兵庫県多可郡多可町掲載日 2024年8月28日

財務会計システムと電子請求書の連携で進むDX。
事業者様と歩調を合わせ、地域全体のデジタル化へ。

利用サービス 請求書(受取) | エリア 関西 | 業種 自治体 | 取材日 
兵庫県多可郡多可町

兵庫県のほぼ中央に位置する多可町様は、3町が合併して生まれた自治体です。ICTを積極的に導入した行政運営の仕組みづくりは全国からも注目されています。2023年には町と取引のある事業者の利便性向上と、町の会計業務のデジタル化、ペーパーレス化を目指して『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入。財務会計システムとの連携で、管理面に大きな効果があったといいます。

ココがPOINT!

  • 1財務会計システムと連携し、請求書受取を効率化
  • 2事業者へ電子請求書を発行する手段を提供
  • 3町も事業者も、支払い処理状況が一目でわかる

3つの「発祥の地」をもつ地方自治体が取り組むDX

― 兵庫県多可郡多可町は、2005年に3町の合併で誕生した町だそうですね。

財政課 課長(以下、財政課長):はい。2005(平成17)年11月1日、旧中町、旧加美町、旧八千代町の3つの町が合併して発足しました。兵庫県のほぼ中央に位置する、人口19,000人ほどの町です。山林面積が全体の8割近くを占めており、農林業と地場産業である播州織(先染織物)が主産業ではあるものの、少子高齢化による人口減もあって、産業構造の転換は課題となっています。

財政課 課長財政課 課長

多可町は、日本酒の醸造に用いられる酒米の代表品種「山田錦」発祥の地とされています。現在でも特産品として多くの農家が生産に取り組み、全国の蔵元へ出荷しています。また、加美区岩座神集落の石垣のある棚田は、「日本の棚田百選」のひとつに選ばれたビューポイントでもあります。

さらに、兵庫県の重要無形文化財・伝統的工芸品に指定されている手漉き和紙「杉原紙」発祥の地、国民の祝日として制定されている「敬老の日」発祥の地とも言われており、この3つの「発祥の地」をまちのPRや活性化につなげる取り組みもさかんです。

「杉原紙」の原料であるコウゾをさらす、川さらしの様子「杉原紙」の原料であるコウゾをさらす、川さらしの様子

自然の中で遊ぶ子供たちの様子自然の中で遊ぶ子供たちの様子

― 全国市町村の中でも、ICT等を積極的に活用する自治体と伺っています。

財政課長:多可町に限らず、地方は人口減少や少子高齢化、首都圏への一極集中、過疎化といった課題に直面しています。これら社会課題の解決に向けたデジタル技術の活用は、国も掲げる構想であり、多可町もDXによる効率的な行政運営の仕組みづくりを目指しています。町全体の施策では、専門部署を中心にデジタル技術やデータを活用した町民の利便性向上、行政サービスの向上に取り組んでいます。私たち財政課としては会計事務のスリム化を目指しており、『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入もその一環です。財務会計システムとの連携で、支払事務の効率化も図っています。

財政課 副課長(以下、財政副課長):私は財政課の中でも、主に行政改革を担当していますが、国の行政改革も昨今はDXがメインになりつつあります。町民がデジタル化やDXの進展を実感できる行政サービス実現のためにも、請求書や庁内決裁のペーパーレス化、デジタル化は必要だと感じています。

財政課 担当者(以下、担当者):私は主に財政運営という、財政の健全化や予算改革に関わる業務を担当しています。同時に、2022年ごろから、『BtoBプラットフォーム 請求書』導入にも携わり、課内の業務DXに取り組んできました。

財政課 副課長財政課 副課長

― 請求書の受取に『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入された経緯を教えてください。

担当者:3町の合併当初から、一部の文書は電子化されていたものの、業務の多くは紙のやりとりでした。特に、1日に200件あまり回ってくる支払調書の処理は内容の確認と押印だけでも大変な労力です。そこで、まず電子決裁システムを導入してペーパーレス化を図り、作業時間が体感で半減するなど効率化が実現しました。ただ、その前段階である請求書の受領については依然、効率的とはいえませんでした。

財政課 担当者財政課 担当者

請求書は、町内中小企業約500社から郵送や納品時の持参といった形で、すべて紙で届きます。受け取った請求書の情報を職員が財務会計システムに入力し、原本をスキャンして支払調書に添付するといった処理が必要です。

請求書の発行側である事業者の皆様も、印刷や封入、郵送の場合は切手代など、手間やコストをかけています。このような課題の解消として、電子請求書の導入を検討したのです。

2023年1月頃に財務会計システムを次世代型のクラウドタイプに入れ替えたタイミングにあわせて、システム連携の実績がある『BtoBプラットフォーム 請求書』を採用しました。単純に請求書の受け取り方法を紙から電子データに置き換えるだけでは真の効率化とはいえません。受領した電子データを財務会計システムに自動連携し、伝票入力が自動化されてはじめて利便性を感じると考えていたので、システム連携による業務自動化が可能かを第一義にサービスを選定しました。

事業者のデジタル化への意欲は、想定以上に前向き

― 導入に際して、気にした点や工夫したポイントはありますか?

