株式会社山小三掲載日 2024年6月11日

『TANOMU』で受注のデジタル化率95%を達成。
納品書作成が早まり、当日発送の遅れが解消しました。

利用サービス 受発注(受注)/ TANOMU | エリア 関東 | 業種 水産卸 | 取材日 
株式会社山小三

株式会社山小三は、安政3年(1856年)に天秤棒担ぎの魚屋からスタート。現在は牡蠣専門の仲卸業者として東京の大田市場内に事務所を構え、日本各地はもとより海外からも生牡蠣を仕入れ、主に飲食店に卸しています。

商品を当日発送するうえで課題だったのが、1日100件以上あった注文メールの受注処理。納品書の作成など、出荷前の事務作業に追われていたそうです。そこで2023年11月に受発注システム『TANOMU』を導入。基幹システムへの手入力がなくなり、発送までの作業が効率化されました。

ココがPOINT!

江戸時代から続く牡蠣仲卸のこだわり

―創業170年。牡蠣の卸売りを行う御社の特徴を教えてください。

取締役社長 岸野 哲哉 氏(以下同):天秤棒を担いで魚を売るスタイルから始まって以来、ずっと魚介類を扱ってきました。その初代が山田小三郎。そこから「山小三」という屋号になりました。私は営業職として当社に入社し、現在は7代目の社長をさせていただいています。

当社では牡蠣の生食にこだわり、日本全国の牡蠣を新鮮なまま安心・安全にお客様に食べていただきたいというのが山小三のスタンスです。

現地の生産者さんの元にお邪魔して実際に船に乗せていただき、漁場を見学し、陸に戻っては作業場でどのように牡蠣を生産して洗い、滅菌しているのか。そういったことをすべて見たうえで、お取引をはじめさせていただきます。

生産者さんの思いを知ると、今度はそれぞれの海の味を活かしたくなります。日本は南北に長い国ですから、それぞれの地域、海に特徴があります。その特徴を活かすため、1990年には滅菌できる保管庫を導入しました。この保管庫内で牡蠣に紫外線滅菌水を噴霧することで、人工海水につけずに済むようになりました。

生産者さんの元から牡蠣が入荷する際、産地の海水を抱いたまま入荷されてきます。それを人工海水につけてしまえば、少なからず人工海水の味に変わってしまいます。それを避けるために施設を稼働させたのです。

株式会社山小三 取締役社長 岸野 哲哉 氏取締役社長
岸野 哲哉 氏

―生牡蠣の安心・安全へのこだわりはなんでしょうか。

安心・安全という意味では、国の定めた安全基準がありますが、当社ではさらに基準を厳しく設定し、検査頻度も多く設定しています。生産者さんへの負担はありますが、安全にお客様に食べていただくためにも、そこを受け入れていただいています。

また、当日発送も当社の強みです。牡蠣は乾燥に弱い生き物ですので、ミストを浴びるより海水につかっていた方がはるかに環境は良く、水中にいれば3日ほど置いても鮮度は保たれます。ですが、安全な牡蠣を新鮮なうちに飲食店さんへ届けるため、入荷してから1泊2日を基本としています。牡蠣には保管庫には極力長居させないためにも、東京都内や関東近県で朝5時までに注文いただいたものは当日中に店舗で提供できるよう配送しています。

出荷業務にたどりつくまでの煩雑な事務作業

―発送までの業務にスピード感が必要ですね。

まさにスピードこそが大事です。にもかかわらず内実は極端なアナログ業務でした。受発注システム『TANOMU』を導入する前、売上は上がっていましたが、その分、出荷量が増えており、「出荷の時間に間に合うのか?」という状況が続いていました。

取引先の9割超が飲食店で、ほぼすべてがメール注文でした。定型のフォーマットがなく、それぞれにExcelやメール、独自の用紙、さらに電話やFAXなど、まちまちだったのです。

これらを受注担当者がすべて手入力で基幹システムに入力していました。時期的に入荷してない商品が書かれていたり、いつもと数量が違っていたり、ときには複雑な内容もあります。そうした複雑な内容を確認しながら入力していくわけです。

それが済むと納品書を紙で出力してピッキングして出荷する流れですが、納品書の作成待ちの状況で出荷作業がどんどん押していく状況にありました。

そうした中、現場責任者に欠員が出てしまいました。これでは回らない、というところにインフォマートさんから提案をいただいたのです。

話を聞いてみると、LINEで受注ができて基幹システムと連携が可能という受発注システム『TANOMU』があるというのです。当社に潜在的なニーズがあったのは確かですが、取引先にもメリットがあると感じたので導入を決めました。

―取引先への協力要請はどのように?

