル化してデータや動画として共有や、それらデータを基に店舗別の原価が管理できるサービスです。

―『BtoBプラットフォーム 受発注』『メニューPlus』の効果はいかがでしょうか。

瀬川氏:BtoBプラットフォーム 受発注』に関しては、全店舗で導入しており、問題なく稼働しています。なんといっても、店舗とセントラルキッチン間でのやり取りが見える化できている点が最大のメリットだと思います。

井上氏:『BtoBプラットフォーム 受発注』自体の操作画面が分かりやすく扱いやすいです。新人のスタッフが入った際には、オプションの棚卸機能(※3)を使って実際に画面を一緒に見ながら棚卸業務を進めていきますが、教えるのではなく最初から一緒にやっていくという感じで覚えられます。このときも見える化のおかげで、どこが間違っているのかすぐに判明します。

それに当社では原価率を特に重要視しているため、それがブレないようにしながら、お客様にコスパを感じてもらえるように工夫をしています。だからこそ原価率のパーセンテージを意識して、棚卸をしたうえで原価計算もする必要があります。

※3『棚卸機能』とは、仕入実績と連動して商品単価が自動更新され、正確且つ迅速な棚卸管理が実現する機能です。正確な棚卸で、使用高の算出が容易になり、原価算出にもつなげることができます。

瀬川氏:複数でチェックしながらできますから、意識を共有しつつ、間違いも減らしていけるため効果的に使っています。また、操作の面や使い方で疑問があっても、インフォマートさんのサポート体制がしっかりしているのでとても助かっています。

篠﨑氏:メニューPlus』についてはまだ実装しない店舗もありますが、全店で活用できる段階まで来ています。そうなれば、セントラルキッチンでもより効果を発揮してくると思いますし、金額や取引量も同様に見える化できて、誰でも共有できるようになると思います。

飲食店にとって原価管理と同時に、メニューのクオリティを統一するために『メニューPlus』は必須だと思います。

請求書業務の改善を取引先にも広げたい

―『BtoBプラットフォーム 請求書』はどのように活用されていますか。

瀬川氏:具体的に、請求書は毎月200件以上届いています。当社では、『BtoBプラットフォーム 請求書』のほかにも紙やPDFの請求書をデータ化していただくサービスも導入しているため、インボイス制度と改正電子帳簿保存法には2つのシステムで対応を進めています。

※4『BtoBプラットフォーム 請求書』は、請求書の発行だけでなく受け取り、支払金額の通知など、請求業務全体をデータ化が可能です。電子帳簿保存法に対応しているため、ペーパーレス化ができ経理業務も大幅に改善します。

DXとホスピタリティのバランスが大切

―今後さらにDXを進めたい業務はありますか。

瀬川氏:BtoBプラットフォーム 受発注』を通した発注先を今後は増やしていきたいですね。2010年に導入したときには一生懸命にアプローチをかけていて、その後も断続的にお声がけをしていますが、今回の社内業務改善をきっかけに、さらに浸透させていきたいと思っています。

篠﨑氏:やりたいことは多数ありますが、紙の管理が一番の課題です。各種サービスを使ったペーパーレス化も含めて、これまで飲食店では当たり前とされてきた様々な効率的ではない業務を減らしていきたいと思っています。

各種クラウドサービスを駆使してDXを進めていくための指標として、インフォマートさんのサービスを活用した見える化は取引先の説得材料としても有効に使えそうです。

井上氏:DXについては、一度整理してみる必要があると思っています。取引先様によっても利用されている受注や請求書のシステムは様々ですが、ホスピタリティに近いところを重視して、『BtoBプラットフォーム受発注』や請求書システムを使ったやり取りをお客様に選んでいただくという方向性を打ち出しています。ホスピタリティとDX、両者のバランスをしっかりと見ながら進めていきたいと思います。

関連リンク

俺の株式会社

創業2012年11月1日
本社所在地東京都中央区銀座8-3-10 トミタビル7階
事業内容俺のイタリアン、俺のフレンチなどを始めとした飲食店経営
企業サイトhttps://www.oreno.co.jp/
>この企業情報とニュースを見る