財政副課長:庁内に関しては、押印省略など、会計規則やルールづくりの大きな部分については先行導入していた電子決裁システムで済んでいました。デジタル化に対する素地がある程度できあがっていたからでしょうか、電子請求書システムに対する抵抗はさほどなく、実際に使えば便利ですのですぐに普及した気がします。

担当者:時間をかけた段階的な導入は、かなり意識した点です。一気にすべてを変えようとすると職員にも負担がかかってしまいます。電子請求書の導入を見据えながら、電子決裁導入、財務会計システム刷新とステップを踏んで、事務フローに混乱が起きないよう努めました。自治体がDXに取り組むには、できるだけ新システム導入がプレッシャーにならないよう、導入の時期や順番を計画立てて取り組むとよいと思います。

町内事業者の皆様には事前に説明会を開催しましたが、想定していた以上に前向きにとらえてくださったのが印象的です。業務デジタル化への関心は思いのほか高く、「できるならやってみたかった」といった声もいただきました。本町と取引のある事業者様の業務デジタル化の後押し、負担軽減の一助となればと嬉しかったです。

もちろん、パソコンになじみがない、インターネット環境がないという事業者様もおられます。その場合は今までどおり紙の請求書で問題ありません。すべてをデジタル化するのではなく、事業者様の請求書交付の選択肢を増やした形です。

― 導入の効果はいかがですか?

担当者:現在は、取引の多い事業者様中心に『BtoBプラットフォーム 請求書』で受け取っています。大きな変化は、請求書の処理状況を可視化できた点です。請求書データの処理状況は連携している財務会計システムですべて管理できるため、職員の事務フローや管理職の請求管理状況も全員の目で確認でき、支払漏れを防止できます。受領データがそのまま登録されるため、入力作業や金額の確認作業も基本的に不要で、職員は数クリックの作業で完了です。

導入後のフロー 電子請求書~財務会計システムとの連携

また、発行された事業者様も請求書の処理状況を画面上で確認できます。紙の請求書にはない利便性です。電子帳簿保存法に対応しているので、適格請求書発行事業者は、適格請求書(インボイス)の交付・保存が可能なのもメリットだと思います。

財政副課長:元々、支払後は事業者様に支払通知書を郵送していましたが、『BtoBプラットフォーム 請求書』で受け取っている支払に関しては通知書発送をやめました。代わりに画面上のステータスが「承認済」に変わり、支払処理が完了したと見てわかる仕組みに切り替えています。

通知書は請求が発生する都度の発行ですので、1月あたり相当の枚数になります。できるだけ郵送数を減らすため、同一住所の事業所にはまとめて送付、10日に一度など一括して郵送するなどで対応していました。電子決裁と電子請求によって電子データで受け取ったものに関しては保管事務もなくなり、かなり負担が減りました。加えて、郵送代のコスト削減も期待できます。

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地方にあっても先進性が得られるデジタルの恩恵

― 今後の展望をお聞かせください。

担当者:デジタル化は、町民の皆様の選択肢を増やし、より利便性を高めるものだと思っています。『BtoBプラットフォーム 請求書』は主に町から事業者様への支払業務で導入しましたが、同じくらい多いのが補助金交付などの団体様や個人様向けの支払業務です。こちらも書類を記入し窓口に提出していただくなど、煩雑な手続きが必要ですが、ペーパーレスで手続きが完了するようなDXを実現できればと考えています。

財政課長:距離や時間、場所といったネックを取り払うのがデジタルの強みだからこそ、都市部から離れた地方であってもDXを進めていけます。ありがたいことに、多可町のDXへの取り組みを先進的と取り上げていただく機会もありますが、結局デジタル化は人と人とのつながりを大事にして進めていくものだと感じています。今後も積極的に勉強しながら、地域全体のデジタル化普及と業務効率化に取り組んでいきたいと思っています。

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兵庫県多可郡多可町
発足2005年11月1日
代表者町長 吉田一四
役場庁舎所在地兵庫県多可郡多可町中区中村町123番地
Webサイトhttps://www.town.taka.lg.jp/
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