[週刊ホテルレストラン]/国内最大規模の食材eマーケット FOODS Info Mart/2001年9月27日
●
食品・食材のe-マーケットプレイスとして国内最大規模を誇る「FOODS Info Mart」は、インフォマートの開発・運営により98年6月にバイヤー50社、サプレイヤー50社の計100社でスタートした。3年余が経過した現在、サプレイヤーは2000社、バイヤーは2300社に成長。今も月に計300社の割合で加盟企業が増加している。加盟にはバイヤー、サプライヤーともに有料で、バイヤーは年会費6万円、サプライヤーは30万円が必要。どちらも有料であるだけに、いわゆる名前だけの「幽霊会員」が存在せず、双方ともに積極的なサイトの活用が行なわれ、食に特化した国内e-マーケットの中で、同サイトほど活発に多品種・多様な取引が行われている市場はほかにない。サプライヤーが登録できる商品数は1社につき150アイテム(別途料金で追加が可能)。2000社という加盟数を見ても、同サイトで扱われているアイテム数の多さは驚きに値する。実際には個々の取引は両者間で行われるため、正確な取引金額は掌握されていないが、インフォマートでは月間で約4億〜5億円規模の取引が行われていると予測する。また、バイヤーの多くは外食・量販店で、ホテルの料飲部も数百施設加盟している。これらのバイヤーも含め有料であるということは、常に加盟企業に対しメリットを提供できるサイト運営が不可欠になってくる。同社では昨年11月から、売り手と買い手双方に同サイト活用アドバイスを行なうB2Bコンサルティング事業部を設立した。同事業部の瀬戸脇俊男事業部長は、年会費について次のように語る。「サプライヤーの年会費30万円は、出張費なしで全国を回る優秀な営業マンを年俸30万円で雇ったと思えばいい。バイヤーの年会費6万円は月額にすれば5000円だ。当社から提供されるカタログや、その他の売れ筋情報、市況情報などの情報料と考えれば、新聞代程度の額は決して高くないはず。両社ともに、サイトを管理するオペレーターが1人いれば、こだわりの商品検索から事務コストの低減、さらに販路の拡大など、さまざまなメリットが生まれるはずだ」アイテム数の膨大さは、すなわち多品種・少量生産による“こだわり”の商品が多く存在することを表している。通常ルートでは入手しづらい産直の有機野菜や特定農家による特色ある食材など、品質や産地を限定した“こだわり”の商品を求めるバイヤーと、既存の流通ルートには乗りにくい商品を広く売り込みたいサプライヤー双方をマッチングさせる場として、他の追随を許さない特色が最大の強みと言っていい。その好例が、今年4月の農業技術通信社との業務提携だろう。農業経営専門誌「月刊・農業経営者」を通じて6万軒以上の農家のデータベースを有する同出版社と提携し、それまで特定の販路しか持たなかった小規模・個人農家による優良農産物の情報が同サイトで全国にアピールされるようになった。また、農業技術通信社が推薦することで、無名の個人農家との取引に対する不安が解消されるという与信効果も付加された。こうした食材の情報は、ホテル・レストランにおいて通常提供される定番メニューにはなりにくいが、季節限定の商品やフェア開催時の特別メニューなどを企画する際には特に需要の高いものとなる。また、こうした取引を通じて専属の契約農家としての提携に至ることも考えられる。他店との差別化を図りたいレストランにとっては貴重な情報源である。同社ではほかにも、業務提携をうまく結ぶことで加盟会員数の増加と特徴付けを図っている。昨年6月に日本フードサービス協会と提携し、同協会のホームページ(HP)に専用のトップページをリンクし、協会側は加盟外食企業にネット調達のメリットを訴え利用を促している。また、スーパー・量販店で構成される日本セルフ・サービス協会とも同様の業務提携を今月から開始し、同協会のHPに専用ページを設けている。インフォマートの加盟登録数は、こうした提携で段階的に急激な増加を果たしてきた。同サイトではB2Bコンサルティング事業部が設立された昨年11月から、決済代行システムのオプション機能もスタートした。これにより、希望食材リサーチ機能に加え、e-マーケットプレイスのもう1つの“看板”でもある事務コストの削減に大きく貢献するサイトとして、その利便性をさらに拡大した。全2000社のサプライヤーと取引をしても、バイヤー側には一括で請求され、振り込みも一度で済む。しかし取引の詳細は記録されるので、データベースとしての機能はそのまま使用できる。このシステムの導入により、「加盟バイヤーのメリットは倍増した」と瀬戸脇事業部長は語る。「こだわりの食材を広く全国からリサーチできるという特色と、通常の取引をわれわれのサイトで一本化することにより、支払伝票の整理などの事務効率を飛躍的に向上できるというダブル効果が生まれた。大手のバイヤー会員であれば、既存の取引サプライヤーに働きかけて、すべての取引をサイト上で行なうようにすることも考えられる」「食材の知識については加盟会員さまのほうが専門知識を持っておられる。これに対し、私たちは“ネット調達のプロ”であるとの自覚で会員に接している」と、瀬戸脇事業部長は続ける。「バイヤー会員であれば、なぜネット調達を行なうのかという目的を明確にすることが大切。つまり既存ルートにない商品を入手したいのか、通常の取引の中でコストダウンを図りたいのか。前者であれば、品目、規格、品質、価格、量を絞りこんでリストを作製することから始める。後者であれば、コストダウンに結びつく品目を選別する。漠然とネットを利用するだけでは意味がない。どうすればネット調達を成功させることができるかお手伝いすることが私どもの役割だ」同社では今後、新規サプライヤーとして厨房機器や消耗品などを扱うことも検討しつつ、バイヤーには従来の外食・量販店やホテルに加え、成長市場である給食事業者の加盟を視野に入れながら、食の総合ポータルサイトとしてされなる拡大を図っていく意向だ。