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	〔日本経済新聞〕　2003年5月1日値決め革命ネット奔流

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〔日本経済新聞〕値決め革命ネット奔流　2003年5月1日

　約5500社の会員を抱える国内最大の食材インターネット取引市場、フーズインフォマート。生鮮・加工食品の電子カタログを掲載、商談可能な取引先を自動的に引き合わせる。５年前の設立以来緩やかに伸びてきた市場が昨年にわかに急拡大した。デジタル時代の象徴ともいえるネット取引を加速させたのは、「アナログ的な努力」(櫻井サチコ経営企画室長）だ。
　運営主体のインフォマート(東京・港区）は昨年１月、会員企業ごとに専任担当者を付けた。ネット市場をどう利用したいのか、ニーズをくみ上げながら使い方を指南したところ、「2001年は1000万円前後だった月間取引額が現在は10億円を超えた」(櫻井室長）
　ネット上の取引市場では、使いやすさなどへの運営会社の配慮は必ずしも利用者には届かない。コスト削減を期待してとりあえず会員になった企業が、活用法が分からずほとんど取引に参加しないケースは意外と多い。
　鉄鋼製品のネット運営会社、日本メタルサイト。今年２月、サービス開始から約２年半で営業を停止した。需要を映した価格情報などを提供、会員企業が有利に取引できるように狙ったが「会ったことのない相手と顔も見ずに交渉することに抵抗があった」(千葉県浦安市の鋼材問屋)。システムを整備し情報を提供しても利用はなかなか進まないのが現実だ。立ちはだかる壁を崩そうと、各運営会社はネット外での対応を増やし始めている。
　青果物取引を手がけるイー・アグリ(東京・千代田）は、生産者団体やスーパーなど会員間で取引相手を見つける支援をする。相手が決まれば双方がネット上で受発注から決済まで行う。新規に取引先を開拓する際は同社の担当者が仲介、ネット上でいきなり売買情報が飛び交うことはない。堂脇広一社長は「ネットで何でもできるとの考えは幻想。助言者としての運営会社の役割は欠かせない」と話す。
　鉄鋼のネット市場を運営するスマートオンライン(東京・中央）は４月から、画面上の入力項目を大幅に簡素化した。実際の取引では数量や取引条件などが取引直前に変更されることが多いため、利用会員があらかじめ大まかな希望条件を入力したうえで、同社が相手を探す仕組みに切り換えた。運営会社が中に入ることで安心感を与えるのが狙いだ。
　アナログ的な努力を進めると、利用者の本音にぶつかることがある。
　花き市場を運営するワイズシステム(東京・江東)は、通常取引に加え小売店や産地に対するコンサルティング業務に力を入れ始めた。「小売店と話をすると、彼らが求めているのはコスト削減より売り場作りのアイデアだということがわかった」(竹熊社長)。仕入れる花の種類や売り方を提案、取引全体にも好影響を与えている。
　ネット取引は新たな値決めの姿を生み出したが、反面、顔の見えない匿名性や規格の難しさなどがマイナス面ととらえられた。「商機拡大の万能薬」との過度の期待も今では消えた。
ネット上で何ができ、何ができないのか。運営会社は即行性や公開性など利点を生かしつつ、欠点を補うアナログ対応の強化に余念がない。

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