メール受注は1日に100件を超えていました。これをなんとかしたいと、まずは取引先の飲食店さんに『TANOMU』を使った発注に協力していただくため、営業が取引先に顔を出して説明して回りました。

極端な拒否反応はありませんでした。「うちは特殊なレギュレーションだから」というお店も、『TANOMU』の備考欄に特記事項として要望を入力することで解決できますし、飲食店さん側でも好都合だったようです。

メッセージや履歴を残せるので、“言った言わない”の問題もなくなりました。重複した発注も防げます。夜中の発注内容が翌日のスタッフに確実に伝わるといった声が、取引先から聞かれます。間違いなく店舗側の負担減に繋がっていると思います。

受注の95%をデジタル化。基幹システムとの連携により手入力作業も削減

―導入効果はありましたか。

受注のほぼすべてがデジタル化されました。以前のメールや電話、FAX、SNSでの受注は一切なくなりました。輸出入に関するわずかな取引先だけは、いまだに紙ベースですが、全受注の約95%はデジタル化されて、ほぼペーパーレス化を実現しています。

あれだけ業務を圧迫していた納品書待ちの問題も、『TANOMU』を基幹システムと連携したことで手入力がなくなりました。出荷担当者が出社すると、すでに納品書が用意されているという状況です。

在庫管理が便利になったことも大きな効果です。季節や産地の都合で、入荷量は常にばらつきがあります。取引先からすれば、例えば、あると思っていた東北の広田湾産がない場合、これまではこちらからの説明があった上でしか代替品を選べませんでした。

『TANOMU』では、残りの在庫数が表示されるので、「同じ東北の山田湾産の牡蠣にしよう」と、自主的に選ぶことができます。当社側でも商品説明として、牡蠣に関わる様々なウンチクを掲示することで、商品アピールにもなりますし、取引先側での選択肢の幅を広げることにも繋がっています。

―働き方にも変化が生まれたそうですね。

以前は受注をまとめて納品書に出力するために、特に年末には残業することもありました。今では定時内に余裕を持って納品書業務を終えられるので、残業はほぼなくなりました。「納品書を出すための業務」から解放されて、「出荷のための業務」に専念できるようになったと言えます。

実際、導入直後の年末年始は売上が1.5倍に増えていますが、人員は増やさずに対応できたどころか、業務に余裕が生まれました。それもこれも『TANOMU』導入の効果です。

―業務DXを含め、今後はどんな展開を考えていますか。

実際にDXが進んでみて驚きとともに思うのは、いかに無駄な仕事をしていたのか、ということです。技術革新を伴う様々なサービスが増えているなか、人がやらなくてもいい仕事は、どんどんITに任せるべきです。

その意味では、『TANOMU』だけでなく、他のツールも基幹システムと連携させ、基幹システムの有効活用をこれからは考えていきたいです。

同時に卸業界、とくに水産卸の業界全体でのDXが進むことを期待します。人手不足が深刻化するなか、非効率な業務に悩んでいる事業者は少なくないはずです。まずはやってみて、そこで間違いなく余裕が生まれてくるはずです。その余裕が、業界のさらなる発展につながっていくとうれしいですね。

株式会社山小三が利用しているサービスはこちら

関連リンク

株式会社山小三

創業1856年(安政三年)※現社号変更は2013年11月
本社所在地東京都大田区東海三丁目二番八号 東京都中央卸売市場大田市場内
事業内容生牡蠣を始めとした、水産物の仲卸
企業サイトhttp://www.yamakosa.com/
>この企業情報とニュースを見る